日時: 2025年 01月 19 日(日)13 時開始 延期になりました(1月16日決定)。
場所: 合同 A 棟 8 階 801 講義室
講演1 (13:00-15:00)
講演者:講演者:中村 樹(津田塾大学 M1)
題目:『 (円分体の) 岩澤理論入門』
概要:
岩澤理論は岩澤健吉によって創始された、円分 $\mathbb{Z}_{p}$ 拡大という体の拡大の塔を舞台として展開される理論です。本講演では、$p$ 進数体、ideal 類群など、代数的整数論の key point となる対象の紹介から始めます。 その後、岩澤主予想が主張する「円分 $\mathbb{Z}_{p}$ 拡大に沿った ideal 類群を考えることによって、論的な対象である ideal 類群と ( $p$進) $L$関数*との関係を直接的に定式化できる」ことを数学的に述べ、その同値条件の同値性を示します。Galois 理論の簡単な復習や代数的整数論の基礎から始めますので、ぜひお気軽に聞きにいらしてください。(*本講演では簡単のため、$p$進 $L$関数ではなく $p$進ゼータ関数を用いた岩澤主予想の statement を紹介する予定ですが、一般には ideal 類群 (の極限のようなもの) と $p$進 $L$関数との関係を直接的に定式化したものが、岩澤主予想の statement とされています。)
講演2 (15:15-17:15)
講演者:鶴田 有斗(東北大学 M2)
題目:『“周期でない” 数の構成について』
概要:
周期とは、有理関数の適切な領域上の積分で表される数で、2000 年に Kontsevichと Zagier により導入されました。周期は、代数的数を含むより広範な数のクラスであり、数の本質的な表示に迫るという点において素朴でありながら非常に重要ですが、「任意に与えた数が周期かどうか」という問題は一般にとても難しく、その問題を解く具体的なアルゴリズムは今現在与えられていません。そんな中 Yoshinagaは 2008 年、周期に属さない実数の構成法について考察し、周期に属さない数が満たす条件を計算論的視点から導きました。本講演では、この Yoshinaga によるプレプリントの内容を紹介し、周期に関する問題について考察したいと思います。
日時: 2024 年 12月 22 日(日)13 時開始
場所: 合同 A 棟 8 階 801 講義室
講演1 (13:00-15:00)
講演者:竹平 航平(東北大学D3)
題目:『エルゴード定理と連分数』
概要:
エルゴード理論とは、力学系の平均的な挙動を測度論を使って調べる理論です。もともとは統計力学に端を発する理論ですが、整数論や、その他の様々な分野と関連を
持つ興味深い理論です。今回は、エルゴード理論の基本定理の一つである、Birkhoffの個別エルゴード定理について、その証明を紹介したいと思います。また、エルゴー
ド定理を整数論に応用し、連分数に関する興味深い定理が導けることも紹介します。
講演2 (15:15-17:15)
講演者:中村 一徳(東北大学 M1)
題目:『経路積分を用いた量子力学の紹介』
概要:
現代物理学の金字塔である「量子力学」について、その概要を「経路積分の定式化」用い、かつ、物理的な側面に重きを置いて紹介します。特に経路積分とはそもそも
どう言った概念なのか、ファインマングラフとはどこから出てくるのか、これらを理解してもらうことを目指し話します。物理学を専攻しているため、あまり数学的
な事項には踏み込みません(踏み込めません)。あらかじめご了承ください。逆に、予備知識は何も必要としないのでご気軽に聞きにきてください。
日時: 2024 年 09月 28 日(土)13 時開始
場所: 合同 A 棟 8 階 801 講義室
講演1 (13:00-15:00)
講演者:鶴田 有斗(東北大学M2)
題目:『級数と積分の意外なつながり』
概要:
Kontsevich-Zagier の意味の周期の中でも特に良い性質を持つ対象として知られている多重ゼータ値について、前阪-関-渡邉によって最近得られた離散化というトピックを紹介します。ここでは、離散化が得られるまでの経緯や応用例、関連研究を詳しく解説し、時間が許せば発表者が得た結果についても紹介します。
講演2 (15:15-17:15)
講演者:澁谷 響希(東北大学M1)
題目:『数学者のための理論物理入門』
概要:
元来、数学と物理学は密接かつ相補的な関係にあるが、近年ではまさに物理に関連する数学的概念も数多く、またそれの抱える諸問題は計り知れない。しかし、数学者が物理学についての勉強を試みる際、数学にない不明瞭さや特有の論議に当惑してしまうことも少なくないと思う。本講演の目的はそのようなギャップを解消すべく、解析力学をはじめとして相対論、ゲージ理論、場の量子論、弦理論など広範な理論物理について、数学者に分かりやすい入門的解説を試みることである。なお、物理学の予備知識は全く仮定しない。
日時: 2024 年 07 月 27 日(土)13 時開始
場所: 合同 A 棟 8 階 801 講義室
講演1 (13:00-15:00)
講演者:竹平 航平(東北大学 D3)
題目:『$p$進数とその応用』
概要:
数論における基礎的な道具として、$p$進数があります。数論を勉強するとき、ほとんどの場合避けては通れないほどの重要な概念である一方、ほかの分野の方にはあまりなじみのないものであるかもしれません。今回は、そんな $p$進数に関して、その観光案内的な説明を試みようと思います。セミナーでは、$p$ 進数の導入から始め、いくつかの興味深い例を紹介しようと思います。一つのハイライトとして「正方形を同じ面積の $n$ 個の三角形に分割できるとき、$n$としてありうる値を求めよ」という問題を、$p$進的な手法を使って解きたいと思います。
講演2 (15:15-17:15)
講演者:持田 知朗(東北大学 D1)
題目:『Jones多項式入門』
概要:
結び目自体は日常生活にも現れる身近な存在であるが、それを数学的に研究する分野が結び目理論である。結び目理論は低次元トポロジーの枠を超え、様々な数学と関連する重要な分野である。そしてもちろん、結び目そのものを考えることも非常に興味深い。本講演では、そのような中でも結び目の分類において強力な手段となる結び目の不変量に焦点を当てる。特別な予備知識を仮定せずに、代表的かつ重要な結び目の不変量であるJones多項式を理解することを目標とする。スケイン関係式を用いた具体例の計算と、Kauffman括弧による構成を紹介していく。
日時: 2024 年 06 月 01 日(土)13 時開始
場所: 合同 A 棟 8 階 801 講義室
講演1 (13:00-15:00)
講演者:秋山 慧斗(東北大学 D3)
題目:『平均場理論を用いたニューラルネットワークのパラメータ分布最適化問題』
概要:
ニューラルネットワークは人工知能に応用のある数理モデルの一つであり、 数学的には多次元の実数値パラメータ族を含む関数として記述される. 人工知能分野では、入出力空間上の未知のデータ群に適合する入出力関係をニューラルネットワークによって表現することが大きな目標の一つである。表現したい入出力関係は通常平易な関数として表すことができず、現れる最小化問題は一般に非線形・非凸最適化問題となって解析が困難である。この困難を解消するために、パラメータ数を無限大とした極限を考えることで、パラメータの最適化問題 (離散的) をパラメータ空間上の確率分布の最適化問題 (連続的) へと帰着する手法 (平均場理論) が有効に用いられている。本発表では, 問題の定式化のために必要なニューラルネットワークおよび最適輸送理論の知見について説明しつつ、そのような連続的定式化と解析を行ったChizat(2022) の論文紹介を行う。
講演2 (15:15-17:15)
講演者:村上 友哉(九州大学 PD)
題目:『Morse 理論の入門的解説』
概要:
Morse 理論は実多様体 $M$ のトポロジー的な情報を関数 $f:M \to R$ の微分幾何的な情報から得る理論である。非常に高度で複雑化した現代の低次元トポロジーを理解する上で、Morse 理論はアイデアの源泉という揺るぎない役割を持っているため非常に重要である。そのような Morse 理論について具体例の計算と理論的な要点の両面から解説を行う。