研究紹介
新しい風がふく.ミライへ通じる風となれ.
急ぐ人は最初の2分半を飛ばせばいきなり研究内容を視聴できます
2022年の研究紹介動画(2022-9-15輪講説明会動画)
急ぐ人は最初の2分を飛ばせばいきなり研究内容を視聴できます
以下,各テーマをクリックして詳細をお読みください.
昆虫は既に知っている:
カブトムシ頭角の強靱さメカニズムの解明
研究の前提(生物模倣工学について)
工学上の課題を生物は既に合理的に解決している場合があります.蓮の葉の撥水効果(lotus effect)蜂の巣のハニカム構造(honeycomb structure)などです.このため,生物に学ぶと効率よく課題解決ができることがあります.
工学上の課題を生物は既に合理的に解決している場合があります.蓮の葉の撥水効果(lotus effect)蜂の巣のハニカム構造(honeycomb structure)などです.このため,生物に学ぶと効率よく課題解決ができることがあります.
工学上の興味
カブトムシのツノは武器であり夜な夜な激しいけんかで酷使され消耗も激しいことが知られています.けんかに勝つことが子孫を残す道のため,ツノが折れることは絶対に避けねばなりません.一方,ツノは繊維強化材料でどのような強化デザインがなされているか興味がわきます.
研究方法
ツノを片持ち梁として下図の様に荷重を作用させます.このときのたわみ曲線をデジタル変位計でスキャンしておきます.実験後,ツノを動物用CTスキャナーで形状データを取得してPCに取り込み,有限要素法で実験と同じ荷重をかけた際のたわみ曲線を計算します.有限要素解析ではツノを繊維強化材でなく等方均質材と仮定して計算を行います.実験たわみ曲線と,解析たわみ曲線の双方を比較し,違いがあればそれは繊維強化による強化デザインによるものと特定できることになります.
読売新聞に掲載
この研究は読売新聞で報道され,学生の名が出ました.よく頑張りました.
https://tdu.box.com/s/e81t4bfbmgyluz5u1z2shyxb5wbwhnmv
https://www.dendai.ac.jp/news/20180907-02.html
Advancd Experimental Mechanics誌に掲載
最新の研究が標題の英文誌にAcceptされました.
https://tdu.box.com/s/nuiut2dyfwpu6zd3rl7ta5clpy3s1dvp
ハガネに着せるハードスーツ.ビシッとキマルか:
ダイヤモンドライクカーボンの応力測定
研究の前提(表面改質について)
材料の表面を改質して,その材料の弱点を補う技術を表面改質技術といいます.例えば鋼がさびるのは表面から,摩耗も表面からですので,表面をうまく処理してやれば安価な鋼を高価な素材の代替えとして使え,人々に安くて良い製品を提供できることになります.ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を鋼の表面に成膜することでこういったことが可能になります.
材料の表面を改質して,その材料の弱点を補う技術を表面改質技術といいます.例えば鋼がさびるのは表面から,摩耗も表面からですので,表面をうまく処理してやれば安価な鋼を高価な素材の代替えとして使え,人々に安くて良い製品を提供できることになります.ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を鋼の表面に成膜することでこういったことが可能になります.
克服すべき課題
上述はDLCが鋼の表面に確実に密着していることが前提条件となります.ところがDLCは無理な力がかかった状態で鋼表面にくっついている為,剥がれることがあります.そこでDLCが成膜される際の無理な力をできるだけ小さくする事が必要になります.そのためにはその力を正確に測定できる技術が必要です.
解決策
本研究では反射型レーザ光弾性装置を用いてDLC内の応力を非破壊非接触で定量化します.下図および写真は当室で開発した応力測定装置です.当研究室は光弾性技術を研究室開設時から扱ってきており,様々な企業からの応力測定要請に応えてきました.
学生が書いた論文
英語で発行されている学術誌に掲載された論文です.よく頑張りました.
パッケージごみから地球を救え:
生分解性パッケージフィルムの熱封止性評価
生分解性パッケージフィルムの熱封止性評価
研究の前提1(サステナビリティー(sustainability)について)
持続可能(sustainable)な社会を構築すること,すなわち地球環境を汚さず美しく保つことが工学に強く求められていることの一つです.このため,土壌中などにいる微生物の持つ酵素作用などで分解する生分解性プラスチック(biodegradable plastics)が注目されています.
持続可能(sustainable)な社会を構築すること,すなわち地球環境を汚さず美しく保つことが工学に強く求められていることの一つです.このため,土壌中などにいる微生物の持つ酵素作用などで分解する生分解性プラスチック(biodegradable plastics)が注目されています.
研究の前提2(ヒートシール(heat seal)について)
下の写真の様に食品などのパッケージは熱溶着で封止されます.これをヒートシール(heat seal)といい,この封止方法は世界中で食品のみならず,点滴パックなどの医薬品にも使われています.
下の写真の様に食品などのパッケージは熱溶着で封止されます.これをヒートシール(heat seal)といい,この封止方法は世界中で食品のみならず,点滴パックなどの医薬品にも使われています.
克服すべき課題
地球環境保護の為,エネルギーを従来よりも使わないヒートシール条件の探索や使用が少し難しい生分解性プラスチックへの代替えを目指します.これらのためには,これらの条件のもとでヒートシールが完璧か否かを非破壊かつ非接触で測定できる技術が求められています.
研究方法
本研究では当研究室で開発した透過型レーザ光弾性装置(下図および写真)を用いてヒートシール部の光学的特性を非破壊非接触で評価します.平行してシール部の剥離試験を行い,剥離強度と光学特性との関連を求め,非破壊非接触の光学特性評価のみで,シール部の剥離強度を推定できる様にします.なお,剥離強度試験に用いる試験機は2022年5月に旧機材と入れ替えました.
Advancd Experimental Mechanics誌に掲載
最新の研究が標題の英文誌にAcceptされました.
2024/8月頃出版の予定.下記URLはダミーです.
https://tdu.box.com/s/nuiut2dyfwpu6zd3rl7ta5clpy3s1dvp
人類に応力視をもたらせ:
材料内の応力分布を可視化する顕微鏡の開発
研究の前提(可視化技術について)
肉眼で見えるものには限りがあります.そこで人類は,テクノロジーの力を借りて,本来見ることのできない世界を開拓してきました.
もし材料内に作用する応力(stress)を映像化できたなら,私たちの前にどんな世界が広がるでしょうか.流動物であれば流れの様子や速度が見えるのではなくその流れを誘起する応力を映像化できるでしょう.分解能が上がれば細胞や組織に働く応力や細胞内の物質移動の動力を見ることができるかも知れません.本研究は人類に「応力」を見るための新たな眼をもたらします.
肉眼で見えるものには限りがあります.そこで人類は,テクノロジーの力を借りて,本来見ることのできない世界を開拓してきました.
もし材料内に作用する応力(stress)を映像化できたなら,私たちの前にどんな世界が広がるでしょうか.流動物であれば流れの様子や速度が見えるのではなくその流れを誘起する応力を映像化できるでしょう.分解能が上がれば細胞や組織に働く応力や細胞内の物質移動の動力を見ることができるかも知れません.本研究は人類に「応力」を見るための新たな眼をもたらします.
克服すべき課題
応力の可視化には位相差測定を用います.似たような装置に偏光顕微鏡があります.偏光顕微鏡は位相差を可視化できますが,定量的評価は困難である上,位相差がナノメートル以下の微小量の計測は困難です.
研究方法
本研究では当室で開発し改良を重ねてきた位相差測定装置に,高速度CCDカメラを組み合わせて(下図),大視野高分解能の画像を捉えます.測定原理は,時空間フーリエ変換を使って,各ピクセル位置の光量の周波数成分を求め,平均光量と1次と2次の振幅値からそのピクセル位置の光学的位相差(大きさと方向)を得るというものです.人類は新たな目を獲得できるのか,期待が高まります.
学生の学会発表論文
日本機械学会で発表した論文です.よく頑張りました.
https://tdu.box.com/s/ufp4a972j17xu5mtb80c1583bm3g000e
アルミコーティングが拓くハガネのミライ.それは輝いているか:
Laser powder overlay weldingによる鋼表面改質
研究の前提(表面改質について)
材料の表面を改質して,その材料の弱点を補う技術を表面改質技術といいます.例えば鋼がさびるのは表面から,き裂もおおよそ表面からですので,表面をうまく処理してやれば安価な鋼を高価な素材の代替えとして使え,人々に安くて良い製品を提供できることになります.鋼の表面にアルミをコートすることでこういったことが可能になります.
材料の表面を改質して,その材料の弱点を補う技術を表面改質技術といいます.例えば鋼がさびるのは表面から,き裂もおおよそ表面からですので,表面をうまく処理してやれば安価な鋼を高価な素材の代替えとして使え,人々に安くて良い製品を提供できることになります.鋼の表面にアルミをコートすることでこういったことが可能になります.
克服すべき課題
鋼の表面に金属間化合物を形成しますが一般には高温の炉中での長時間拡散が必要になります.これには相当なエネルギーが要求されますので,低エネルギーで短時間に行う方法が求められています.(興味のある学生は「金属間化合物」,「拡散」をググってみてください.)
研究方法
本研究では拡散炉を用いず,耐食性向上のためにCrを添加したFeAl金属間化合物の鋼表面へのレーザ粉体肉盛溶接を提案します.具体的には生成合金の元素比や硬さなどに及ぼすレーザ出力密度の影響を明らかにします.下記リンクはレーザ肉盛マシン(下図)による実験中の動画です.
学生が執筆分担した論文が学術誌に掲載
論文が出るまで時間がかかりました.よく頑張りました.
https://tdu.box.com/s/6rvgnthsq7bzbboxiyjuqhm5kmbmi601
特許取得
特許取得まで大分時間がかかりました.
探究心もここに接着なのか:
接着層の応力分布測定
研究の前提(接着接合について)
低燃費化などのために自動車や航空機などはアルミ,鋼やFRPなどマルチマテリアルを効率よく接合する必要があります.特に,異種金属が直接触れ合う場合は局部電池が形成されて腐食が進行する等の問題があるため,接着剤による接合が検討されています.
低燃費化などのために自動車や航空機などはアルミ,鋼やFRPなどマルチマテリアルを効率よく接合する必要があります.特に,異種金属が直接触れ合う場合は局部電池が形成されて腐食が進行する等の問題があるため,接着剤による接合が検討されています.
克服すべき課題と研究目的
接着接合部に荷重が作用する時,接着層端部に応力が集中しそこから剥がれます.応力集中を分散できれば接着強度が増すことになります.応力集中を分散させるために,まずは集中の様子を可視化するなど把握できる技術が必要となります.
研究方法
本研究では当研究室で開発した透過型レーザ光弾性装置(下図および写真)を用いて接着層の応力分布を定量評価し,応力集中の特徴を考察します.