ご挨拶

学生口頭発表の受賞者

最優秀賞

川田 成紀  (名古屋市大・院薬・細胞分子薬効解析)

演題名「肝星細胞におけるTREK1チャネルとT型Ca2+チャネルの機能解析


優秀賞

劉 嘉瑩 (自治医科大学・医学部・生理学講座・統合生理学部門)

演題名「HCN4 ペースメーカーチャネルのcAMP依存的活性化における電位センサーの動きの解析」

終了のご挨拶

東海地区 薬学系電気生理学研究会 キックオフを、令和5年9月19日・20日の2日間にわたり、静岡県立深林公園森の家にて開催いたしました。本研究会は、パッチクランプ実験を手段として膜イオン輸送体研究を行う仲間が集い、日々の実験苦楽を分かち合い、親睦を深めることを主目的としています。設立のきっかけは、昨年の生体機能と創薬シンポジウム2022の折、名古屋市立大学 山村寿男先生との立ち話です。パッチクランプ研究を分野外の方に正確に伝える際に、学生や初学者は、説明しきれないからという理由で重要な情報をカットしがちで、勿体ないという話になりました。そこで、学生さんに気兼ねなくノーカットの発表をしてもらい、パッチクランプの魅力について存分に語り合うため、東海地区薬学系の電気生理学研究会を設立するに至りました。厳密には「東海地区薬学系限定」ではなくて、今回も、西は九州東は栃木からのご参加があり、遠方から始発電車でやってきたパワフルな院生の方もいました。

今回、7名の学生さんに口頭発表を行っていただき、どの発表もよく考えられていて、研究会の趣旨を良くご理解した素晴らしい内容でした。参加した教員全員による厳正な審査の結果、最優秀発表賞1名、優秀発表賞1名が表彰されました。おめでとうございます。それに続く、グループディスカッションでも各グループごとに白熱した議論が行われました。盛り上がりは、そのままお楽しみのバーベキューに引き継がれ、奥浜松の三ヶ日牛に舌鼓をうちつつ親睦を深めました。第二部では、山村先生のナイトトーク「パッチとともに歩む人生30年(弱)」のサーガに沸き、グループディスカッションの後は、引き続き少人数で話しこんだり、大勢の仲間とゲームをしたりと、夜遅くまで宴が続きました。次の日は、早朝からスポーツで汗を流していた人も多く(若者だけでなく妙齢の先生までも)、皆さんのパワーに感嘆しました。

参加者は33名と人数は少ないながらも、濃密な時間を過ごすことができ、これもひとえに皆様方の暖かい御協力の賜物と、深く感謝いたしております。

 研究会の趣旨にご賛同いただき学生を送ってくださった先生方、特別講演の山村先生、ディスカッションをモデレートしてくださった先生方、準備を担当したスタッフに感謝いたしますとともに、心より御礼申し上げます。このキックオフが、今後の更なるパッチ関連研究の発展につながることを祈念いたしております。

令和5年9月20日

第1回 東海地区 薬学系電気生理学研究会 実行委員長 黒川洵子

キックオフのご挨拶

 電気生理学とは、生体でおこる電気現象を解析することにより、身体の仕組みを理解していく学問です。パッチクランプ法により得られた「生の電気的波形」は、生体が発する物理的信号を直接的にあらわしており、生きている状態を正確に捉えることができます。わずかな変化が新しい発見につながった事例は枚挙にいとまがありません。

 薬学分野においても、多くのイオンチャネルや起電性トランスポーター分子が薬物の標的であり、日本薬学会や日本薬理学会での演題も多くみられます。しかしながら、多くの聴講者は遺伝子やタンパク質の解析を中心に研究していて、電気生理学実験の生データをみせても議論が深まらないことも多くあります。そこで、電気生理学の研究室所属の学生・教員が集い、遠慮せずに最も重要なデータを示しながら議論する場が必要だと考えました。この意見に賛同する東海地区の薬学系研究室に声をかけ、ここに「東海地区 薬学系電気生理学研究会」を発足したいと思います。 

 参加者同士の親睦を深め、存分にディスカッションできるよう、実行委員一同で知恵を絞って企画中です。皆様と自然豊かな森林公園にてお目にかかれるのを楽しみにしております。


第1回 東海地区 薬学系電気生理学研究会 実行委員長 黒川洵子