基本情報
2024年4月にウェブページをリニューアルしました。
会場は原則として、東京都立大学南大沢キャンパス 8号館(理学部棟)610 室です。
世話人
津村博文, 内山成憲, 内田幸寛, 横山俊一(東京都立大学)
開催予定
概要: 相対ガロア拡大において, フロベニウス元があるガロア群の共役類に含まれる素イデアルの密度は, チェボタレフの密度定理によって与えられている. 一方有限の範囲においては偏りが生じることが知られている. 例えばチェビシェフの偏りと呼ばれる未解決問題は, ガウス数体における素イデアルの偏りに関するものである. 一般の相対ガロア拡大における素イデアルの偏りの大きさは, アルティンのL関数の中心値での零点の位数とガロア群の構造を用いて定式化することができ, オイラー積の中心値での収束(深リーマン予想)と同値であることが知られている(小山・青木). 講演では, 虚二次体上のアーベル拡大やガロア群が四元数群と同型になるような有理数体上の非可換拡大に対し上記の偏りを検証した計算データを紹介する.
概要: The Mordell-Weil theorem states that the group of rational points of an elliptic curve is finitely generated, so it can be written as T + <P1,...,Pr>, where T is the torsion part and P1,...,Pr generate the free part of rank r. In this talk, we show a purely algebraic method to find P1 for an elliptic curve of rank r=1, provided the curve has non-trivial torsion subgroup T. The key idea is to study subsets of the set of integral points that are invariant under addition by torsion points.
概要: TBA
開催歴(終了したもの)
概要: Multiple zeta values (MZVs) are generalizations of values of the Riemann zeta function. They have become popular in the last 30 years due to their appearances in various areas of mathematics and theoretical physics. These numbers have various mysterious connections to quasimodular forms. This connection can be explained by a hybrid of MZVs and classical Eisenstein series, called multiple Eisenstein series, introduced by Gangl-Kaneko-Zagier in 2006. The algebra of multiple Eisenstein series contains the algebra of quasimodular forms as a subalgebra. This talk is a non-expert friendly survey talk on multiple zeta values and multiple Eisenstein series, together with some new results on multiple Eisenstein series and open conjectures on their derivatives. This talk is based on ongoing work with Hayato Kanno (Tohoku University).
概要: 楕円モジュラーj-関数のフーリエ係数の漸近公式は, 円周法を使って示されたものが最初であり, その後様々な別証明が与えられている. 講演では, 分割数の漸近公式の別証明に用いられた, 確率論を使った証明方法を紹介し, その手法を応用することでj-関数のフーリエ係数の漸近公式も導出できることを説明する.
概要: (無限積)=(無限和) の形のいくつかのq級数の等式について, 2通りのまったく異なる証明を与える. 1つはq級数がモジュラー形式であることを利用する解析的な方法で, 無限和の側のモジュラー性の証明には Zwegers らによる不定値テータ関数の理論を用いる. もう1つの証明は affine スーパー Lie 代数の分母公式を使う代数的な方法によるものであり, Kac-Wakimoto の1994年の論文で述べられたアイディアに基づく. 本講演の内容は松坂俊輝氏(九州大学)との共同研究である.
概要: 円分体の岩澤理論とは, 円分 $\mathbb{Z}_p$-拡大という体の拡大の塔を舞台として, イデアル類群のような代数的な対象と, ゼータ関数のような解析的な対象との関係を研究する理論である. B. Mazur, A. Wiles によって証明された円分体の岩澤主予想は, 「有理数体の円分 $\mathbb{Z}_p$-拡大の各 layer のイデアル類群の $p$-部分の位数を観察することにより, 数論的な対象であるイデアル類群と Kubota-Leopoldt の$p$進$L$関数との関係を直接的に定式化できる」ことを主張する.
本講演では, なるべく単純な設定のもとで円分体の岩澤主予想の定式化を与えたのち, 岩澤不変量と呼ばれる不変量に関する先行研究や, 証明の tool として岩澤主予想が用いられている結果を紹介する.
概要: 正弦関数の無限積展開を2通りの方法で級数に展開することにより、インデックス $(2,...,2)$ に対応する多重ゼータ値の特殊値公式が得られる。この事実は、Borwein, Bradley, Broadhurst によって、インデックス $(2k,...,2k)$ に対応する多重ゼータ値($k$-fold 多重ゼータ値)の特殊値公式へと拡張された。本講演では、まず Borwein らの結果を母関数の立場から再検討することにより、超幾何関数の特殊値公式が得られることを示す。また、これを $q$-類似へ一般化し、その結果から得られるいくつかの事実についても、時間が許す限り紹介する。
概要: J. Ecalle の2011年の論文で「六項関係式(senary relation)」という等式が提起されています。これは彼の言葉を借りれば「dimorphic な Lie 代数が持つ部分的な構造」であるらしく、その明示的な形は記載されているものの証明は書かれていませんでした。彼の論文に特有の独特な言語・概念を駆使した理論の中にさりげなく紛れ込んでいたこの等式はなかなか日の目を見ませんでしたが、近年の研究で Kashiwara-Vergne 予想に深く関連することがわかってきました。さらに、六項関係式自身についても特殊なケースについては、多重ゼータ値に由来を持つ複シャッフル Lie 代数のしくみを用いて証明が与えられてきています。
本講演ではこれらの概要や歴史について順を追って見ていき、時間が許せば関連する講演者の結果についてもお話しようかと思います。
概要: 約数関数の組合せ論的な一般化として1920年に導入された MacMahon 分割数は, 近年, 準モジュラー形式の観点から再び注目を集めている. 本講演では, 円分多項式の研究において Lehmer が用いた多項式を用いることで, MacMahon 自身が考察したレベルNの MacMahon 分割数についても準モジュラー性を示し, その応用として, Craig-van Ittersum-Ono (2024) の素数検出の話題について紹介する. 本研究は江原大学校の Soon-Yi Kang 氏および成均館大学校の Gyucheol Shin 氏との共同研究である.
概要: 2010年に Zagier によって発見された量子モジュラー形式は、トポロジーと数理物理の融合分野である量子トポロジーの研究に端を発する、新時代の数論的対象である。その研究において、偽テータ関数と呼ばれるある種のq級数が量子モジュラー形式になるかという問題は基本的だが一般には未解明である。トポロジーの立場からは、この問題は3次元位相多様体に対する量子不変量の漸近展開予想という重要問題に対応する。本講演では、この二つの問題にアプローチするために「モジュラー級数」という枠組みを導入し、一般的な設定下でモジュラー変換公式と漸近展開を証明する。その応用として、偽テータ関数がベクトル値量子モジュラー形式をなすという数論的主張と、量子不変量の漸近展開の決定というトポロジー的主張が、従来知られていなかった場合に示されることを紹介する。
概要: 本講演では, 有理数体上定義された楕円曲線に付随する Hasse-Weil L関数の特殊値の代数的部分について, 二つの結果を紹介する. 一つ目は, 代数的部分の2進付値の下界評価を行うことで, 楕円曲線の2次捻りで階数が0となる無限族を構成するという結果である. その手法は Zhao's method と呼ばれ, 様々な楕円曲線に応用できる汎用性の高い技術である. 二つ目は, 素数pをパラメータにもつ楕円曲線 y^2=x^3+px について, その代数的部分のp進付値が正となることの必要十分条件を, (Birch and Swinnerton-Dyer 予想を仮定した上で) ある単純な漸化式を用いて表現するという結果である. これにより, その楕円曲線の階数が2であることの簡明な判定法が得られる.
概要: この講演では判別式2の定値四元数環の極大整環に関連する代数的保型形式についてお話しします。我々の代数的保型形式は有限群の作用で不変となるような3変数の調和多項式となります。今回、計算機代数システム Magma を用いて、代数的保型形式の具体的な計算を行いました。この計算結果を使うことで得られた正則カスプ形式の L 関数の中心値と代数的保型形式の空間の構造の研究について紹介します。この講演の内容は九州大学の落合啓之氏と東京都立大学の横山俊一氏との共同研究です。
概要: 1979年, Luは実2次体の極大整環におけるイデアル類群の類数が1になるための必要十分条件を与えた. 今回, このLuの結果を一般の実2次整環に拡張することができたので, その主張と証明の概略についてお話しする. また, このことを用いて, Biroによって示された2つの予想(Yokoi予想, Chowla予想)の拡張も得られたので, その結果についても解説する.
概要: 保型L関数の二次捻りの中心値に関して, Goldfeld の予想をはじめとして様々な予想が提唱されている. この講演では, 楕円保型形式に伴うL関数の素数判別式を持つ二次体による捻りの中心点での零点の位数に関する Conrey-Keating-Rubinstein-Snaith の予想について紹介し, 実際に彼らの予想が成立するような保型形式の例を与えることができたので, その結果について述べたい.(金沢大学の若槻聡氏との共同研究)
概要: 2次 Siegel カスプ形式に付随するスピノールL関数の積分表示を与える Rankin-Selberg 積分の研究は Andrianov が70年代に初めて行い, 後に Piatetski-Shapiro によって Bessel 模型を用いた言葉でよりモダンな形で定式化された. 本講演では, 平方自由なレベルの2次 Siegel カスプ形式の Rankin-Selberg 積分について得られた結果と, L関数の中心値のある種のスペクトル平均に関する漸近式を紹介する. またその応用として, 中心値の非消滅性, Hecke 固有値の等分布性について紹介する.
本講演の内容は都築正男氏(上智大学)との共同研究である.
概要: 多重ゼータ値の反復積分表示の離散化と呼ばれる新現象を発見したので、これについて報告する。また、その応用である多重ゼータ値の双対関係式と有限多重ゼータ値の双対関係式の同時証明についても解説したい。本講演内容は、前阪拓己氏(九州大学)、渡邉大貴氏(東京大学)との共同研究に基づく。
概要: 整数論において、代数方程式の有理数解を決定する問題はDiophantus問題と呼ばれ、古代ギリシャ時代から盛んに研究されてきた。これは現代的には、代数多様体の有理点集合を決定する幾何学的な問題とみなすことができる。本講演の前半では,超楕円曲線の有理点問題の応用として、「周の長さ同士が等く、また面積同士が等しい有理直角三角形と有理二等辺三角形の組は相似を除いてただ1組しか存在しない」という定理を紹介する。これは、山口大学の平川義之輔氏との共同研究である。後半では、Bessel多項式という直交多項式の重み関数に関する矩形求積公式(定められた曲線上で重み付き線積分を定められた有限個の点での値の線形結合で表す公式)の存在定理や非存在定理を紹介する。この一部は神戸大学の澤正憲氏との共同研究である。