この事業は,JKA競輪の補助(機械振興に関する研究補助)を受けて実施しました.
自動車や家電といった機械製品の開発の効率化に役立つ,実用的な3次元CAD形状検索システムを開発することです.巨大なデータベースから3D形状データを検索し再利用できれば,製品開発を大幅に効率化できます.これまでにない新しい試みとして,少数の3次元形状データに対してラベルを付与するだけで高い検索精度が得られる,人工知能(AI)ベースの検索システムを開発します.低いラベル付与コストと高い検索精度を両立した3次元形状検索の実現により,多くの企業における製品開発の効率化が期待できます.
少数個の3D CAD形状データに対して人手でラベル付与するだけで高い検索精度が得られる3D形状検索システムを研究開発しました.当研究室が持つ人工知能技術(教師なし深層学習)を発展させ,ラベル付与対象として最適な3D形状を選出する技術,および,少数のラベル付き3D形状と多数のラベルなし3D形状を組み合わせて人工知能を効果的に訓練する技術を開発しました.
25個のカテゴリに分類された約15,000個の3D形状から成るデータセットMechanical Component Benchmark [Kim et al., 2020] を用いて提案技術の評価実験を行いました.その結果,約1%のラベル付与率に対し,mean Average Precisionで約44%の検索精度を達成しました.検索精度値にはまだまだ改善の余地がありますが,実用的な3次元形状検索の実現に向けた「種となる」研究成果が得られました.
本研究事業は研究代表者である古屋が中心となり,山梨大学大学院 修士課程工学専攻 コンピュータ理工学コースの根本 浩暉さんと共に取り組みました.本研究の成果は,情報処理学会 第87回全国大会(2025年3月13日(木)~15日(土))において発表しました [1].
[1] 根本 浩暉,古屋 貴彦,"ラベル付与対象の自動選択機能を備えた,機械部品3D形状の検索システム" ,Proc. 情報処理学会 第87回全国大会,2025.