サイエンスカフェ@札幌手稲教会  2024年4月~10月

「動物と人間」

毎月第2土曜日 午前10時30分から 対面とオンライン(ハイブリッド)形式

昨年に引き続いて今年も毎月1回ずつ、サイエンスカフェを開きます。教会の行事(結婚式やお葬式)が入った場合には、カフェの日程を変更します。

毎回、読み切りの内容です。どの回からでもご参加ください。ご紹介する資料の著作権を守るために、参加者のお名前と連絡用のメールアドレスを登録します。本名でご参加ください。ご紹介する資料は参加者の手元に限り、他の方に無制限にお渡しにならぬよう、ご配慮をお願いします。

講師も参加者の個人情報を守り、サイエンスカフェの連絡以外には用いません。なお、資料代・会堂利用料として1,000円を一括してお支払いください。(1回ごと、ご参加いただく方は、そのたびに100円をお支払いください。ご要望があったので、修正します。)

会場でコーヒーを飲まれる方は、各自で、会堂ホールのコーヒーメーカーをご利用ください。(1杯100円です。)

なお、このカフェは教会員による自主活動です。教会の伝道布教を目的とするものではありません。講師が現役時代に北大でおこなった講義をベースとした内容です。

講師:松島俊也(北海道大学大学院理学研究院・名誉教授、北海道医療大学・客員研究員、イタリア・トレント大学・客員研究員)

4月13日 性の多様性

性を転換するサンゴ礁のベラの話
 

オオスとメス、二つの生物学的な性を持つ動物が一般的です。しかし動物界にはメスだけしかいないもの(単為生殖をするトカゲ)、オスとメスの両方の生殖腺を持つもの(寄生性のヒラムシ)、さらに状況に応じてメスからオスへ性転換するものもいます。生物学的にみると性は固定していません。常に揺らいで、多様な形を取ります。動物にとって「性」も進化戦略の道具のひとつなのです。

5月11日 オスとメスの確執

婚姻ギフトと子殺し

オスとメス、この間には大きな利益の対立が生じる事があります。オスがその利益(繁殖成功)を追求すればメスは利益(繁殖成功)を失い、その逆も成り立つのです。しかし、オスもメスもどちらも相手の性がなければ繁殖できません。このジレンマの中で動物はさまざまな妥協や駆け引きを進化させました。

622日 短気な経済学

猫マタギするヒヨコの話
(この日だけ、第4土曜日です。)

目の前に1,000円札がある。それを取らず、じっと我慢すれば一月後には10,000円になる。どちらを選びますか?目の前のお金は現実、1か月後のお金は仮定(仮想)のものです。動物の意思決定の研究は、ヒトと動物が多くの点で共通していることを明らかにしました。ヒトの経済活動と同じように、ヒヨコも現実の餌と、餌の期待の間を揺らいで生きています。目の前の餌に飛びつく気短さの理由を考えます。

713日 利他行動

コスタリカのチスイコウモリの話

自分が採った餌は自分の物、動物も人間も多くの場合、自分が得た利益を分け与えたりはしません。ところが、いくつかの条件がそろうと自分の餌を分け与える行動がうまれます。チスイコウモリはその一例で餓死するか生き延びるか、という極端な状況のもとで、初めて利他行動は保たれていました。


914日 市場経済

毛づくろいを貨幣に赤ん坊を「買う」話

アフリカのサルの仲間にとって、生まれたばかりの赤ん坊を抱くことは大きな関心事です。母親から赤ん坊を抱っこさせてもらうために、オスもメスも母親に毛づくろいをしてあげます。しかしここでは市場原理が働きます。新生児が多い時、供給が需要を上回ってしまうのです。赤ん坊の「価格」が下がり、毛づくろいの時間が短くなるのです。

1012日 盗む・蓄える

アメリカカケスの話

動物たちがいちどきに消費しきれないほど、木はたくさん実をつけます。カラ類の小鳥は秋に餌を隠し、冬の間に1000か所を超える隠し場所から回収して、冬を越します。他方、カケスも実を隠しますが、越冬のためではありません。高々100か所しか隠し場所を持たないのです。これは彼らが互いに獲った餌を盗みあうためです。盗まれないために隠し、隠すところを見られたら、ほじくり返して別のところに隠し直すのです。この状況でカケスは「何を・いつ・どこに」という、ヒトと同じようなエピソード記憶を獲得しました。

お問い合わせ

オンラインで参加登録を希望される方は実名を明記して、右のアドレスにメールをお送りください。折り返し、ZOOM参加のためのURLとパスコードをお伝えします。

なお頂いたメールアドレスは講師が管理し、サイエンスカフェの連絡以外には利用しません。

matsushima.lectures@gmail.com

アクセス


対面で参加される方は当日、直接、教会へおいでください。教会のサイトは左のQRコードをご覧ください。事前予約は必要ありません。

日本キリスト教団 札幌手稲教会

〒006-0814 札幌市手稲区手稲本町2条3丁目3-1


 昨年度2023年に実施したサイエンスカフェについては下記をご参照ください。ご希望があれば、オンラインでのみ、リバイバル公開を計画します。

https://sites.google.com/view/teine-science-cafe/

また、講師は3年前に丸善出版社から教科書「動物行動学」の翻訳を出版しました。サイトは下記の丸善のサイトをご参照ください。また、この教科書の表紙を飾ったピーコックスパイダーのBBCの映像がYouTubeで見つかりましたので、これもご紹介します。このカフェではこの話まで踏み込めないのが残念ですが。

https://www.maruzen-publishing.co.jp/item/b303904.html