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性分化疾患(DSD)当事者がP&Gを提訴
誤情報を指摘した通報者への懲戒処分と報復に対し、損害賠償などを求める訴訟
概要
2025年6月25日、P&Gグループの元社員が関係3社を被告として、東京地方裁判所に対し、不当な懲戒処分の無効確認と損害賠償を求める訴訟を提起します。原告は、P&G社内において性分化疾患につき「インターセックス=男性と女性のコンビネーション」といった誤った表現が多くの社内研修資料に使用されていたことを指摘したところ、会社から通報者として報復を受け、精神的損害を被ったと主張しています。
問題の背景
P&Gは、先天的性分化疾患(DSD)の当事者を「インターセックス」と呼び、「性自認」や「第3の性」として扱うなどの誤った説明を、GABLE(社内LGBTQ+アライ組織)の資料を通じて社内で広く拡散してきました。
原告は、P&Gイノベーション合同会社に勤務していた際、ロキタンスキー症候群(MRKH:生まれつき子宮や腟がない、あるいは一部が欠損している)というDSDのひとつを持つ当事者として、DSDが先天的疾患であり、性自認や第3の性でないことを伝え、社内活動における誤情報の是正を繰り返し訴えてきました。
通報と報復
原告は2023年6月以降、社内のコンプライアンス相談窓口を通じて計4回の内部通報を行い、是正と再発防止を求めました。しかし、P&Gはこれに応じるどころか、原告が送信したメールに対し「INTERSEX」や「GABLE」などの特定語句を含む場合に自動的に人事部へ転送する仕組みを設定しました。原告は精神的負荷から適応障害を発症しました。
その後、原告に対して懲戒処分を実施され、2025年5月に退職を余儀なくされました。
訴訟の主張
本訴では、以下の違法性と責任を問います:
・社内教育における誤情報(インターセックス=男女の中間など)を放置し、是正を拒否したこと
・原告の内部通報に対し、内容を関係者で共有し、調査ではなく黙殺・懲戒・監視を行ったこと
・黙ることを強要する業務命令や、虚偽の事項に基づいて懲戒処分に処したこと
P&Gの「公正と包摂(Equality & Inclusion)」の看板とは裏腹に、少数者の実態と声が排除されている現状を、本件は明らかにするものです