2025年度
2025年度
2025年 10月 31日 (金) 17:00--18:30
発表者:佐藤 直翔 氏 (東北大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
題目:ランダムな穴空き領域上のPoisson方程式の均質化
概要:有界領域$D \subset \mathbb{R}^{d}(d \ge 3)$に$\varepsilon$周期的に半径$\varepsilon^{\frac{d}{d - 2}}$の穴をあけた領域におけるDirichlet境界条件を課したPoisson方程式は,$\varepsilon \to 0$としたとき,穴の影響がポテンシャル項として現れる均質化方程式を持つことが知られている.本発表では,マーク付き点過程から構成されるランダムに球形の穴が開いた領域に対して類似の結果を示したGiunti, Höfer, Velázquezの結果(arXiv:1803.10214)を拡張し,穴の形もランダムにできることを報告する.
2025年 7月18日 (金) 17:00--
修士学生による発表
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
2025. 6. 13 (Fri) 17:00--18:30
Speaker: Krishna Maddaly (Ashoka University)
Venue: Science Complex A 803, Tohoku University (東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室 )
Title: Regularity of the density of states
Abstract:
For a long time for random Schrodinger operators the density of states was not known to be a measurable function but nothing more was known. In contrast for the Anderson model its regularity was known in the mid 80's. In a joint work with Dhriti Dolai and Anish Mallik, we showed that the density of states for the RSO is almost as regular as the single site distribution. Our method of proof works both for the Anderson model and the RSO.
2025年 6月 6日 (金) 17:00--18:30
発表者:清水 良輔 氏 (京都大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
題目:Laakso-type fractal space上の解析学とSobolev空間の特異性
概要:
近年のフラクタル上の解析学の進展により、Sierpinski gasketやSierpinski carpetといった典型的な自己相似集合上の(1,p)-Sobolev空間と対応する自己相似p-エネルギー形式が構成され、一階微分を捉えるためにp-walk次元という値が空間スケール指数として現れることが明らかになった。この値の挙動が種々の「特異性」と深く関係していると示唆されるが、そのような特異的現象の厳密な証明はSierpinski gasketの場合でも容易ではない。本講演では、Riku Anttila氏(University of Jyväskylä)とSylvester Eriksson-Bique氏(University of Jyväskylä)との共同研究(arXiv: 2503.13258)で得られた結果のうち、Laakso diamond spaceという空間上では異なる指数p, qのSobolev空間の共通部分は定数関数のみになるという新たな特異的現象に関する結果を紹介する。
2025年 5月 30日 (金) 17:00--18:30
発表者:笹谷 晃平 氏 (東京大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
題目:Construction of p-energy measures associated with strongly local p-energy forms
概要:
p-エネルギー形式とは,”Dirichlet形式のL^p版”にあたる対象であり,近年その構成及び性質の研究が進展している.(主たる動機の一つは、フラクタル上に(1,p)-Sobolev空間の対応物を構成することにある.)正則なDirichlet形式に対しては,その局所化にあたるエネルギー測度を定めることができるが,p-エネルギー形式の場合には同様の構成法を適用することが困難であり,エネルギー測度はエネルギー形式の具体的な表現や,自己相似性の仮定に強く依存する形で個別に構成されていた.講演者は,強局所,正則なDirichlet形式に対応する条件のみを課したp-エネルギー形式に対し,(空間/エネルギーの自己相似性の仮定を必要とせず),Dirichlet形式の場合とは異なったアプローチにより対応するエネルギー測度を構成し,連鎖律,Leibniz則などの諸性質や,それらの性質を満たすエネルギー測度の一意性を示した(arXiv:2502.13069).本講演では,これらの研究背景及び結果をより詳しく紹介する.
2025年 5月 9日 (金) 17:00--18:30
発表者:赤堀 次郎 氏 (立命館大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
題目:反対称版のマリアバン解析とKdV方程式
概要:本講演では,[1] で導入された反対称版のマリアバン解析(の作用素)によって[2]におけるKP方程式/KdV方程式のタウ関数の表現がどのように理解できるかについて論ずる。
[1] J. Akahori, T. Matsusita, and Y. Nitta, An Anti-Symmetric Version of Malliavin Calculus, Journal of Stochastic Analysis: Vol. 2: No. 3, Article 14.
[2] H. Aihara, J. Akahori, H. Fujii, and Y. Nitta, Tau functions of KP solitons realized in Wiener space, Bulletinof the London Mathematical Society 45 (2013) 1301-1309
2025年 4月 24日 (木) 16:30--18:00 ※解析セミナー (応用数理解析セミナーとの合同セミナー)
発表者:梶野 直孝 氏 (京都大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 801室
概要:
本講演では,Mathav Murugan氏(University of British Columbia)との最近の共同研究 (arXiv:2312.08546)で得られた「劣Gauss型熱核評価を満たす対称拡散過程, および その状態空間内の一様領域が与えられたとき,その一様領域上に自然に定まる反射壁拡散過程の境界跡過程は安定型(stable-like)熱核評価を満たす」という結果を紹介する.この結果は,それら自身興味深い結果である次の事実を証明することにより得られる:
(1) 調和測度(拡散過程の境界への初到達位置の確率分布)の上下評価とdoubling性
(2) 領域上のNa\"im核(Martin核のある種の「対称化」)の領域境界への連続拡張の存在
(3) 境界跡過程のDirichlet形式が,調和測度に関する跳躍核がNa\"im核(の連続拡張)
であるような純跳躍型Dirichlet形式で与えられることを意味するDoob-Na\"imの公式
2025年 4月 18日 (金) 17:00--18:30
発表者:髙野 凌史 氏 (大阪大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
題目:A semigroup approach to the reconstruction theorem and its applications
概要:
星野壮登氏(東京科学大学)との最近の共同研究(https://link.springer.com/article/10.1007/s40072-025-00352-5, arXiv:2408.04322)により,正則性構造理論の解析的主要定理「reconstruction theorem とmultilevel Schauder評価」の別証明が与えられた.別証明の鍵は, (Otto & Weber '19, Hoshino ’23)で研究された半群による解析手法を拡張することである.本アプローチの御利益の一つは,(non-translation invariant な微分作用素から定まる)2次元放物型Anderson模型の時間局所解を構成できることである.本講演では,正則性構造理論を用いてどのように確率偏微分方程式の解を構成するのかそのアイデアについて紹介し,先行研究と本研究の相違点に注意しつつ上で述べた事柄について議論する.