がんの骨転移の診断は、医師の経験に頼る部分が多く、特に良性疾患との鑑別が難しいです。特に画像のどこをどのように判定をするのかは、個人差を含むため主観性が課題としてありました。近年2次元画像(プラナー像)に対する診断支援技術が普及し、誰がみても同じように結果を解釈できるなりました。しかし、3次元画像であるSPECT/CTの診断支援技術は確立されていません。
アプローチ:
骨SPECT/CT画像から、どこに集積があるのかを自動的に検出し、AI(畳み込みニューラルネットワーク)が骨転移特有のパターンを学習させます。転移が疑われる部位を自動で検出し、さらに良性か悪性かを高い精度で鑑別するシステムを開発しました。
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同じ患者でも、撮像する装置や設定が異なると、画像の「数値」が変わり、客観的な評価が困難になります。たとえば、PETでは画素値そのものがSUVとして広く普及していますが、SPECTではカウント値になるため画素値は、投与量や収集時間、再構成条件で容易に変動してしまいます。
アプローチ:
骨や心臓のSPECT画像において、物理シミュレーションやファントム実験を通じて、最も信頼性の高いデータが得られる撮像・画像再構成の「最適条件」を明らかにしました。これにより、医療施設間でデータを比較できる「標準化」の基盤を構築しています。全国の多施設との共同研究にも取り組んでいます。
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心アミロイドーシスや心サルコイドーシスは、早期発見が予後を大きく左右するものの、診断が難しい心臓の難病です。
アプローチ:
PETやSPECT画像を用いて、心臓に蓄積する異常タンパク質や炎症を定量的に検出する新たな手法を確立しました。従来の主観的な診断法に比べ、より客観的で早期の診断を可能にする指標を提案しました。心アミロイドーシスでは画像の変化から疾患負荷(どれくらい心臓の機能に影響するのか)を評価する新しい指標を考案しました。
関連テーマ:
肺がん手術では、がんを切除しつつ、患者さんの呼吸機能を最大限に温存することが重要です。
アプローチ:
SPECT/CT画像を用いて、肺のどの部分がどれだけ呼吸機能に貢献しているかを詳細に解析しました。手術で切除する領域を想定し、術後の呼吸機能がどう変化するかを予測するシミュレーション技術を開発しました。
関連テーマ:
国内だけでなく世界中で、がんに対する標的放射性同位体治療(Targeted Radionuclide Therapy:TRT)に関する研究が進められています。
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