Department of Mathematics Tokyo Institute of Technology
2-12-1 Ookayama, Meguro-ku Tokyo 152-8551, Japan
Normally the seminar meets on Thursdays in room H201, 3:00 pm- 4:00 pm
13 February
青木孔 (数学系 B3)
タイトル:テンソル三角幾何
アブストラクト:彩色ホモトピー論(chromatic homotopy theory)の深い結果に Hopkins–Smith のシック部分圏定理(thick subcategory theorem)がある。有限 p 局所スペクトラム(finite p-local spectrum)のなす三角圏のある条件をみたす部分圏(シック部分圏)を決定するものである。その代数的類似として Hopkins は可換環上の完全複体(perfect complex)のなす三角圏のシック部分圏を考えた。(結果は後に Neeman によって修正されている。)さらに Thomason はテンソル構造を含めて考えることによりスキームの場合へ結果を拡張した。
Balmer はこれらのシック部分圏についての考察を推し進め、一般のテンソル構造の定まっている三角圏(テンソル三角圏)に対し、三角スペクトラム(triangular spectrum)という位相空間を定義した。スキームがその上の完全複体のなすテンソル三角圏から三角スペクトラムとして復元できるという再構成定理(reconstruction theorem)がある。三角スペクトラムの定義は可換環に対する Zariski スペクトラムと似ているのだが、この事実から実際に一般化になっているとわかる。テンソル三角圏があればその三角スペクトラムがあるので、安定ホモトピー論や代数幾何以外にも例えばモジュラー表現論といった分野において考えることができる。
というわけで今回はこのようなテンソル三角幾何(tensor triangular geometry)と呼ばれる分野について話す。三角スペクトラムについて、その定義・行われている計算・どう応用されているかを述べたい。そして時間があれば私が最近やった三角スペクトラムの計算を紹介したい。その際には無限圏(∞-category)がどう役立ったかなどを説明したい。