出版物紹介
Publications
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#個人的なキーワード: 天然林の成木で測りました、ダケカンバとオオシラビソ、細根の水分生理特性、細根の機能形質の秘密
土壌養水分量が動的に変化する森林生態系では、細根の吸水機能をより長く維持することも樹木の資源獲得において重要です。細根において細胞からの水損失は、根の収縮を通して土壌-細根間の接触の遮断につながり、吸水機能の損失につながると考えられます。したがって、どれだけ細胞から水を失いにくくするのかすなわち ”細根の水保持機能” も樹木の資源獲得に重要であると考えられます。根の水保持機能は乾燥環境で着目されてきましたが、貧栄養環境の亜高山帯林においても水獲得を介した養分獲得を維持するうえでより重要になると考えられます。本研究では、葉で広く用いられている水分生理特性"Pressure-volume 曲線特性"を新たに細根に導入し、亜高山帯林における細根の水保持機能の標高応答性を明らかにしました。実際に樹木は標高によって細根のPressure-volume 曲線特性を変化させており、亜高山帯林において細根における水保持機能が重要であることが示唆されました。さらに、Pressure-volume 曲線特性の変化には根組織密度や窒素含有量といった細根の形態特性や化学特性がかかわっており、樹木が細根の形を工夫して水保持機能を調節してことを示唆できました。一方で、興味深いことにPressure-volume 曲線特性の標高応答性は落葉広葉樹と常緑針葉樹で異なり、樹種によってもその重要性が異なる可能性があります。本稿をとおして細根の水保持機能に興味を持っていただけますと幸いです。興味がある方は、ぜひ原文をご確認ください。
#個人的なキーワード: 冷温帯林の成木で測りました、日本の林業主要樹種、細根の水分生理特性、細根の機能形質の秘密、細根系を構成する個根の解剖構造が異なる意味
樹木は細根系を通して土壌から吸水しますが、森林において細根系の吸水機能を直接的に評価した研究はほとんどないのが現状です。本研究では、冷温帯林に生育するスギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツの成木を対象に、細根系の水の通しやすさを示す根水透過性を直接的に評価し、形態、化学、解剖特性との関係を明らかにしました。細根系の根水透過性には樹種間差が認められ、カラマツやアカマツの根水透過性はヒノキやスギよりも高いことが明らかになりました。細根系の根水透過性は根直径、根組織密度、根窒素含有量と相関が認められ、樹木が細根系の形を工夫することで吸水機能を調節していることが明らかとなりました。さらに、根水透過性は細根系の構成する個根の解剖特性とも相関が認められ、特に2次根の解剖特性が根水透過性に強い影響を与えていました。すなわち、樹木は細根系を構成する個根の解剖構造を細かく変化させ、吸収機能と輸送機能のバランスを調節することで吸水機能を変化させていることが示唆されました。本稿をとおして細根系の形と吸水機能の関係に興味を持っていただけますと幸いです。興味がある方は、ぜひ原文をご確認ください。