複雑コミュニケーションに関する

学際的研究コンソーシアム

(Interdisciplinary Consortium of Complex Communications)

研究コンソーシアムの設立趣旨

コロナウィルスの感染拡大は2020年3月あたりから大学研究者の日常にも大きな影響を及ぼすようになりました.対面で行われていた学会活動や大学内の活動の殆どがオンラインで実施され,当初は随分戸惑いもあったものです.しかし,慣れてみるとオンライン会議は時間の有効活用にとって大いに役立つことがわかり,大学研究者の本来業務である研究についての思索に当てられる時間が増大するという,予想外の嬉しい副産物を生みました.歴史を紐解けば,ニュートンが有名な万有引力の法則や微積分学をまとめたのも,イギリスで感染症が流行して大学が休みになった時間を有効活用したものだと言われています.しかし,研究テーマの進捗には様々な段階があり,必ずしもすべての研究テーマが「機が熟して僅かな時間とあと一歩の努力があれば結実する」というものばかりではありません.これから種を蒔く初期段階の研究テーマについても大切に進めていかなければならず,この作業は時間があれば進展するタイプのものではありません.何か新しい直観や気付きが,生まれたばかりの研究テーマの将来像を輝かしく変えてくれることがあります.その新しい直観や気付きが何から生まれるかというと,対面で突き詰める研究のディスカッションです.オンラインでの活動は一見効率が良いように見えますが,それはこれまでの思索の結果をアウトプットしている活動です.研究は本来,効率は悪くても深い思索に支えられていなければならず,そのためのインプットが必要なはずです.パンデミックで感じた研究の効率の良さは,実は放電しているだけで,より時間の掛かる充電を疎かにしてきたのかもしれません.本コンソーシアムは,このような意味で研究の原点に立ち返り,対面での十分な議論を通じて新しい研究テーマの開拓に挑戦し続けるために活動を開始しました.

これまでの活動