触媒化学のアプローチにより持続可能な社会の実現を目指します。

キーワード:再生可能資源、バイオマス再資源化、プラスチックケミカルリサイクル、メタン有効利用
固体酸・塩基触媒、担持触媒、層状金属酸化物固体酸、ナノシート固体酸、窒化ホウ素固体塩基、担持白金触媒、金属リン化物触媒
メカノケミカル反応、インターカレーション、in situ XAFS、機械的応力

ボールミル処理による窒化ホウ素固体酸塩基触媒の合成

1.メカノケミカル反応による触媒反応・触媒合成

 メカノケミカル反応は機械的な力を化学反応に応用する反応です。従来では困難な種々の反応が室温で可能になるケースが多くあります。
①我々は、木質系バイオマスの主成分であるセルロースを独自に開発した層状金属酸化物固体酸(HNbMoO6)と混合しボールミル処理することで、セルロースの加水分解が効率よく進行することを見いだしました(ChemSusChem 2018)。このように、固体の触媒と固体の反応基質(セルロースなど)との反応をメカノケミカル反応で実施しています。
②また、メカノケミカル反応は固体触媒の合成にも有効です。我々は本来化学的に不活性であった六方晶窒化ホウ素をボールミル処理することで、高い表面積を有しかつ官能基が表面に露出した新しい固体酸塩基触媒を開発することに成功しています(J. Catal. 2017など)。従来の合成法とは異なるアプローチで新しい触媒を開発しています。

担持白金触媒によるメタンの低温変換

2.メタンの低温変換反応

 メタンは単純な分子であるものの、C-H結合の活性化は非常に困難です。我々は一酸化窒素(NO)を酸化剤として担持白金触媒を用いることで、低温にてメタンを活性化し、有用な化合物(HCN)を合成できることを見いだしました(ACS Catal. 2021など。都立大宍戸先生、産総研阪東先生との共同研究)。反応機構について、反応速度論解析、in situ XAFS、FTIR測定を実施しています。また、酸化白金がメタンの活性化に有効であると量子化学計算から予想され、実際に触媒を合成し、室温付近で酸素雰囲気下でメタノールを生成することを報告しました(Chem. Commun. 2023。九州大吉澤先生、辻先生との共同研究)。

歪みの導入による金属酸化物酸触媒活性の向上

3.新規固体触媒の開発

 新規固体触媒の開発を行っています。これまでに金属酸化物ナノシートや層状金属酸化物が強酸性の固体酸触媒として機能することを見いだしてきました。また、窒化ホウ素が固体酸塩基触媒となることも初めて報告し、熱分解法により表面積が非常に高い(1000 m2 g-1)触媒を合成しています。さらに、金属と金属酸化物との熱伝導度に違いを利用して、金属酸化物に歪みを導入し、固体酸触媒活性が向上することを明らかにしました(Catal. Sci. Technol. 2022)。

他にも様々な研究テーマを実施中です!

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