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【最近の主な研究内容】
■次世代技術を活用した物流システムの効率化・トラック隊列走行に関する研究,物流拠点の立地・輸送特性に関する研究
近年,労働時間規制の強化,運転免許制度の改正等によりトラックドライバー不足が顕在化している.この問題の原因には,輸送距離の増加や小口化の増加によるロードファクターの低下がある.東日本大震災を契機としたリスク分散対策や原油価格の高騰により物流企業の経営も厳しさを増しており,物流の効率化が一層求められている.一般に製品価格の5%程度が物流コストと言われており,物流の効率化は我が国や各地域の産業競争力にも大きな影響を与える.このような現状の下で,物流企業の特性自体も変化してきた.その中の一つとして物流コスト削減のための物流施設の集約化・大規模化が挙げられる(参考:東京都市圏交通計画協議会)それに伴って,複数の荷主から物資を搬入し,複数の取引先へ搬出するといった,集約的な物流施設・物流拠点も増加すると考えられる.東京都市圏では,3環状(圏央道・外環道・中央環状線)が開通するため,広域に高速で配送が可能となる物流拠点の増加と物流システムの効率化の好機であるといえる.しかし,大消費地である東京都といった配送先から離れている茨城県や北関東の地域では,同じ圏央道沿線地域の神奈川県や埼玉県よりも,立地の面で不利である可能性がある.今後,東京都市圏全体での物流の効率化や,茨城県などの各地域における物流拠点誘致施策などを検討する上で,近年の物流拠点の立地特性を十分に分析する必要がある. 本研究では,まず,東京都市圏における近年の物流拠点の立地特性変化と輸送の空間的特性に関して実態を把握し,今後の立地特性変化に関して研究を行っている.また,自動運転や隊列走行といった次世代技術を活用した都市間物流システムの効率化方策についても検討しており,これらをもとに,将来の効率的な広域物流システムの設計を行う.関連論文:(1)豊崎祐司,平田輝満,笠原徳文:東京都市圏における物流拠点の立地と都県間輸送の特性分析,第52回土木計画学研究発表会・講演集,2015(2)平田輝満,笠原徳文,豊崎祐司:東京都市圏における搬出搬入条件を考慮した物流施設の立地選択モデルの構築,土木学会論文集D3(土木計画学)Vol.72 No.5,p.I_1057-I_1065, 2016.(3)平田輝満・影山拓哉:都市間高速道路における隊列走行の長編成化ニーズと分合流部の運用に関する検討,第55回土木計画学研究・講演集,2017.(4)平田輝満,影山拓哉,讃良将信:隊列走行トラックの長編成化と高速道路合流部の運用方法に関する研究,第15回ITSシンポジウム,2017(5)平田輝満,阿部柊人:物流センサスを用いた貨物トラックによる隊列車両マッチングのポテンシャル推計,日本物流学会第35回全国大会,2018.9.30.(6)川瀬俊明,平田輝満,森岡駿介,鍛治竜馬:ドライバーコストを考慮した隊列走行の車両マッチングに関するシミュレーション分析,土木計画学研究・講演集,Vol.58,CD-ROM,2018.(7)平田輝満・讃良将信・影山拓哉:隊列自動走行のための高速道路合流部の運用方法に関する研究,土木学会論文集D3(土木計画学),Vol.74,No.5,p. I_1361-I_1373,2018.(8)平田輝満,阿部柊人:都市間物流データを活用したトラック隊列走行の車両マッチングポテンシャルの推計~東北自動車道を対象として~,日本物流学会誌(論文R),第27号,pp.91-98,2019.(9)竹田郁海・平田輝満・阿部柊人:物流センサスを活用したトラック隊列走行の燃費削減効果推計手法に関する研究,土木学会論文集D3(土木計画学),Vol.75,No.5,pp.I_891-I_899,2019. (10)平田輝満:隊列走行と長距離トラック物流,高速道路と自動車,3月号,P13,2020.(11)Terumitsu Hirata, Taiki Fukaya: Potential of Truck Platooning for Transporting Empty Trucks considering Intercity Freight Demand Imbalances, LogForum (Scientific Journal of Logistics), Vol.16, No.3, p.51-61, 2020.
■大規模災害時の代替輸送ネットワーク計画モデルと輸送容量拡大手法に関する研究
自然災害大国である我が国においては,平常時に大量旅客輸送を担う新幹線が災害時に長期で途絶した際にも人々の移動手段を確保し,経済活動レベルを持続させる方策を十分に検討しておく必要がある.そこで,本研究では複数交通機関による代替輸送計画の新たな方法論の開発と代替輸送能力の拡大手法の提案を行うことを目的とする.具体的には,鉄道途絶時の代表的な代替輸送機関として航空とバスを取り上げ,従来明らかにされていない旅客輸送サービスを担うサービスプロバイダー(輸送事業者)とそれを支えるインフラ(空港と道路)の両者の供給力制約を考慮した代替輸送ネットワーク計画モデルを開発するとともに,両供給力を拡大するための法制度の柔軟化と交通システム運用方法の実現可能性を検討し,その効果推計を行っている.関連論文:(1)川瀬俊明,平田輝満:東海道新幹線途絶を想定した航空代替輸送の需要量推計と供給力拡大方策に関する基礎的研究,第53回土木計画学研究・講演集,2016.(2)平田輝満:空港と航空輸送の緊急対応能力向上を~大規模災害に備えて,ていくおふ(ANA総合研究所),No.143,2016.8.(3)平田輝満:大規模災害による新幹線途絶時の航空代替輸送, KANSAI 空港レビュー,2018年1月号 No.470
■航空交通システムに関する研究,混雑空港の容量拡大方策と騒音影響に関する研究
首都圏等の大都市において空港は国内外の他都市へのゲートウェー機能を担い,その空港に十分な容量が確保されていることが,都市の国際競争力維持の条件となる.我が国の首都圏は慢性的な空港容量不足が続き,今後の国際航空需要の伸びを考えれば,さらなる容量拡大が必須である.一方で,国土の狭小性や騒音影響から滑走路の増設も困難を伴うことが多い.そのため,既存ストックを活用した容量拡大方策の検討も十分になされる必要があるとともに,滑走路の配置・設計や環境影響評価においても航空機の運用(航空管制)や飛行経路設計の特性を十分に理解し,容量拡大や運航効率化の方策を検討すべきである.本研究では,従来は必ずしも科学的・定量的に議論がなされてこなかった我が国の空港容量に関して,それを評価する方法論を開発するとともに,特に首都圏空港を対象として滑走路および連続システムである空域の容量の拡大方策について提案を行っている.また,都市部における航空機騒音に対する意識や受容性についても分析をしている.関連論文:(1)混雑空港の容量拡大方策と騒音負担のあり方に関する研究,ITPS Repoert 201301,2013年7月.(2) 平田輝満,清水吾妻介,屋井鉄雄:羽田空港再拡張後の新規滑走路整備による容量拡大方策と騒音影響に関する研究,土木学会論文集D3 (土木計画学), Vol.67, No.5 (土木計画学研究・論文集第28巻), I_1011-I_1022, 2011.(3) 寺田惇郎,平田輝満,清水吾妻介,屋井鉄雄:市街地における航空機騒音への受容意識の分析,土木学会論文集D3 (土木計画学), Vol.68 (土木計画学研究・論文集第29巻),I_1205-I_1218, 2012.(4)平田輝満,清水吾妻介:混雑空港の航空機騒音負担のあり方と羽田空港における都心上空飛行ルートの活用方策に関する研究,第50回飛行機シンポジウム,CD-ROM,2012.(5)Terumitsu HIRATA,Azumanosuke SHIMIZU,Tetsuo YAI:Runway Capacity Model for Multiple Crossing Runways and Impact of Tactical Sequencing -Case Study of Haneda Airport in Japan-,Asian Transport Studies (ATS),Volume 2, No.3,p.295-308, 2013.(6)平田輝満:羽田空港の滑走路運用特性に起因した航空機遅延の軽減方策に関する研究,土木学会論文集D3 (土木計画学), Vol.69,No.5 (土木計画学研究・論文集第30巻),I_869-I_880,2013.(7)二見康友,平田輝満:離着陸順序の実態からみた滑走路容量算定手法に関する研究~成田国際空港を対象として~,2015.(8)Veng Kheang PHUN, Junro TERADA, Terumitsu HIRATA, Tetsuo YAI:Analysis of Aircraft Noise Sensitivity for Urban Airport: A Concept of Reference Noise Level,Asian Transport Studies,Vol.3,Issue.3,pp.345-361, 2015.(9)Phun, V. , Hirata, T. and Yai, T.: Effects of Noise Sensitivity, Noise Exposure, and Affluent Status on Aircraft Noise Annoyance. Journal of Environmental Protection, 6, 976-985, 2015.(10)Veng Kheang Phun,Terumitsu Hirata,Tetsuo Yai: Effects of noise information provision on aircraft noise tolerability: Results from an experimental study, Journal of Air Transport Management, Vol.52, 2016.(11)蒔田良知,平田輝満,二見康友:気象条件に着目した滑走路処理容量の変動特性に関する研究,第53回土木計画学研究・講演集,2016.(12)平田輝満,二見康友,蒔田良知:混雑空港における離着陸順序付けの実態と滑走路処理容量に関する研究,土木学会論文集D3(土木計画学)Vol.72 No.5,p.I_1037-I_1045, 2016.(13)平田輝満,久保思温,蒔田良知,二見康友:離陸機数予測と到着間隔制御を考慮した滑走路運用シミュレーションと遅延評価,土木学会論文集D3(土木計画学),Vol.75,No.5,pp.I_979-I_987,2019.
■大規模災害時の救援救助を支える空港整備と運用方法に関する研究
東日本大震災では,津波被害があった仙台空港を除き,被災地の空港でも大きな被害はなく,これらの空港は発災直後からヘリ等による救援救助活動・自衛隊機等による救援物資輸送・民航機等による陸上交通の代替輸送など,発災後の活動において大きな役割を果たした.一方で高速道路は数日間にわたって通行止めとなり,一般道路は沿岸部を中心に壊滅的な被害により長期にわたって通行止めとなった.地震や津波,水害等の災害発生により広域に被害が及ぶ場合,陸上交通ネットワークは寸断され,復旧に時間を要することが予想され,その際には比較的災害に強い空港の果たす役割は極めて大きいといえる.また,平時には航空便の少ない地方空港でも災害時には数倍~十数倍の航空機の発着が行われることもあり,平時に合わせた施設規模や人的容量においては,その運用に大きな制約が生じ,安全で効率的な災害対応活動に支障が生じかねない.本研究では,過去の大規模災害の際の実態と課題を調査した上で,大規模災害に備えた空港整備や空港運用,広域での複数空港の役割分担方法などなどに関して研究を行っている.関連論文:(1) 災害時における多様な航空機活動を支える空港運用のあり方に関する研究-東日本大震災の空港利用実態調査を踏まえて-(第45回運輸政策セミナー)(轟朝幸,荒谷太郎,平田輝満,引頭雄一,花岡伸也,長田哲平),2013年10月11日.(とりまとめ論文:運輸政策研究,Vol.16,No.4,pp80-85,2014)(2) Shinya HANAOKA, Yuichi INDO, Terumitsu HIRATA, Tomoyuki TODOROKI, Taro ARATANI, Teppei OSADA: Lessons and challenges in airport operation during a disaster: Case studies on Iwate Hanamaki Airport, Yamagata Airport, and Fukushima Airport during the Great East Japan Earthquake, Journal of JSCE, Vol.1/No.1, pp.286-297,2013.(3)荒谷太郎,平田輝満,長田哲平,花岡伸也,轟朝幸,引頭雄一:東日本大震災時の航空機活動と空港運用の実態分析―いわて花巻・山形・福島空港を対象として―,土木学会論文集D3 (土木計画学), Vol.69,No.5 (土木計画学研究・論文集第30巻),I_229-I_246,2013.(4)古田土渉,平田輝満:大規模災害時の空港運用方法と容量に関する基礎的研究,第51回土木計画学研究発表会,2015.(5)Wataru Kodato and Terumitsu HIRATA: Fundamental Analysis of Airport Operation and Capacity in Disaster(11th International Conference of Eastern Asia Society for Transportation Studies,Cebu, Phillipines, 2015),ポスター(6)平田輝満:空港と航空輸送の緊急対応能力向上を~大規模災害に備えて,ていくおふ(ANA総合研究所),No.143,2016.(7)轟 朝幸・引頭雄一 編著(執筆者:花岡伸也,平田輝満,長田哲平,川崎智也,荒谷太郎,崔善鏡):災害と空港ー救援救助活動を支える空港運用,成山堂,ISBN: 978-4-425-86301-3,2018-02-28.(成山堂WEB)(8)平田輝満:わが国における自然災害に強い空港づくりと空港BCP, IATSS Review(国際交通安全学会誌), 2020, 45 巻, 2 号, p. 100-108.(9)平田輝満:大規模自然災害時の航空機の避難と臨時駐機,KANSAI空港レビュー,pp.23-27,2021年1月号(No.506).(10)Wang, Qingqi, and Terumitsu Hirata. 2021. "Relief Aircraft Dispatch Strategies Based on Different Levels of Information Sharing Systems" Aerospace 8, no. 10: 306. https://doi.org/10.3390/aerospace8100306
■航空機遅延の波及現象を考慮した空港容量拡大の効果分析手法に関する研究
航空交通システムの運航改善方策のうち,特に空港容量拡大に資する方策の社会経済効果の定量化手法に関して,従来考慮されていなかった航空機遅延の波及現象に着目し,①その波及メカニズムと実態解析,②費用便益分析における遅延波及の考慮の方法の検討,③容量(配分スロット数)と遅延の関連からみた便益項目の選定方法の検討,④遅延実態に基づく新たな遅延軽減方策の方向性の検討を行っている.関連論文:(1) 古田土渉・平田輝満・二見康友・又吉直樹:航空ネットワーク上の波及遅延の解析と費用対効果分析・管制運用への活用に関する研究,第55回土木計画学研究・講演集,2017.(2)高倉信一,平田輝満:国内航空ネットワークにおける航空機の波及遅延と遅延要因に関する実態分析,土木計画学研究・講演集,Vol.57,CD-ROM,2018.(3)Terumitsu HIRATA: Analysis of flight delay propagation and delay cause in Japanese domestic air transport network, Proceedings of the 22nd ATRS World Conference, 2018.(4)平田輝満・古田土渉・又吉直樹:国内航空ネットワークにおける波及遅延の解析モデルと費用対効果分析への活用手法,土木学会論文集D3(土木計画学),Vol.74,No.5,p. I_959-I_970,2018.
■アジア太平洋地域における国際航空交通からの温暖化ガス排出特性に関する研究
近年,アジア地域の急激な経済成長などを背景に,世界の航空交通量は年々増加している.特に,ICAO(国際民間航空機関)の国際航空旅客輸送量予測によると,アジア-太平洋横断路線においては,2005年の9670億人キロから,2025年には2兆9800億人キロまで成長するとされている1).さらに,日本が担当する太平洋上管制区では,日本と北米,ハワイ,南太平洋の国々を結ぶ路線以外にも,我が国上空を通過し東南・東アジア各国と北米,ハワイ,南太平洋間を航行する航空機(上空通過機)が数多く飛行しているため,航空旅客輸送量の増加に伴い上空通過機数も増加することが見込まれている2).運航者は,通常その日の運航機材や気象予報,経済性,乗客のサービスレベル等様々な情報から飛行ルート上の巡航最適高度を設定している.しかし,日本を離陸する航空機は地理的制約上,上空通過機によって最適高度を先取されてしまっている可能性があり,今後上空通過機数が増加していくにつれ,その頻度は増していくことが考えられる.上空での航空機間間隔はあらかじめ決められているため,仮に航空機間間隔が保てない(以下,コンフリクト)と判断された場合は,希望高度以外の高度帯への変更,もしくは出発遅延を要求される場合もある.希望高度での飛行が実現できない場合,燃費悪化はもちろん,燃料消費に伴うCO2の排出量も増加する.また,最適高度取得のため出発遅延が要求された場合,過度な燃料消費は避けられるものの,定時性が守られないことになる.現在首都圏空港のさらなる容量拡大が検討されているが,地上滑走路容量を増やしても上記のような洋上空域の容量制約により出発機の処理機数が思うように拡大できない可能性もある.また,航空交通量の増加に伴う環境問題については世界的に関心が高まっており,ICAOの総会では,航空部門による排出量に関する市場ベース対策(Market-Based Measures)制度を検討している.このような制度の中で上記のような地理的要因も考慮すべきか今後検討が必要であると考える. 本研究では,以上のようなアジア太平洋地域における地理的特性を踏まえた国際航空交通からのCO2排出に関する実態解明と排出削減に向けた運用・管理方法と国際航空政策に関して研究を行っている.関連論文:(1) Hayato KINOSHITA and Terumitsu HIRATA: Simulation Analysis of Conflict between International Departure Flight from Japan and Overflights,The 18th Air Transport Research Society world conference, 2014.(2)木下隼人,平田輝満:我が国からの国際線出発機と上空通過機のコンフリクト分析,第50回土木計画学研究発表会・講演集,2014.(3)Terumitsu HIRATA, Hayato Kinoshita: Simulation Analysis of the Conflicts among the International Departure Flights from Asian Region over Pacific Oceanic Airspace, Journal of the Eastern Asia Society for Transportation Studies, Vol.13, 2019.
■地域間・地域内交通ネットワークの設計に関する研究
今後の人口減少を考慮すると地域航空ネットワーク維持のための公的支援制度の必要性が高まるとともに,一方で乗継便や地上交通機関との連携も踏まえた真に必要な航空路線の見極めも重要である.また地方都市と首都圏大都市を直接結ぶ航空路線等により地域内の拠点空港の乗継需要の減少とともに,地域内の交通サービスレベルの低下も懸念される.国土形成計画にあるように今後は複数都道府県が一つの圏域としてまとまり,直接アジア等の海外と結びつく重要性も高い.本研究では,都市間交通サービスにおいて,特に地方航空路線の維持方策や維持すべき地域航空路線を客観的に評価・判断する手法を検討するとともに,地域内・地域間の交通サービスレベルのあり方について研究を行っている.関連論文:(1) 白石勇人,平田輝満:国内航空路線の休廃止が地方間移動に与える影響に関する分析,第49回土木計画学研究発表会・講演集,2014.(2)Yuto Shiraishi and Terumitsu Hirata: Analysis of the Impact of Abandoned Direct Air Routes on Inter-regional Passenger Travel Flows in Japan(11th International Conference of Eastern Asia Society for Transportation Studies,Cebu, Phillipines, 2015),ポスター
■地方都市における年齢構成バランスと地域間人口移動・地元定住に関する研究
雇用力の弱い地方市町村では,若年人口における就職・転勤といったライフイベントの際に大都市圏や周辺中心市等への若者の転出が多くなる.そのような市町村での若年人口流出を極力抑えるためには,周辺中心市等へ移住せずとも通勤・通学が可能な若年層を自市町村に繋ぎとめることが最低限求められてくると考えた.市町村の枠を超えた広域生活圏で中心市を核とした都市サービスの維持が考えられているが,そのような中でも周辺市町村に一定程度の人口を維持し年齢構成バランスも確保することが望ましい.本研究では茨城県を対象に各市町村における年齢構成バランスの実態に関して分析し,さらに中心市と周辺市間の人口移動・地元定住度について周辺市町村への留まりやすさに影響する都市サービス面・交通面の要因に着目して研究を行っている.関連論文:(1) 後藤菜月,平田輝満:市町村単位の年齢構成バランスと地元定住度に関する研究-茨城県を対象としてー,土木学会論文集D3 (土木計画学), Vol.71,No.5 (土木計画学研究・論文集第31巻),p.I_305-I_312, 2015.(2)知久陽平,平田輝満,竹田郁海:居住地選択に対する学校施設の影響と超長期人口シミュレーション~日立市を対象として~,土木計画学研究・講演集,Vol.60,CD-ROM,2019.