1 日目
受付 12:00 ~ 13:00
13:00 ~ 13:10
13:10 ~ 13:40
堀 優太(筑波大学)
実験との連携による計算化学の生体・物質系へのアプローチ
概要(クリックで展開)
生体分子や物質材料の構造と機能を理論的に理解する上では、実験結果と理論計算の総合的な解析が重要となる。また、理論計算の知見を利用して機能材料や触媒設計に応用するためには、理論と実験が密接に連携し、理論計算が適用可能な事例を増やしていくことが望まれる。 本研究では、計算化学を使用して生体・物質系における「構造」、「機能」、「反応」を理解するために、実験との連携によって得られた知見や理論計算から材料設計への展開例について包括的に紹介する。
13:40 ~ 14:10
量子化学計算を基盤とする応用理論:反応経路自動探索・速度論・接着の分子理論
概要(クリックで展開)
物質を構成する原子の配置に対するポテンシャルエネルギー曲面(PES)は多くの情報をもち、ある物質が「どんな反応をしてどんな性質をもつか」といった疑問に答える手掛かりとなる。しかし分子の自由度は膨大で、PESの全面探索は得策ではない。そこで、反応速度論で化学変化が起こる方向を特定し、その方向の反応経路探索を行い効率化を図る速度論ナビゲーションという手法を開発した。これは応用段階にあり、本発表では理論の概略と応用展開を紹介する。また、最近興味を持っている化学現象が「接着」である。接着は固体表面への接着分子の吸脱着過程とみなせ、PES構築による考察が有効である。最近は歯科接着に関する解析を進め、工業的接着よりも化学結合組替えに起因する起伏に富んだエネルギー地形が得られており、その成果の一部を紹介する。
Coffee Break 14:10 ~ 14:30
14:30 ~ 15:00
黒木 菜保子(中央大学)
フラグメント理論に基づく機能性液体の物性予測:生命科学・環境化学への応用
概要(クリックで展開)
コンピュータの発展に伴い、計算化学・データ科学技術を活用した研究開発が、様々な分野で重要視されている。生命分子科学の解明や、化学プロセスに適した溶媒の設計には、液体の熱力学的物性を、実験に先立ち迅速かつ高精度に予測することが求められる。本発表では、液体を構成する一分子フラグメントの波動関数から液体中の分子間相互作用を第一原理で評価する「有効フラグメント理論」に基づき、浸透圧制御物質の水和構造・電子状態ゆらぎ、および、CO2分離回収液の溶液構造調査に応用した例を紹介する。
15:00 ~ 15:30
山守 優(産業技術総合研究所)
分子動力学シミュレーションのスパースな表現に基づく重要因子の同定手法
概要(クリックで展開)
分子動力学シミュレーションの出力は、生体高分子の原子座標の時間発展というビッグデータである。そのデータから動的な情報の解析を行うには、主成分解析をはじめとする次元縮約などの手法や化学的な知見に基づく解析などが行われるのが一般的であるが、シミュレーションデータから重要な知見を見出すための方法論が十分に確立されているわけではない。本研究では、スパース構造学習に基づく異常検知の手法を用いて、生体高分子の自由度から構造変化などの動的な挙動に関わる重要な因子を抽出するための方法論を開発することを目指す。
15:30 ~ 16:00
笠原 健人(大阪大学)
分子動力学と2分子反応理論に基づく分子会合過程の記述
概要(クリックで展開)
分子会合は環状分子による小分子の取り込み(包接)やタンパク質–リガンド結合など、多くの化学系に見られる基礎的な化学過程である。会合過程の詳細な理解を目指して分子動力学(MD)シミュレーションに立脚した解析手法の開発が現在活発に行われている。また近年では、細胞質などの不均一環境が会合過程に与える影響の重要性が認識され研究が進められている。しかし、その複雑さのために速度定数の計算など定量的な解析は未だできていない。このような状況から、我々は現在、2分子反応理論に基づいて不均一環境にも適用な会合動力学を解析する手法の開発に取り組んでいる。本講演では、我々が開発した方法論について述べた上で、水溶液中にタンパク質-リガンド結合に適用して得られた成果を紹介する。
Coffee Break 16:00 ~ 16:20
16:20 ~ 16:40
岡澤 一樹(九州大学)
積層芳香族性の軌道論的考察
概要(クリックで展開)
Hückel則によると、4n+2個のπ電子を有する平面π共役環状分子は安定化し(芳香族)、一方で4n個のπ電子を持つ平面π共役環状分子は不安定化する(反芳香族)。 反芳香族分子は不安定であるが、その狭いHOMO-LUMOギャップから高伝導性電子材料として注目されている。そのため、反芳香族分子を安定化するための研究が盛んに行われている。 反芳香族分子を安定化するための戦略の1つとして反芳香族分子の積層が提案されている。 反芳香族分子がface-to-faceスタッキングすると積層芳香族性と呼ばれる芳香族性を示し、実際に合成に成功している。 一方で、反芳香族分子がface-to-faceスタックしているにも関わらず、反芳香族性を保持する場合もあることが報告されている。 本研究では、最も単純な反芳香族分子であるシクロブタジエンをユニットとした完全に重なっている二量体モデルについて、芳香族性の変化及び分子軌道の変化について分子軌道に着目して調査した。 シクロブタジエンの対称性の違いによって積層芳香族性が発現するπスタック距離が異なることを示し、その原因についてモノマーユニット間の軌道相互作用の観点から説明する。
16:40 ~ 17:00
八日市屋 朋子(東京大学)
吸着種間相互作用を取り込んだkinetic Monte Carloシミュレーション手法の開発:ニューラルネットワークポテンシャルの適用
概要(クリックで展開)
不均一系触媒は工業的に多くの分野で用いられており、その微視的メカニズムの理解は重要である。触媒表面上は、反応物や中間体を含む様々な吸着種が多様な配置を形成しており、そこには吸着種間相互作用が存在する。本研究では、不均一系触媒反応において吸着種間相互作用を明示的に取り扱うkinetic Monte Carloシミュレーション手法の開発を行った。ニューラルネットワークポテンシャルを用いて高速にエネルギー評価を行うことで、シミュレーション中に出現した全ての構造をon-the-flyで計算をする事が可能となった。発表では、固体金属触媒上の水素拡散に本手法を適用した例について紹介し、吸着種間相互作用もつ影響について議論する。
17:00 ~ 17:20
18:30 ~ 21:00 懇親会(TXつくば駅周辺)
21:00 ~ 23:15 共同研究(プロジェクト)意見交換会
2 日目
9:30 ~ 10:00
杉澤 宏樹(三菱ケミカル株式会社)
産業分野における大規模生成モデルの活用
概要(クリックで展開)
Stable-diffusionやChatGPTなどの大規模生成モデルの台頭により、企業における機械学習の活用についても急速なマインドチェンジが求められている。しかしながら、これらの機械学習モデルは一般的にブラックボックスであるので適切な活用範囲を定めるためにはモデルに対する深い理解が必要不可欠となる。そこで本講演では、まず、弊社の事例を通じて企業における機械学習および計算科学活用の「現在」について理解を深めることを目指し、つづいて、生成モデルに関する系統的な議論を行うことで生成モデルが「今後」の産業会に与える影響について考察を深める。
10:00 ~ 10:30
吉田 将隆(東京工業大学)
遺伝アルゴリズムを用いた金属クラスター構造の理論的研究
概要(クリックで展開)
数原子~数十原子からなる金属クラスターは原子数、組成のわずかな違いで物性が大きく変化するなど、ナノ粒子やバルク材料と性質が大きく異なる物質群である。 金属クラスターは構成原子数に対する表面に露出した原子数の割合が非常に高く、また活性が非常に高いために触媒としての応用が期待されている。 一方、金属クラスターの構造は複数の準安定構造間を揺らぐように構造遷移し続けているため、バルク材料やナノ粒子ほど構造の予測が容易ではない。 密度汎関数理論(DFT)計算は準安定構造の探索において強力な手段であるが、局所解にトラップされやすく、大域的探索を行うには他のアプローチと組み合わせる必要がある。 そこで本研究では原子数、組成、担体の構造などの条件を与えたときに金属クラスターの準安定構造を効果的に探索できるような遺伝的アルゴリズムを開発した。
Coffee Break 10:30 ~ 10:50
10:50 ~ 11:20
池田 龍志(東京大学)
ニューラルネットワークポテンシャルによる大規模界面シミュレーションと粗視化速度論モデルによる解析
概要(クリックで展開)
近年の機械学習ポテンシャルの登場により、複雑な相互作用や結合生成解離のある界面系のシミュレーションを今までにない規模・時間スケールで実行することが可能になってきている。しかしそのポテンシャルの精度は訓練データに依存するため、第一原理計算に基づく訓練データをどのように生成するかが問題となる。また、ただ大規模界面シミュレーションを実行するというだけではなく、そのデータを生かしてどのように反応活性の指標を議論するかについても界面における計算研究の鍵になると考えられる。本研究では、酸化セリウム/水界面を対象にしたニューラルネットワークポテンシャル構築についての取り組みと、その分子動力学計算の結果が持つ水素結合ネットワークを介した非マルコフなプロトンリレーダイナミクスの粗視化速度論解析について紹介する。
11:20 ~ 11:50
概要(クリックで展開)
不均一系触媒の表面で起こる原子や分子の反応は、多様な素過程から成り複雑である。本研究ではこれら複数の素過程を包括的に考慮するため、人工力誘起反応(AFIR)法を用いて表面反応経路の系統的探索を行った。また、探索の結果得られた多数の構造やそれらをつなぐ経路から、複雑な反応経路ネットワークが構築できる。このネットワークに速度論解析を適用し、反応機構を解析した。本発表では一例として白金表面上のメタノール分解反応の解析結果を示したうえで、反応経路ネットワークの詳細をさらに理解するための情報学的手法を駆使した解析についても紹介する。
12:00 Closing remarks