「東京烤鴨」第二回「集まれ!日本と中国の作曲家たち」が2024年8月16日に開催されます。そこで、「Dreikanter」を作曲した李俊霖さんにインタビューをしました。李俊霖さんは中国出身のピアニスト、作曲家である。現在アメリカ在住。今回のインタビュアーは作曲家の余鋳恩が担当しました。
「東京烤鴨」第二回「集まれ!日本と中国の作曲家たち」が2024年8月16日に開催されます。そこで、「Dreikanter」を作曲した李俊霖さんにインタビューをしました。李俊霖さんは中国出身のピアニスト、作曲家である。現在アメリカ在住。今回のインタビュアーは作曲家の余鋳恩が担当しました。
李俊霖(リ シュンリン)
中国・広州で生まれ育った作曲家兼ピアニスト。作品は中 国、日本、アメリカ、イギリス、クロアチア、オーストリア など、さまざまな国で演奏されている。Brand New Orchestra(イギリス)、Psappha Ensemble(イギリ ス)、PHACE Ensemble(オーストリア)、 MidWalesStrings(イギリス)などのアンサンブルや演奏 家と共演してきた。また、Ruth Gibson、Jeanette Szeto、 趙方偉、申善宇などのソリストとも共演。
(Instagram: auburn11111)
李さんの近作、「波紋」というのは「ジョジョの奇妙な冒険」からインスパイアされたそう
余:今日はインタビューを受けていただきありがとうございます!今回はいくつかのテーマで自由に話しましょう。まず、よくある質問ですが、あなたの音楽キャリアはどのように始まりましたか?
李:初めまして!私は6歳からピアノを習い始め、中学2年生から作曲を学び始めました。
余:中学2年生からですか、それはとても早いですね。
李:そうですね、でも最初はK-POP、R&B、メタルコアなど、さまざまな音楽ジャンルが好きでした。バンドでギターやドラムセットを演奏していたこともあります。これらの経験はその後の創作に大きな影響を与えました。具体的には、今の作曲ではアコースティック楽器を使って電子音楽の効果を「模倣」することが多いです。
余:電子音楽の考え方を使ったアコースティック楽器の作曲というのは非常に現代的なアプローチですね。ベートーヴェンにはできなかった音楽であり、コンピューターの発展によって生まれた時代の刻印と言えるでしょう。
李:そうです。今回の私の作品にもそれが反映されています。現代の聴取環境が生み出した音、例えばテープの繰り返しや故障に関連する音が多く含まれるかもしれません。
余:新しいものは常に私たちをワクワクさせます。ちなみに、李さんはどのように今の創作スタイルに辿り着いたのですか?
李:ミニマル音楽のスタイルから始まり、その後ポストトーナリティと新古典主義の融合スタイルに変わり、最終的に現在の「電子-アコースティック」スタイルに至りました。
余:その変化のきっかけは何かあったのですか?
李:特にきっかけはなかったです。自然の流れのような感じです。すべての変化が前のスタイルを完全に否定するわけではなく、以前のスタイルは新しい作品に刻印されて残っています。つまり、これまで学んだことが蓄積され、最終的に個人のスタイルが見つかるのです。
余:影響を受けた作曲家はいますか?
李:また、私が特に好きで、最も影響を受けた作曲家はブラームス、ショパン、マーラーの3人です。ただし、私はナラティブな音楽よりも絶対音楽を好む傾向があるので、シューマンよりもブラームスが好きで、シュトラウスよりもマーラーが好きです。また、20世紀以降の作曲家だと、高校1年生のときにメシアンの「トゥーランガリラ交響曲」を聴いて、この作品は私の考え方を大きく変えました。彼はこの作品で多くの新しい手法を使っていて、新しい楽器(オンド・マルトノ)、新しいナラティブ、従来のクラシックとは異なる構造など、すべてが私に音楽で何でもできるということを教えてくれました。
余:わかります、目から鱗が落ちるような感じですね。
李:最近では、Eric Wubbelsの影響を強く受けています。彼は私の先生でもあります。彼の作品「Katachi」をお勧めします。多くの天才的なアイデアと名手の筆致が詰まっています。モジュール的な思考や電子的な処理の天才的なアイデアが含まれており、私の創作にも大きな影響を与えています。
Eric Wubbels「Katachi」
余:これは確かに傑作ですね。
余:非常に納得できます。今回の委嘱新作「Dreikanter」について話していただけますか?
李:この作品はポップ要素、電子要素、ロック、フリージャズを融合させ、さらにラフマニノフの「ピアノ協奏曲第四番」を引用しています。先ほど述べたように、私の創作スタイルが反映されており、カセットテープの音やグリッチアート、さまざまなスタイルの融合など、包容性を持った作品です。
余:とても楽しみです!このコンサートでは私を含めて3人がクラシックの名作からの引用する予定で、とても面白いことになりそうです。ありがとうございます!
李:インタビューありがとうございます!
文責:余鋳恩
翻訳:佐藤伸輝
李さんの委嘱新作「Dreikanter」の冒頭
李さんは以下のコンサートにて、新作「Dreikanter」を初演されます。演奏は、本多悠人、笠木颯太、戸澤正宇によってなされます。
是非お越しください。
【後援】(公社)日中友好協会
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【助成】公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 [ スタートアップ助成 ]