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Interview

川嶋健佑×近藤壮馬

大学時代の俳句仲間と久しぶりに会ったのでおしゃべりをした。大学時代我々は甲南大学( )俳句会として活動していた。今回は5月26日の文学についての会話を文字起こししたものである。

川嶋:お名前は

近藤:こんどうちょうまごちゃいです

川嶋:これ載るからな

近藤:何に

川嶋:ホームページに

近藤:冗談やろ

かわしま:これが冗談に見えるか(口述筆記を見せる)

近藤:It bad joke

川嶋:今から話すこと全部文字化するからよろしく

近藤:インタビューを受けるコツは喋らないことだ。

川嶋;えらくインタビュー慣れてるやん

近藤:俺ほどにもなるとな。インタビューの最初の部分はカットしておいてくれ。

川嶋:こんどうちょうまごちゃいのとこ?

近藤:まともにインタビューしてくれや

川嶋:大学卒業してから文学やってる?

近藤:大学卒業してからは英米文学に惹かれてるというか。それでも読む数は減った。1ヶ

月に1冊読んだらええほうちゃう。

川嶋:お気に入りの外国の小説あるん?

近藤:最近きれいやと思ったのはシャーリージャクソンの『ずっとお城で暮らしてる』でも、

これも前やな。最近やったら何やろ

川嶋:待ってな。最近やったら何やろを佐伯やったら何やろに打ち間違えたから。

近藤:面白かったのはギャリコ『猫語の教科書』

川嶋:ネタバレしないように面白さ伝えて

近藤:ギャリコのもとにネコが書いた小説の届いた体ではじまるねん。如何にしたらネコが人間と暮らしやすくなれるかということが書いてるねん。小説はネコ視点。

この小説を世に出すようにネコが依頼してきてん。なんでかって言うとこれから人間と暮らすネコが、少しでも多く暮らしやすくなるためやねん。あくまでネコのために。ネコとSFの親和性は高くてさ。

川嶋:なんでネコはSFと親和性高いん?

近藤:なんでかって俺も考えてたんやけど、ネコって神出鬼没性が高いからかなって。犬は自分をアピールしてくるやん。SF言うたら突飛押しもない亀とかペンギンとかと合わせること多いけど、ネコは身近で何か隠し事をしている感じがするから謎めいている。犬とかと比べるとミステリアス。

川嶋:感覚的にやけどネコってファクター性高いよな

近藤:ファクター性?

川嶋:要因

近藤:あぁ。小道具というか居ると物語が引き締まる。ホラー映画とか意味深な演出するけど、ネコが出てくると…

川嶋:待って待って(キータップ間に合わずしばらく沈黙)

近藤:俺まじキレかかってるねんけど。この手法でインタビューされてるの俺やから耐えてるけど一般的にこのやり方でやってんの。

川嶋:初めてやけど

近藤:そこでお前のインタビュー手法について書いとけよ

川嶋:一字一句文字起こしやってること?

近藤:違う。ボイレコも用意せず隣で打ち直したりして文字起こししてること。やるじゃなくて、できてへんから。

川嶋:ま、プロのインタビューアーちゃうからな

阪急烏丸駅に到着し話は喫茶フランソワに持ち越された。以下は本人の弁明と釈明。

近藤からの弁明

川嶋のインタビュー方法について、俺が切れているのは、彼が隣でPCにリアルタイムで打ち込もうとして、それが追いついていない点、さらには其の部分について何度も聞き返してくる点についてだ。俺が我慢弱い人間ということも多分にあるが、この手法についてはとても正しくインタビューが行えるものではないと感じている。確かにインタビューの最中メモが追いつかないことは当然あるし、理解できないこと・聞き取れなかったことがあれば聞き返すこともできないなんて理屈はない。

しかし、そう言った行為を前提としたインタビューはあまりに不誠実であろう。

インタビューの本質は、ディスカッションに近いものだと俺は考えている。議論のテーマについて語るウェイト比はインタビューを受ける側に偏っているものの、お互いの持つ知識の引き出しから、テーマについて議論を深めること、そしてインタビューする側、受ける側双方がテーマについて振り返ることがインタビューという名の我々の友情に亀裂をもたらした悪魔の本性だというのが俺の考えだ。

一度話した内容について何度も聞き返す行為を前提とすることは、議論を放棄し、ただ相手の頭の中にある考えのみを語らせ、記録することしか目的としていないということだ。

さらに許しがたいのは、彼はテーマを持たない自由形式のインタビューで、此の手法をとったことだ。自由形式というのは(あくまで俺の主観だが)自分の中にある曖昧模糊とした部分を語ることが多い。そういった不確かなものを(いかに俺の話に興味がない者であろうと)相手に語り続けるのは非常に労力を要する。それを何度も繰り返す俺の苦痛といったら…ああ、筆舌に尽くしがたいこの苦痛と憤り。話のうまくない俺に対する当てつけかと。これなら壁にでも語りかけて、考えを整理している方が、ストレスもない分ましというものだ。

充電も残り少ないので、大事なことを記しておこう。俺たち仲良し!

川嶋の釈明

これは試みだからと釈明をしたくなったが、彼のいうことは間違っていないのでぐうの音も出ない。もし逆の立場だったとしても私は怒らない。議論が面白いときに逸れてしまったが『猫語の教科書』はたぶん面白いと思う。ネコと文学は今風なテーマだと思ったがまた次回に。最後に、阿保みたいに喧嘩できる仲間がいてよかった〜〜〜