研究テーマ化ディスカッション
インターネット社会化によるトラストへの影響
(林達也/慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)
(林達也/慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科)
発表者は現在、インターネット後のデジタル社会におけるトラストを研究テーマとして扱おうとしており、進め方に対するアドバイス、先行研究の指摘や課題の整理など、研究テーマの精緻化につながる議論をお願いしたい。
議論のテーマとしてひとつ挙げられる点として、インターネット社会に至った結果としてのスケーラビリティの拡大がある。これは、いわゆる情報システム的な話だけではなく、時間・空間的なスケーラビリティの拡大をどう捉えていくかがある。ライフサイクル的な考えであっても、「林達也」という人物の信頼がのライフサイクルにおける取扱は、18世紀などと比べてもおそらく全く違ったものになっているだろう。従来、社会制度は国家や文化などに立脚していた。インターネットは、人の一生と較べて圧倒的なスケールの情報伝達能力を持ち、さらに国境を、文化を越えて存在している。
この中で、組織と組織、組織と人、人と人などの信頼に求められる役割は大きく、今後は更に重要なものになることが予測される。これらインターネットを前提とした社会における信頼を考えるにあたり、発表者はその社会受容性について問題提起を行っており[林2017]、今後信頼を補強するための枠組みや現在における信頼の構成要素について一定の明確化をしていきたいと考えている。
これを拡張し得る先行研究として、[成田2003]や[Lessig2006]などがあり、これら先行研究の未解決課題等の整理も含めて本研究の方向性を議論いただければ幸いである。
[林2017] 林達也ら, Web PKIとBitcoinを事例にした基盤技術の普及と信頼の社会受容に関する考察, コンピュータセキュリティシンポジウム2017論文集, pp.672-679, http://id.nii.ac.jp/1001/00187181/, 2017年10月
[Lessig2006] L.Lessig, Code v2, http://codev2.cc/, 2006.
[成田2003] 成田康昭, インターネットにおける信頼の構造, 応用社会学研究, 45, pp.31-43, https://ci.nii.ac.jp/naid/110000117715, 2003.
主催者コメント
本セッションは、勉強会ネタとして以前から挙げていた中のひとつの、研究テーマ化 ディスカッションとして開催します。林さんはトラストを扱う研究テーマを立ち上げようとしており、これに対して様々なアドバイスを期待しています。
トラストに関連する周辺領域の研究分野からのインプットや論点整理はもちろん、トラストに関わらず純粋に研究者としてのアドバイスなども含めて、 是非発表者をエンカレッジいただけるご議論をいただけますと幸いです。
今後もこうした研究テーマ化ディスカッションの企画提案を受け付けます。 ご自身あるいは学生の方の研究テーマ化で悩んでいる方はどうぞ遠慮なく ご相談ください!