東西東西・噺屋:■■ ■■の興行
─終幕:「また皆々様と相まみえる日を、
心よりお待ち申し上げております」─
~断片回収版~
─終幕:「また皆々様と相まみえる日を、
心よりお待ち申し上げております」─
~断片回収版~
[台本]東西東西・噺屋:■■ ■■の興行 ─終幕:「また皆々様と相まみえる日を、心よりお待ち申し上げております」─~断片回収版~
〇鬼嫁 弓燁(おにとつぎ ゆみか)
16歳、女性
元気で純粋無垢で、要領が良く品行方正な高校二年生。
○ノウン・ヤン・アモーク
16歳、女性
生真面目で融通の効かない性格をしているが悪い子ではない高校二年生。
〇尊海 牢乎(とうとうみ ろうこ)
40歳、男性
寺生まれの“祓い屋”で“咄屋”。
軟派な発言が多いが物腰柔らかく、温和な人物。
鬼嫁 弓燁♀:
ノウン・ヤン・アモーク♀:
尊海 牢乎♂:
虚聞飛鳥馬華蔵閣 一♂:
慈苑戸 畢♀:
半 シオン♀:
亘理 進一♂:
ニキータ・マクスウェル♀:
朱間宮 椛♀:
ジュゼちゃん♂:
↓これより下が台本本編です。
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(牢乎、一礼して表を上げる。)
牢乎:「とざいと~~~ざい~~~~~~!!」
牢乎:「皆々様、ご機嫌よろしゅうございりまする。
私、尊海 牢乎(とうとうみ ろうこ)、と言うものでございます。
表向きは笑顔が爽やかと評判のモテモテ坊主。裏では最強の祓い屋。
さらにその裏の姿は……“咄屋(はなしや)”!」
牢乎:「咄屋:尊海 牢乎、でございます。」
牢乎:「よっ!尊海屋(とうとうみや)!!人でなし!」(一人二役風に)
牢乎:「本日、皆々様に語るは、とある物語の“えぴろぉぐ”。」
弓燁:「ロウコさーん!」(遠くから)
牢乎:「ん。もう行くのか~い弓燁(ゆみか)ちゃーん?」(弓燁の方を見る。)
弓燁:「はい!いってきまーす!」
牢乎:「はーい!気をつけてねぇ~!
楽しい夏休みを~!」
弓燁:「は~い!」
(弓燁、隣にいるノウンに対して。)
弓燁:「ノウンちゃん!行こ!」
ノウン:「ああ。」
(ノウン、牢乎に向かって一礼する。)
ノウン:「……。」
(弓燁とノウン、去る。)
牢乎:「……ふふ。」
間。(牢乎、着物をビシッと整える動作をする。)
(※■■は無音やノイズでお願いします。)
牢乎:「さて、その“とある物語”とは、『東西東西・“噺屋(はなしや)”:■■ ■■の興行』……。
あれ?■■ ■■。■■ ■■。■■く~~~ん。
……ははは。是非も無いな……。
ま!ともかく!“とある少年”を主人公とした物語でございます。
その少年は──」
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~昼、バス停~
弓燁:「──その人はどんな人だったの?」
ノウン:「んー?そうだなー
……とにかく、無礼なやつだったな。」
弓燁:「ぶ、無礼……?」
ノウン:「ああ。ワタシが転校してきた日なんて酷かったぞ。
何かある度に突っかかってきて、素直に鬱陶しかった!」
弓燁:「わあ……!」
ノウン:「……でもな。ワタシは、それまで、同年代の友人というのが居なかったし、
喧嘩なんて吹っかけてくる相手も居なかったから、鬱陶しかったけれど、嬉しかったし楽しかったな……。」
弓燁:「……そっか。えへへ。」
ノウン:「……。
さて、とりあえず何処から探そうか。」
弓燁:「んーとりあえず、国内からだけど……」
ノウン:「上から下に行脚していくか。」
弓燁:「そうしようか!」
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畢:「ししょ~」
一:「んー?どうしたんだね?畢(おわり)くん。」
畢:「なんでオワリたちはアマゾンの奥地に居るんですか~……?」
一:「仕方が無かろうよ。私を掬いし英雄サマが何処に居るのか分からないのだからなァ。」
シオン:「だとしても、だ。
何故……彼となんら関わりの無い、はず、の、場所ばかりを……」
畢:「そ~ですよ~
全然まずは国内からで良かったじゃないですか~……」
一:「ハハハ。オワリくんもまだまだだね。」
畢:「えぇ???」
一:「国内だったら、三人で探してる且つ、縮地などで移動が早い私たちが彼をいち早く見つけてしまうでは無いか。」
シオン:「それの、何が悪いん、だ?」
一:「彼を一番に見つけるのなら、彼女たちの方が“どらまちっく”だろ?」
畢:「ッ!!!な!なるほど!!!!」
一:「それに彼女たちが全世界を行脚するのは些か大変であろう。
故に、私たちがこういう所を“一応”探すのだ。」
シオン:「な……一(ハジメ)のくせに、ちゃんと考えて、る……!」
一:「ははは!そうであろうそうであろう!!」
畢:「流石です!!」
一:「閑話休題。それはさておき。ともかく、だ。
新種生物を見つけて歴史に名を残すぞー!!」
畢:「おー!」
シオン:「英雄サマを探すんじゃなかったのか!?」
(一と畢とシオン、アマゾンの奥地へと……)
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牢乎:「皮肉屋で口が悪く、喧嘩っ早く、陰気なその少年は、世界を救い、消えました。
それは何故か。」
間。
牢乎:「その故とは、“愛”です。」
牢乎:「少年は“人を愛しちゃいけない、人に愛されちゃいけない”と度々言っていたものの、
彼の行動の根本は“愛”でございました。
“誰か”を愛していたわけではなく、漠然と“誰か”を愛したい、と。
恋に恋をする様に、漠然と“誰か”を救おうと。」
間。
牢乎:「その結果、彼が救ったのが、とある少女でございます。
ごく平凡な少女、“鬼嫁 弓燁(おにとつぎ ゆみか)”。」
牢乎:「ここで一つ、ひっくり返さなければならない事がございます。
とは言え、ひっくり返すと言っても、順序を、ですがね。」
牢乎:「少年は、“とある少女”を救う為だけに“世界を救った”のです。
己の身を、己の全てを犠牲にしてまでも。」
間。
牢乎:「異常。と、思われますでしょうか?」
間。(牢乎、観客席を見渡すような素振りをする。)
牢乎:「ふんふん。皆々様の反応を見るに、普通って思う人が半分、おかしいって思う人が半分、といった感じでしょうか。
マァ、通常異常の感じ方なんて人それぞれの価値観ですので、割れて当たり前というところ。」
牢乎:「ん?私?私はどう思うのかって??
そりゃア、勿論。異常だと思いますねぇ。
けれど、その少年は異常で構わない。むしろ、そうであってくれて少しホッとしております。」
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(ノウン、■■の似顔絵を人に見せている。)
ノウン:「すまない。この似顔絵の様な男を見たことは無いか。
……背丈は、そうだな。ワタシより少し高いくらいだ。」
間。
ノウン:「……そうか。突然失礼した。ありがとう。」
弓燁:「ここら辺もだめだったねー」
ノウン:「そうだなー……」
弓燁:「……。やっぱり……」
ノウン:「ん、どうした?」
弓燁:「ううん!何でもない!」
ノウン:「……諦めるな。
だが……もしかしたらワタシの描いた似顔絵が酷すぎたのかもしれない……。」
弓燁:「そっ!そんな事は……スゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーー……」
ノウン:「ある……かもしれないのか……」
弓燁:「でっ!でもでも!私が夢で見たのも、大体こんな感じだった気がするし!
見たことある人なら分かるよ!きっと!!」
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(椛とジュゼちゃん、学校の屋上で夕日を眺めている。)
椛:「ねえ。」
ジュゼちゃん:「なんだ。」
椛:「アタシたちも探すの手伝ったりしなくて良いのかなー?」
ジュゼちゃん:「貴様がそこまでする必要は無かろうよ。
それに僕は、元々彼らとは敵同士だしな!」
椛:「でも一緒に世界を救った仲だよ?」
ジュゼちゃん:「あれはむしろ僕たちは手伝ってやった側なだけだろ。」
椛:「そー……だけどさー……」
間。
ジュゼちゃん:「というか……何故僕は未だにこの姿なのだッ!!!
世界を救ったら元に戻してもらえるってハナシだったのにッ!!!!」
椛:「えーもうそのままでいいじゃん。」
ジュゼちゃん:「“いいじゃん”なワケが無かろうよっ!!!
早く妖艶且つ眉目秀麗な元のカリオストロ伯爵サマに戻してくれ~~~~!!!!」
椛:「……はっ」
ジュゼちゃん:「鼻で笑うなっ!!!」
椛:「彼を救うまでがワンセット、なのかもよ?」
ジュゼちゃん:「え~~~い!うるさいうるさいうるさ~~い!
というか!僕たちがここに留まるのもまた大事な事であろうよ!」
(ジュゼちゃん、こほんと一息つく。)
ジュゼちゃん:「妖(あやかし)を正しき姿に戻した、と言っても、中には好んで妖(あやかし)を続けている輩も居る。」
椛:「そうだねー……ただでさえ、魔族が居るのに、まだ妖(あやかし)が居るんだもんね。」
ジュゼちゃん:「故に、僕たちはこの町と、ついでにロウコたちの町も守ってやる。
それが、僕とモミジ……死神系魔王少女アンゴル★モアの役目では無いかっ!」
椛:「……ふふっ、それも一理あるかもね。」
ジュゼちゃん:「とか言っている間に日が暮れた!!
さ!今日も僕たちで町をパトロールだ!!」
椛:「はーい!死神系魔王少女アンゴル★モア!いっきまーす!!」
(椛とジュゼちゃん、夜の町に消える。)
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牢乎:「ホッとはするものの……。
私、こう見えてハッピーエンド主義者で御座いまして、
これでは、救えぬ者らが、ただただ少年一人に全てを押し付けた滑稽話でしか御座いません。
故に、私は……いいえ。“私たち”は皆様からの顰蹙(ひんしゅく)を買ってでも、
“ズル”を幾つか仕込ませて頂きました。」
間。
牢乎:「おお、どよどよとして参りましたねぇ。
しかし、今回の一番の功労者をぽつねんとさせるのは、忍びないと、皆々様も思いますよねぇ?」
間。
牢乎:「思わない!?それはそれは殺生な!」
牢乎:「ふふふ、ですが。
私が『是』と言えば『是』となり、『非』と言えば『非』で御座います故。」
間。(牢乎、あわあわとする。)
牢乎:「あ~~~!!物は投げないでくださいませ!缶は辞めてくださいませ!せめてプラスチックで!!何卒!何卒~!」
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(ニキータ、誰かと電話している。)
ニキータ:「はい……はい……はい~彼に会ったらよろしく言っておいてくださいね~♪」
(進一、ノックして校長室に入る。)
進一:「失礼します。」
ニキータ:「あら、進一(しんいち)!今日はもう休んでてって言ったじゃないですか!」
進一:「そーゆーワケにも行かねぇだろ。
オニトツギたちとは連絡取れたか?」
ニキータ:「はい、ちょうど先程、彼の居場所を伝えた所です。」
進一:「そうか……ふぅー……いやー……バイクでひとっ走りした甲斐があったぜ。」
ニキータ:「本当にありがとうございます、シンイチ。」
進一:「良いって事よ。
俺とアイツは世界を変えた野郎同士だ。これくらい、朝飯前だ。」
ニキータ:「とは言いつつ、出発から半月掛かりましたけどね~」
進一:「うるせーなー」
ニキータ:「だから!部活動の方は青咲(あおさき)先生にまかせて、今日は休んで下さいって言ったのに!」
進一:「まーまーまーまー」
ニキータ:「全く!」
進一:「……アイツら、会えると良いな。」
ニキータ:「そうですねぇ。」
間。
ニキータ:「あの三人がまた共に笑えるように、私は心から祈ります……。」
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弓燁:「まさかまさかだね!」
ノウン:「そうだな!
まさか南の方で目撃情報があったとは!」
弓燁:「マクスウェル校長先生と亘理(わたり)先生に感謝だね!」
ノウン:「そうだな!二人にはずんだ餅を送っておこう!」
弓燁:「うん!いざ目指せ!港町!“安鶴町(あづるちょう)”!!」
ノウン:「おう!」
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牢乎:「はあ~~~~~~~エライ目にあった……!
こういうのは僕の領分じゃないんだけどな~~~」
間。(牢乎、着物をビシッと整える動作をする。)
牢乎:「さて、続き続きっと……
ん?ここからどうやってハッピーエンドにするかって?
まあ、確かに。■■ ■■という少年は既に燃料として全てを焼却しきり、
事実、私も彼の名を呼ぶ事が出来ないでおりますねぇ。」
間。
牢乎:「けれど、そんなのは嫌だと駄々を捏ねてくださった方がいらっしゃったのです。
誰かって?
ははは。はははのは。それは……お口チャック、ですよ。
強いて言うなれば、この物語を最初の最初から見ていてくれて、聞いていてくれていた、“誰か”、です。」
間。
牢乎:「少年が“誰か”を救いたいと思っていた様に、“誰か”も少年を救いたいと思っていたのです。
いやはや、まさかまさかの相思相愛。
きっと彼らは最後の最後に出会うことが出来たのでしょう。」
牢乎:「そこで、どういったやり取りをしたかは私には知る由もないですが。
“誰か”さんは上手い事、彼を乗せたんでしょうね。
そうですねー……例えば……“君よりもっと良いお話を聞かせてあげる”、とかでしょうか?
まあ、実際のところは分かりませんよ?
ただ、“噺屋(はなしや)”である以上、
“お前よりも良い”!とか、“アンタよりも面白い”!とか言われちゃ黙ってられないもんです。」
牢乎:「陰気で皮肉屋で口が悪く、喧嘩っ早いその少年が“誰か”さんと約束、
つまり“繋がり”を“口に出した”らもう、ね!
“口から出る”と書く“咄屋(はなしや)”の私の出番です!
私は“口から出たモノを本当にする”事が出来るのです!!
ズル?元の木阿弥??卑怯者???」
牢乎:「あ~はっはっはっは~卑怯者で結構~~~!」
(牢乎、客席にダイブし乱闘騒ぎを起こす。)
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(弓燁とノウン、浜辺を徘徊している。)
ノウン:「ふむ、この時間帯はよくこの辺をうろうろしているらしいな。」
弓燁:「そうみたいだねー……どこにいるんだろう……」
ノウン:「聞けば成績不振で夏休みの半分が補習らしいが……結局サボってるらしいな。
……ったく!アイツはどこでもそうなのだな!」
弓燁:「……あ!ね!ね!ノウンちゃん!」
ノウン:「ん?どうしたんだユミカ……────っ!!」
弓燁:「ねえ!やっぱりそうだよね!」
ノウン:「あ……ああ……!」
弓燁:「ふふっ!」
(弓燁、音が遠くに飛ぶように口元に両手を当てる。)
弓燁:「おーーーーーーーーーーーーいっ!!!!」
間。(■■、弓燁たちの方を向く。)
ノウン:「ははは……!」
(ノウン、弓燁を真似て口元に両手を当てる。)
ノウン:「なーーにムスっとしているのだーーーーーーーーーーっ!!!!」
■■:「──────────」
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(牢乎、少しぼろぼろ。)
牢乎:「ここからどうなるかはあの子たち次第!
サテサテ!ハイ、では皆々様御一緒に──
テンポを合わせて、拍手をしましょう!!」
間。(牢乎、パパンと手を叩く。)
牢乎:「これにて!今度こそ!『東西東西・“噺屋:天犬 大火(あまいぬ たいが)”の興行』は、終幕です!!!
ではでは、隅から隅までずずずい~っと希い上げ奉りまする(こいねがいあげたてまつりまする)~~!!
また、皆々様と相まみえる日を、心より!お待ち申し上げております~~~~~!!!」
(牢乎、笑顔のまま頭を下げる。幕が閉じる。)
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END