前立腺がんの放射線治療について
前立腺がんの治療には、開腹手術、ロボット支援手術、内視鏡手術、組織内照射などさまざまな方法があります。当科では主に外照射を行っています。しっかりとした治療が行われれば、治療法による生存率の差はほとんどありません。そのため、患者さんの生活スタイルや副作用、入院・通院の期間を考慮して治療法を選びます。
IMRTについて
IMRT(強度変調放射線治療)は、治療効果が高く副作用が少ない優れた治療です。一方で、従来は約2か月間に40回ほど通院する必要がありました。近年は、寡分割照射(治療回数を減らした方法)が主流になりつつあり、東海大学では原則として20回で治療を行っています。また、さらに短期間で行う前立腺定位放射線治療(5回照射)もあり、治療効果や副作用は従来法と同等とされています。ただし、長期の観察データがまだ多くないため、当院では慎重に「臨床試験」として実施しています。
治療成績
病期によりますが、5〜10年で70〜90%以上が治癒しています。
再発の監視(PSAについて)
再発のチェックは主にPSA値で行います。手術では前立腺をすべて摘出するため、PSAがわずかに上昇しても再発と判断します。一方、放射線治療では前立腺が残るため、ある程度のPSAが出ることきにする必要はありません。
また、治療前後にホルモン治療を併用している場合は、正常な前立腺組織のPSA放出も抑えられるため、値が「0に近く」なります。ホルモンを終了するとPSAが上がることがありますが、これは正常な反応であり心配はいりません。1以下の変動はよくあります。
PSA再発(生化学的再発)の定義
現在の基準では、治療後の最低値(ナディア)より2 ng/mL上昇した場合に「PSA再発」とされます。ただし、この基準は非常に鋭敏で、実際の再発でないことも多いため、PSAが少し上昇しても治療を再開する必要はありません。PSA上昇がゆっくりであれば、10 ng/mL近くまで治療を開始しないという選択肢もあります。
PSAバウンスとは
放射線治療後に、再発ではない一時的なPSA上昇(PSAバウンス)がしばしば見られます。
バウンスがある方が、より治療効果が良いとされることもあります。再発との区別が重要なので、少し上昇しただけでホルモン治療を始める必要はなく、しばらく様子を見るのが適切です。
副作用
治療中〜治療直後
頻尿
尿の勢いの低下
など、前立腺周囲の炎症による症状が出ることがあります。治療後もしばらく続くことがあります。
長期的な副作用
直腸出血(排便時の出血、痔に似た症状)
IMRTでは発生頻度は低くなっています。便が硬いと弱くなった直腸壁とこすれて出血しやすいため、
便を柔らかくする薬
炎症を抑える座薬
を使用することがあります。少量の出血なら心配はいりません。数年かけて自然に治っていくことが多いです。
出血が多い場合は、内視鏡でレーザー照射を行い、出血しやすい血管を焼灼する治療を行います。