昔々、雪の降る夜、炭焼きの男・与ひょう(よひょう)は、罠にかかって傷ついた一羽の鶴を助けます。
数日後、与ひょうの家に、つうと名乗る美しい娘が現れ、「あなたの妻になりたい」と申し出ます。やがて二人は夫婦となり、つうの献身的な愛によって貧しい生活も幸せに満ちていきました。
つうは、機(はた)を織るのが得意で、人目を避けて籠り、素晴らしい布を織り上げます。この布を売って与ひょうの生活は裕福になりますが、村のずる賢い運ず(うんず)と惣ど(そど)は、この布の秘密を聞き出し、さらに織らせて金儲けをしようと与ひょうをそそのかします。
つうは「決して機を織る姿を見ないで」と与ひょうに約束させますが、金に目が眩んだ与ひょうはついに約束を破り、機が織られている部屋の戸を開けてしまいます。
そこで与ひょうが目にしたものは、愛する妻つうの悲しい秘密でした。
團伊玖磨の美しい旋律と日本語の響きに乗せて、純粋な愛の行方と、人間の持つ欲望がもたらす悲劇を描き出します。
『夕鶴』は単なる美しい民話劇にとどまらず、音楽的・演劇的に深いテーマが隠されています。
このオペラの最大の特徴は、日本語のイントネーションが旋律と自然に融合している点です。また、オーケストラはすべて西洋楽器で構成されていますが、随所に日本の「わらべうた」が巧みに取り入れられています。 特に、冒頭や劇的な場面転換で子供たちが歌う「かごめかごめ」などのわらべうたは、物語の枠組みを作る重要な役割を果たしており、西洋的なオペラの中に日本的な響きと懐かしさを与えています。