原本の装丁は、全8冊の合綴本。8冊中に、計101点の浄瑠璃本(単行の刊本)が、およそ年代順等の配列で綴じられている。本紙・表紙への書き込み内容により、合綴時期はおおむね幕末以前と推定される。各巻とも幾度か裏打ち等の補修を経た痕跡が残る。合綴本の書誌については、拙稿(「新出稀覯の常磐津正本『緑増常磐寿』」『日本伝統音楽研究』第16号、2019年)にも記したので参照いただきたい。
目録における「仮番」の数字は、調査時点における仮の冊次を示す。アルファベットは各巻内の配列順を示す。「A」は各合綴本の表紙・扉に付与した。
目録の「種別」に「稽古本」と記した本は、すべて大判の献上本として出版された稽古本の初版本とみられ、原装の青表紙を除去した痕跡(写真・右)がそれぞれの本紙に残る。
目録の「開曲者」は、当該本の初丁表または奥付に版刻される演奏筆頭者を記した。数字は考証代数。
当コンテンツに掲載される正本(本紙)の写真は、本紙の清浄後、虫損の繕いにかかる前に撮影したものである。
影印は、所蔵者の協力と意向を踏まえ、公開準備の整ったものから順次、掲載点数を追加していく予定である。
01-A
1冊目の表紙。「鶴弐」、「明和七庚申〔正しくは「寅」〕正月上るりより・天明八申正月狂言迄」、「元祖文字太夫・二代目文字太夫/薄本弐」。
01-O01
1冊目の巻末。連名によれば、明和7年(1770)正月「藻塩艸須磨朧夜」稽古本の奥付に相当するもの。
01-O02
1冊目のウラ表紙。
02-A
2冊目の表紙。「鶴三」、「安永三甲午四月八日より・同八亥顔見勢迄」、「二代目文字太夫・兼太夫之頃の/薄本」。
02-M01
2冊目の巻末。連名によれば、明和8年(1771)11月「懐花郭馴閏」稽古本の奥付に相当するもの。
02-M02
2冊目のウラ表紙。
03-A
3冊目の表紙。「鶴六」、「寛政三辛亥正月より・同五癸丑九月狂言迄」、「二代目文字太夫薄本」。
03-M01
3冊目の巻末。連名によれば、寛政5年(1793)9月「寿月見の盞」正本の奥付に相当するもの。
03-M02
3冊目のウラ表紙。
04-A
4冊目の表紙。「鶴八」、「寛政七乙卯霜月ヨリ・同十戌午五月狂言迄」、「二代目文字太夫薄本」。
04-N01
4冊目の巻末。連名によれば、寛政9年(1797)初演曲の稽古本の奥付に相当するもの。
04-N02
4冊目のウラ表紙。
(以下、05より08まで、作成中)