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カブトムシのツノは武器であり夜な夜な激しいけんかで酷使され消耗も激しいことが知られています.けんかに勝つことが子孫を残す道のため,ツノが折れることは絶対に避けねばなりません.一方,ツノは繊維強化材料でどのような強化デザインがなされているか興味がわきます.
ツノを片持ち梁として下図の様に荷重を作用させます.このときのたわみ曲線をデジタル変位計でスキャンしておきます.実験後,ツノを動物用CTスキャナーで形状データを取得してPCに取り込み,有限要素法で実験と同じ荷重をかけた際のたわみ曲線を計算します.有限要素解析ではツノを繊維強化材でなく等方均質材と仮定して計算を行います.実験たわみ曲線と,解析たわみ曲線の双方を比較し,違いがあればそれは繊維強化による強化デザインによるものと特定できることになります.
この研究は読売新聞で報道され,学生の名が出ました.よく頑張りました.
読売新聞2018-9-2_昆虫に学ぶ新技術
最新の研究が標題の英文誌にAcceptされました.
上述はDLCが鋼の表面に確実に密着していることが前提条件となります.ところがDLCは無理な力がかかった状態で鋼表面にくっついている為,剥がれることがあります.そこでDLCが成膜される際の無理な力をできるだけ小さくする事が必要になります.そのためにはその力を正確に測定できる技術が必要です.
本研究では反射型レーザ光弾性装置を用いてDLC内の応力を非破壊非接触で定量化します.下図および写真は当室で開発した応力測定装置です.当研究室は光弾性技術を研究室開設時から扱ってきており,様々な企業からの応力測定要請に応えてきました.
英語で発行されている学術誌に掲載された論文です.よく頑張りました.
地球環境保護の為,エネルギーを従来よりも使わないヒートシール条件の探索や使用が少し難しい生分解性プラスチックへの代替えを目指します.これらのためには,これらの条件のもとでヒートシールが完璧か否かを非破壊かつ非接触で測定できる技術が求められています.
本研究では当研究室で開発した透過型レーザ光弾性装置(下図および写真)を用いてヒートシール部の光学的特性を非破壊非接触で評価します.平行してシール部の剥離試験を行い,剥離強度と光学特性との関連を求め,非破壊非接触の光学特性評価のみで,シール部の剥離強度を推定できる様にします.なお,剥離強度試験に用いる試験機は2022年5月に旧機材と入れ替えました.
応力の可視化には位相差測定を用います.似たような装置に偏光顕微鏡があります.偏光顕微鏡は位相差を可視化できますが,定量的評価は困難である上,位相差がナノメートル以下の微小量の計測は困難です.
本研究では当室で開発し改良を重ねてきた位相差測定装置に,高速度CCDカメラを組み合わせて(下図),大視野高分解能の画像を捉えます.測定原理は,時空間フーリエ変換を使って,各ピクセル位置の光量の周波数成分を求め,平均光量と1次と2次の振幅値からそのピクセル位置の光学的位相差(大きさと方向)を得るというものです.人類は新たな目を獲得できるのか,期待が高まります.
日本機械学会で発表した論文です.よく頑張りました.
JSME M&M2021 材料力学カンファレンス 〔2021.9.15-17〕
鋼の表面に金属間化合物を形成しますが一般には高温の炉中での長時間拡散が必要になります.これには相当なエネルギーが要求されますので,低エネルギーで短時間に行う方法が求められています.(興味のある学生は「金属間化合物」,「拡散」をググってみてください.)
本研究では拡散炉を用いず,耐食性向上のためにCrを添加したFeAl金属間化合物の鋼表面へのレーザ粉体肉盛溶接を提案します.具体的には生成合金の元素比や硬さなどに及ぼすレーザ出力密度の影響を明らかにします.下記リンクはレーザ肉盛マシン(下図)による実験中の動画です.
論文が出るまで時間がかかりました.よく頑張りました.
特許取得まで大分時間がかかりました.
接着接合部に荷重が作用する時,接着層端部に応力が集中しそこから剥がれます.応力集中を分散できれば接着強度が増すことになります.応力集中を分散させるために,まずは集中の様子を可視化するなど把握できる技術が必要となります.
本研究では当研究室で開発した透過型レーザ光弾性装置(下図および写真)を用いて接着層の応力分布を定量評価し,応力集中の特徴を考察します.