暁の獣恋譚
白川 桜蓮 llustration by 宵
あらすじ:人間が、「希少で高価値」とされる世界がある。
獣人国家が覇を競うその世界では、血の濃さが身分と力を決め、個人の意思よりも、国家の事情が優先される。
人間界で生きていた少女・紗世は、ある日突然、その獣人世界へと召喚される。
それは偶然ではなく、獅子国が抱える“危機”と、彼女自身の祈りが重なった結果だった。
獅子国は、大陸最強の覇権国家。
誇り高く、情に厚く、王の決定が絶対とされる国である。
王太子レオンにとって、紗世は「運命の番」であり、同時に国家の未来を左右する存在でもあった。
守られるために召喚されたわけではない。
選ばれたからといって、自由が与えられるわけでもない。
この物語が描くのは、「恋がすべてを解決する物語」ではない。
国家、血統、誓約、そして生きる場所を選ぶという決断。
人は、どこで、誰として生きるのか。
その問いを軸に、獣人世界を巡る壮大な恋と運命が動き出す。
世界観:この物語の世界は、人間界・獣人界・神獣界という三つの層から成り立っている。
獣人たちは国家を築き、獅子、狼、黒豹といった種族ごとにそれぞれの王と領土を持つ。
なかでも獅子国は、軍事力・経済力ともに頂点に立つ覇権国家。
炎と太陽を信仰し、強さと誇りを美徳とする国である。
この世界では、人間の血が濃いほど「高貴」とされ、
召喚された人間は、各国にとって政治的・象徴的な意味を持つ存在となる。
時間の流れは、人間界と獣人界で異なり、一度召喚された人間は、簡単には元の世界へ戻ることができない。
神獣たちは、表舞台には姿を現さない。
しかし世界の歪みを見守り、必要なときだけ、運命に介入する。
これは、「異世界に行って活躍する物語」ではない。
異なる価値観と力関係の中で、選び続けなければならない。