2024年度
2024年度
2025年 1月 24日 (金) 16:30--18:00
発表者:齋藤 篤志 氏, 古崎 大智 氏, 文 飛黄 氏 (東北大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
題目:修士論文の内容についての発表
2025. 1. 10 (Fri) 16:30--18:00
Speaker:Xu Xia(Chinese Academy of Science)
Venue: Science Complex A 803, Tohoku University (東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室 )
Title: Lyapunov Exponent and Mobility Edges in Discrete Schrödinger Operators
Abstract:
The concept of the mobility edge (ME), introduced in the pioneering work of Anderson ("The Absence of Diffusion in Certain Random Lattices," Physical Review, 1958) and further developed with Mott, defines the critical energy separating localized states from extended states in disordered systems. Understanding MEs is a key challenge in quantum physics and has profound implications for Anderson localization.
This talk focuses on the analysis of mobility edges through the lens of Lyapunov exponents in discrete Schrödinger operators. By examining the relationship between spectral properties and localization, I aim to provide new insights into this phenomenon.
Additionally, leveraging the Fourier dual approach, I will explore a Schrödinger model rooted in recent experimental studies, including the work by Deng, Ray, Sinha, Shlyapnikov, and Santos (Physical Review Letters, 2019). This exploration bridges theoretical advances with experimental realizations.
2024年 12月 6日 (金) 16:30--18:00
発表者:岡村 和樹 氏 (静岡大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
題目:Power means of random variables and characterizations of distributions via fractional calculus
概要:
We investigate fractional moments and expectations of power means of complex-valued random variables by using fractional calculus. We deal with both negative and positive orders of the fractional derivatives. The one-dimensional distributions are characterized in terms of the fractional moments without any moment assumptions. We explicitly compute the expectations of the power means for both the univariate Cauchy distribution and the Poincaré distribution on the upper half-plane. We show that for these distributions the expectations are invariant with respect to the sample size and the value of the power.
2024年 11月 29日 (金) 16:30--18:00
発表者:見村 万佐人 氏 (東北大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
題目:Kazhdanの性質(T)
概要:
性質(T)はもともとは離散群が有限生成であることを示すためにKazhdanにより導入された道具であった。しかし、群のユニタリー表現の解析的な性質・群上の正定値関数・群の測度空間への作用のスペクトルギャップ・エクスパンダーグラフ族との関係などから、この性質は"解析学的"幾何学的群論の中心的話題となり続けている。本講演では、このKazhdanの性質(T)を紹介する。
性質(T)の応用として、与えられた有限群の列に対しそのケイリーグラフの列が生成系の取り方によってどれくらい変わりうるか、というLubotzky--Weissの問題に関しても述べる予定である。
2024年 11月 1日 (金) 16:30--18:00
発表者:渡辺 孝佳 氏 (東北大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
題目:クリフォード代数上に構成されたマリアヴァン解析について
概要:ブラウン運動の汎関数に対する解析学としてマリアヴァン解析がある.
カオス展開と呼ばれる汎関数に対する級数展開を考えると2乗可積分な汎関数全体とボゾンが対応し, ボゾンに対するマリアヴァン解析が行えることが知られている. しかし, ボゾン以外の非可換な確率空間に対するマリアヴァン解析はあまり考えられてこなかった.
この講演では, クリフォード代数上に構成されるマリアヴァン解析について説明し, 確率解析の手法がどの程度クリフォード代数上でも利用できるかを紹介する.
2024年 10月 18日 (金) 16:30--18:00
発表者:正宗 淳 氏 (東北大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
題目:回転対称な特異点をもつ非完備リーマン多様体のラプラシアンの本質的自己共役性について
概要:完備リーマン多様体のラプラシアンは本質的自己共役性を持ち,その自己共役実現はディリクレ・ラプラシアンに限ることはよく知られている.一方,非完備多様体に対しては,完備多様体からコンパクト集合$\Sigma$を取り除くことで得られるような非完備多様体の場合は,この性質は$\Sigma$が(2-2)容量に対して極であることと同値であることが,Hinz=Masamune=Suzuki(2022)により明らかになった.本講演では,回転対称な特異点を有限個もつ非完備リーマン多様体の本問題に対する,井上 敦史 氏とRadoslaw Wojciechowski 氏との共同研究で得た結果を報告する.
2024年 7月26日 (金) 16:30--18:00
修士学生による発表
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
修士2年生 3名 各20分, 修士1年生 2名 各15分
2024年 7月 18日 (木) 16:30--18:00 ※解析セミナー (応用数理解析セミナーとの合同)として開催
発表者:福島 竜輝 氏 (筑波大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 801室
題目:一次元Mott variable range hoppingの異常拡散相でのスケール極限
概要:空間内に「一様にランダムに」配置された点の上をランダムウォークする粒子を,Mott variable range hopping modelという.数学的には,このような点配置はPoisson点過程として実現され,ランダムウォークの遷移確率は二点の間の距離の適当な関数(通常は指数減衰)として与える.このモデルはいわゆるAnderson局在が起こっている媒質における電子の稀な移動を表すために考案された.次元が2以上のときには,遷移確率の詳細にはあまり依存せずに拡散的なスケーリングでBrown運動に収束することが知られている.一方で1次元では遷移確率の減衰速度によって,異常拡散が起きることがわかる.この講演では,異常拡散相でのスケール極限に関して,David Croydon(京都大学数理解析研究所),Stefan Junk(学習院大学)との共同研究で得た結果を紹介する.
2024年 6月 14日 (金) 16:30--18:00
発表者:上村 稔大 氏 (関西大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
題目:Sobolev空間を定義域とする飛躍拡散過程に対応する Semi-Dirichlet 形式について
概要:
R^d の凸開集合 $D$ 上で定義された,拡散項,ドリフト項及び飛躍項をもつ二次形式が,いかなる条件の下で,ソボレフ空間 W^{1,2}_0(D) を定義域とする,L^2(D) 上の正則な半Dirichlet 形式になるかについて考える.対称安定型飛躍拡散過程についての例題もあわせて紹介する.
2024年 6月 7日 (金) 16:30--18:00
発表者:村山 拓也 氏 (九州大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
題目:Additive processes on the real line and Loewner chains
概要:
非可換確率論では,古典的な独立性とは異なる複数の「独立性」が考えられている.本講演では,「単調独立性」に注目し,単調独立増分過程においてレヴィ・ヒンチン表現に相当する事実を導く.加法過程すなわち古典独立増分過程のレヴィ・ヒンチン表現は,各時刻で特性函数がある積分表示を持つことを主張するが,単調加法過程のそれは,コーシー変換(の逆数)がある発展方程式を満たすことを主張する.しかも,その方程式は函数論でよく知られたレヴナー微分方程式を少しく一般化したものになっている.
本講演は,長谷部高広氏(北海道大学),堀田一敬氏(山口大学)との共同研究に基づく.
2024年 5月 24日 (金) 16:30--18:00
発表者:綾 朝弘 氏 (京都大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
題目:Quantitative stochastic homogenization of elliptic equations with unbounded and non-uniformly elliptic coefficients
概要:
確率的均質化(Stochastic Homogenization)の分野において,解の収束を定量的に評価する研究(Quantitative Stochastic Homogenization)が近年盛んに行われている.しかし従来の研究の対象は方程式のランダム係数が一様楕円性を持つ標本空間であり,非有界な係数を含むなど一様楕円性を満たさない方程式での確率的均質化の定量的な結果は少ない.本講演ではsubadditive argument を拡張することにより,一様楕円性を満たさない楕円型PDEの解の収束の速さを評価する.時間に余裕があれば放物型PDEでの解の収束など関連する問題について紹介する.
2024年 5月 17日 (金) 16:30--18:00
発表者:須田 颯 氏 (東京工業大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
題目:ランダム箱玉系のソリトンに対するスケール極限
概要:
箱玉系とは, 決定論的な時間発展をする一次元セル・オートマトンであり, 特に可算無限個の種類の「ソリトン」から構成されるソリトン系であることが知られている. 各ソリトンはそれぞれの「長さ」(\in N) によって分類され, またその長さに比例した等速運動をするが, 長い(速い)ソリトンが 短い(遅い)ソリトンを追い抜かす時, 両者の間に相互作用が生じ, その際に長いソリトンは加速し, 逆に短いソリトンは一時的に停止する.
本講演では, 初期配置がランダムである箱玉系 (ランダム箱玉系) における, タグ付きソリトンの極限定理について, 講演者が最近得た結果を紹介する. 先に述べたように, 異なる種類のソリトンは相互作用することから, 時間発展が決定論的であっても, 初期配置においてランダムに存在する様々な種類のソリトンにより, 各時刻におけるタグ付きソリトンのふるまいもランダムになることに注意されたい.
時間が許せば, 講演者の結果に関連する, 古典可積分多体系における拡散的揺らぎの普遍性(の予想)についても触れたい.
2024年 5月 10日 (金) 16:30--18:00
発表者:赤堀 次郎 氏 (立命館大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
題目:量子ウォークのゼータ関数と絶対ゼータ関数
概要:
量子ウォークのゼータ関数は、グラフ上のゼータ関数として捉えることができ、その伊原ゼータとの対比が注目されてきたが、本講演では、確率論的もしくは確率解析的なゼータ関数---単純ランダムウォークのゼータ関数、無限粒子系のゼータ関数など---との対比を議論したい。本報告は今野紀雄氏(横浜国大/立命館大学), 佐藤巌氏(小山高専)らとの共同研究に基づく。
2024年 4月 26日 (金) 16:30--18:00
発表者:山内 卓也 氏 (東北大学)
会場:東北大学 理学研究科合同A棟 8階 803室
題目:超特殊アーベル多様体上の同種グラフの第二固有値の評価について
概要:
正整数 g, 素数 p, ℓ に対して, 標数 p の有限体上の次元 g をもつ superspecial abelian varieties であって ℓ-marking が指定されたもの全体の成す類から有限向き付き正則グラフを構成することができる. 講演ではこのグラフに対するランダムウォーク行列の性質を対応するBruhat–Tits buildings を解析することで調べることができることを非専門家にもわかるように, g=1, つまり楕円曲線の場合から始めて丁寧に説明したい. また, 保型形式, 保型表現論の観点からランダムウォーク行列の固有値に関して何が期待されるかも説明する. 本研究は東京大学の相川勇輔氏、京都大学の田中亮吉氏との共同研究である.
2024年 4月 19日 (金) 16:30--18:00
発表者:南 就将 氏 (元 慶應義塾大学)
会場:オンライン
題目:ランダムなシュレーディンガー作用素のスペクトルについて
概要:1970年代の旧ソ連の数学者たちによって始められたランダム・シュレーディンガー作用素の厳密な取り扱いの歴史をたどりつつ、そのスペクトルの性質について概観する。