ココロパレット
1. ココロパレットとは?
ココロパレットは、子どもが「今の気持ちに名前をつける」ことを助ける 感情ラベリング下敷き です。
気持ちを言葉にすることが苦手な子でも、イラストや言葉を見ながら選ぶことで、心の状態を整理しやすくなります。また 表現力の伸長 語彙力の向上 学習・支援の基盤形成に役立ちます。
日常に取り入れることで、子どもの成長をやさしく支えます。
2. 基本の使い方
見て選ぶ
下敷きの中から「今の気持ちに近いもの」を指差したり、声に出したりして選びます。
伝える
「今はこの気持ち」と先生や保護者に伝えます。話すのが難しいときは、選んだ場所を指差すだけでもOKです。
記録する
選んだ気持ちをノートやワークシートに記録すると、気分の変化や成長が見えるようになります。
3. 活用の場面例
学校で
・朝の会や帰りの会でその日の気持ちをチェック
・授業の始まりに気持ちを整える「切り替えツール」として
・国語・生活科の作文や日記に活用(「今日の気持ちは◯◯。なぜかというと…」)
・面談やカウンセリングでの対話のきっかけに
家庭で
・登校前の気持ち確認に
・一日の終わりに親子で感情を振り返る時間に
・兄弟げんかや気持ちのすれ違いを整理するときに
・「今日の気持ち」をきっかけに親子の会話を広げる
4. できること
心の安定
感情に「名前」をつけることで気持ちが落ち着きやすくなる。
自己表現の支援
選ぶだけで気持ちを伝えられる。会話や作文の出発点になる。
語彙力・表現力の伸長
感情語を繰り返し使うことで語彙が豊かになり、作文や会話に活かされる。
記録と振り返り
感情の変化を見える化し、支援や学級経営にも役立つ。
5. 学術的背景
感情ラベリング効果(Lieberman et al., 2007)
感情を言葉にすることで扁桃体の過剰反応が抑制され、心が安定しやすくなる。
メタ認知の発達(Flavell, 1979)
自分の気持ちを客観視し言葉でとらえることは、学習や自己理解の基盤になる。
SEL(社会情動的学習)(CASEL)
「自己認識」はSELの第一領域。ココロパレットはその育成を日常的に支える。
語彙習得理論
抽象的な感情語を繰り返し使用することで語彙力が拡張し、作文や会話の力が伸びる。
ナラティブ・アプローチ(White & Epston, 1990)
感情を言葉にして語ることは、自分の経験を「物語」として再構成し、自己理解を深める。
特別支援教育での意義
視覚的補助によって感情表現を支援することは、TEACCHなど構造化教育とも親和性が高く、発達障害や情緒障害をもつ子どもに有効。
6. サポートのポイント
子どもが選んだ気持ちを 否定しない
「どうしてそう感じたの?」を無理に聞かず、まずは「そうなんだ」と受け止める
慣れてきたら「その気持ちのときに、どうしたら安心できる?」と一緒に考える