作業には shaper + DeepLを活用した。ShaperはPDFから本文をコピーしたときに入ってしまう改行を削除してDeepL翻訳にシームレスに繋げてくれる。神だった。
Shaperが神なら、DeepLは DeepLの訳は相当に精度が高い。ただし、教科書的な訳であるので、表現に堅さが残るのも否めない。DeepLの仮翻訳から、どのような点を意識して修正したのか、言語化してみたい。
◎こと
「~があることで、XXX することができる。ただし、・・・ができることはなかった。」
といったように「こと」が重なってしまう。「こと」は便利だ。文のつなぎをスムーズに、上品にしてくれる。
「~があるとXXXができる。」よりも「~があることで、XXX することができる。」のほうが接続がマイルドに感じられる。ただ、意味が大きく変わるわけではなく、ほとんどは語感の違いなので、あまり頻回に出てくると目についてしまう。
「~があるおかげで、XXXすることができた。ただし、・・・は達成しえなかった。」
のように、言い換えのバリエーションを増やして、「こと」が氾濫しないように意識した。
◎いくつかの
someやseveral は、「いくつかの」と訳されやすい。
There are several studies demonstrating ... は「...を示したいくつかの研究がある」といった具合だ。ただ、和文で同様の表現をしたいときに、「いくつかの」と書く機会はそうそうない。そもそも冠詞や単数/複数を常に意識する英語と比べると、日本語では数量を示すと、それがやたら目立ってしまう。日本語では量が重要なのは、「一つだけ」あるいは「たくさん」くらいのもので、その間であればさほど量に意識を向けることは少ないように思う。先行研究が1報だろうが2~3報だろうがわざわざ表現は変えず、「先行研究は~を明らかにした」と書いてしまう。someやseveralも、文脈上で量が重要でない場合にはあえて訳出しなかった。