録音の参考にしてください。
随時更新していきます。
録音ソフトの設定
1. 頭出しとは
2. メインボーカルのトラック分け
ご依頼の際は、こちらを守ってくださると非常に助かります。
すでに録音済みの方は、無理せずそのままの音源を送ってくだされば大丈夫です!
録音の入り口で音割れが起こると、後から修正ができません。多少の音割れであれば補正ソフトで復元できる場合もありますが、基本は修正不可です。
最初に最大声量でテスト
曲中で一番大きな声を出したとき、オーディオインターフェースの「CLIP」や「PEAK」ランプが絶対に赤くならないように録音前に調整してください。常に緑、大きい時でもオレンジ程度がベストです。
録音ソフトの目安
一番大きな声で歌った際、ソフト側のメーターが -6dB程度 に収まる設定が理想的です。
マイクの耐えられる音量
一般的なコンデンサーマイクが歪まずに綺麗に録音できる最大音量は、125dB~130dB前後(PADなし)であることが多いです。人間の歌声は最大でも125dBを超えることはほぼありえないため、安価なマイクを使っていない限り、マイク自体が音割れを起こす心配はまずありません 。
シャウトや非常に近い距離で大声で歌う方でも、マイクのPADをONにすればまず歪むことはありません。
ゲイン(つまみ)は一度決めたら固定
曲の途中でインターフェースのつまみを回さないでください。
ソフト側での音量調整は不要
録音したままの音量で書き出してください。
音量を途中で変えない理由
サビと比べて声量が小さい部分などで個別に音量を上げると、声と一緒に「サー」というノイズも大きくなってしまい、一貫したノイズ除去が難しくなります。また、音源全体の音量バランスが崩れ、コンプレッサーのかかり具合が変わるなど、MIXの精度も落ちてしまいます。
どうしても音量を変えたい場合
ささやき声でも通常はゲインを上げる必要はありませんが、極端に声量が違うなど、どうしてもゲインを変えたい場合は、「設定Aのトラック」と「設定Bのトラック」の2つに分けて録音・書き出しを行い、その旨をお伝えくださると非常に助かります。
音質劣化に影響がある順番
音割れ>>部屋の反響>ポップノイズ>>音量の途中変更>インストの音漏れ>環境ノイズ>リップノイズ>インターフェースのノイズ
音量は小さくても大丈夫
適切に音量調節を行い、24bit以上の設定で録音・出力されていれば、音が小さくても音質の劣化は問題になりません。
マイクとの距離
必ず本番と同じ距離で音量テストを行ってください。離れた状態でテストすると、本番で近づいた際に音割れする恐れがあります。また、離れすぎは部屋鳴りの原因にもなります。
エフェクト(コンプ・リミッター等)
原則すべてOFFで録音してください。
例外:「このコンプの質感が好き」など、音作りに明確なこだわりがある場合のみ、ONのままでも構いません 。
24bit / WAV
・適切に音量管理され、音割れの無い録音であれば、24bitで十分すぎるほどの解像度を保てます。
・また、音割れしていない音源において、24bit整数と32bit floatに音質の差は実質ありません。
32bit floatは主に、内部処理や後処理時にクリップを防ぎやすいという「作業上の安全性」が高い形式です。
・32bit floatは無駄にファイルサイズが大きくなるため、データ転送の効率と音質のバランスを考慮し、24bitでの書き出しを推奨しています。
推奨機材など、録音機材についてのあれこれです。MIXを行う側の立場から、実務的な観点で正直に書かせてもらいます。
入門者のコスパ重視 購入優先度
(USBコンデンサーマイク)>低価格マイク&低価格オーディオインターフェース>マイクスタンド>ポップガード>ショックマウント>部屋の反響対策>CANAREのマイクケーブル
ある程度の機材を持った人が最高音質を実現する 購入優先度
部屋の反響対策>>中価格マイク>中価格インターフェース>高級マイク>>高級インターフェース
たとえ機材が良くても部屋の反響音が大きく入ってしまうと、最新のAI技術やMIXでのノイズ除去処理でも完全に消すことはできません。だからこそ部屋の反響音対策を最優先にしています。
極端な話、適切な録音が出来ているスマホ録音が、数万円の機材録音に仕上がりの音質で勝ることさえあります。
個人的な視点でオススメのマイクや避けるべきマイクをごっちゃに書いています。随時更新します。
無料
iPhone本体のマイク: 侮れません。音はフラットで解像度も悪くありません。音割れ・部屋の反響・ポップ音(息のボフッという音)に気を付ければ十分使えます。iPhoneにマイク無しの有線イヤホンを繋ぐことで、GarageBandでもiPhone本体マイクで録音できます。
iPhone純正有線イヤホンのマイク: 本体マイクと比べると音質は落ちますが、そんなに悪くはないです。
Androidスマホの本体マイク: 機種によります...。ハイエンド機でも音質悪いものは悪いです。
避けるべき激安商品
Amazonなどでよく見る、アームやポップガードが全部セットで5000円前後のものは避けてください。これらは「コンデンサーマイクの形をしたおもちゃ」です。iPhoneの本体マイクの方が圧倒的に高音質なので、買うだけお金の無駄です。
超低価格帯(~1万&インターフェース不要)
Marantz Professional - MPM2000U: PCに直差しできるUSBタイプのコンデンサーマイクです。色々と不便ですが、オーディオインターフェースが不要なので、コストパフォーマンスは最大です。
このマイクは実際に聞いたことがないのでスペックでの判断になりますが、音質面ではスマホ録音に勝ち、AT2020に劣ります。あくまでコスパ最重視の選択肢です。
低価格帯(1~2万)
AKG - P120: AT2020より音がいいです。そしてAT2020より安いです。低域が少し弱めですが、解像度も良く、この価格帯で最もコスパがいいです。
BLUE - ember: これもAT2020より音がいいです。細長い形状で、マイクの先端に向けて一定の距離を保って声を当てなければならないので少し使いにくいですが、それに余りある音質の良さと、部屋の反響音の影響を抑えやすいというメリットがあります。
Audio Technica - AT2020: 音質は中低音がスカスカで、音も歪みやすく感じます。これを買うなら少し予算を足してAT2035にした方が良いので、あまりお勧めはできません。
LEWITT - LCT 240 PRO: 低価格帯で最高音質。ロックな歌声の方に特にオススメですが、万人に合うマイクだと思います。
Audio Technica - AT2035: AT2020と比べてダイアフラムが大きくなり中低域が安定するので圧倒的に高音質で、解像度も高いです。さらにショックマウント(数千円相当)が付属しているのも大きいです。LCT 240 PROとは音質面で目立った差はないと思います。AT2035のほうがフラットな音の傾向なので、柔らかい声の方はこちらがおすすめです。
中価格帯(2~5万)
AKG - P420: P120の低域を補いそのまま高音質にしたような音質で、値段の割に非常に解像度が高いです。高域が少しだけ抑えめなので、柔らかい声の方に特にオススメですが、誰にでも合うマイクだと思います。指向性の変更もできるので、弾き語り等の録音にも使えます。
Austrian Audio - OC16: フラットかつ芯のある音質で、LCT 440 PUREとAT4040の間くらいの音の傾向です。女性ボーカルに非常に合うと思います。
AKG - C214: 定番のマイクですが、高域が非常に強いため、ボーカルを選びます。ロックな歌声や煌びやかな音を目指したい方にお勧めです。
LEWITT - LCT 440 PURE: LCT 240 PROをよりパキッとさせて解像度をグンと上げた音質です。この価格帯では群を抜いてノイズが少ないのが魅力的です。AT4040が優しい音だとすれば、こちらは現代に合う刺激的な音といえます。
Audio Technica - AT4040: 定番の高音質マイクです。スペック上の音はフラットめなので万人に合いますが、大口径ダイヤフラムにより近づくと低音が強く出やすいため、声が細めでパワーを足したい方や、逆にその低音の太さを活かしたい方にオススメです。
例外(約5万+α)
SHURE - SM7B: このページで紹介している中で唯一のダイナミックマイクです。
ダイナミックマイクは部屋の反響音が入りにくいという特性がありますが、特にSM7Bはボーカル以外の不要な音が異次元レベルで小さくなります。音質もダイナミックマイクと思えないほど解像度が高く、MIXしやすい音が簡単に録音できます。部屋の反響や雑音がどうしても抑えられない場合には、10万超えのマイクより高品質な音が録れます。
ただし、SM7Bは非常に出力が小さいです。安価なインターフェースだと音量に余裕がなく、逆にノイズが増えてしまうことがあります。このマイクを使う場合は、『Cloudlifter』などのインラインプリアンプを併用するか、中価格帯以上のインターフェース(SSL 2やMotu M2でもギリギリのパワー)との組み合わせを強く推奨します。
または、「SM7dB」(プリアンプ内蔵モデル) は単体で使用できるので、Cloudlifterを買うのが面倒な人は、最初から増幅機能がついた『SM7dB』を選ぶのも手です。
高価格帯(8万~)
この価格帯からはレコーディングスタジオでもメインで使われるプロ仕様の機材になります。どれを選んでも音質は最高峰ですが、その分マイクの個性(キャラクター)が強く出るようになります。
ただし、優先度の項目でも書いた通り、10万円のマイクを買う前に、まずは部屋の反響対策(吸音)をしてください。反響がある部屋で録った10万円のマイクの音より、反響がない部屋で録った2万円のマイクの音の方が、圧倒的に綺麗に仕上げられます。
Audio Technica - AT4050: 非常にフラットで、完全に「基準」と言える音質です 。AT4040も中価格帯にしてはフラットな方ですが、AT4050はさらに高域の強調が抑えられ、デュアルダイヤフラムという構造のおかげで低域も出すぎないため、音が整理されているように感じます。そのままでは地味に聞こえることもありますが、 MIXする上ではこの上なく加工しやすいマイクです。
NEUMANN - TLM 102: 高域が持ち上がった音で、ボーカル用にチューニングされています。初めてのノイマンに最適です。
NEUMANN - TLM 103: 102よりさらに繊細で、驚異的な解像度です。録音したままの音でも聞けるようなチューニングです。プロの歌ってみた動画で最もよく見かけるマイクの一つです。繊細過ぎるがゆえに、102以上に部屋の反響やノイズを拾いやすいです。
AKG - C414 XLII: 煌びやかな音です。ノイマンとは全く違った思想の設計で、現代ロックなどの録音に最適だと思います。
個人的な視点でオススメのインターフェースや避けるべきインターフェースをごっちゃに書いています。随時更新します。
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スマホ録音ならもちろん機材は要りませんし、PCに直差しタイプのUSBコンデンサーマイクは音質が良いものもあるみたいなので入門用として価格を抑えるのにはありかもしれません。
超 低価格帯(~1万)
Behringer UM2: 正直に言いますと、この機材で録音された音源はどうやっても音質が良くなりません。ノイズや音の歪みが酷く、スマホマイクのほうが優秀です。買わないでください。
M-Audio M-Track Solo: この機材の音はしっかり聞いたことはありませんが、UM2の代替としてこちらのほうが高音質と推奨されています。
低価格帯(1~2万)
YAMAHA - AG03MK2: 配信者さんはこれを買えば幸せになれます。MK2になり、ホワイトノイズの低減に加え、内部回路のマイク音質に影響する部分(ADコンバーター)が新しくなり、より高音質になりました。これで歌も録音してもらって大丈夫です。注意点として、歌の録音時はCOMP/EQとREVERBをOFFにしてください。
YAMAHA - AG03: 現在は新モデルのMK2のほうが安いため、わざわざこの旧モデルを買う必要はありません。このモデルも普通に音質はいいので、歌の録音に使ってもらって大丈夫です。
FOCUSRITE - Scarlett Solo (gen. 4): この価格帯ではコスパ最強です。旧モデルの「gen. 1」や「gen. 2」をお持ちであれば、「gen. 4」に買い替えるだけでも録音・再生ともに大幅な音質向上が見込めます。
「gen. 3」から「gen. 4」の買い替えに関しても、内部回路が上位機種(RedNetシリーズ)と同等のものに刷新されたため、録音の解像度はワンランク上のステージに上がっています。中価格帯が予算の都合上厳しいという方は、買い替えるのもありです。ただ、「gen. 3」もこの価格帯では十分音質が良いため、劇的な変化は感じられないかもしれません。さらなる高みを目指すなら、中価格帯の検討をお勧めします。
中価格帯(2~4万)
オーディオインターフェースにはマイクほど音の傾向に差がありません。この価格帯以上の音質は10万を超さないと大幅な向上は見込めないため、このランクの商品でほぼ最高音質だと思って大丈夫です。
ZOOM - UAC-232: 音質面ではScarlett Solo (gen. 4) に軍配が上がる部分もありますが、インターフェースとして世界初の「32bit float」録音に対応した、「絶対に音割れしない」非常に安心できる製品です。録音の音量調整が苦手な人にとっての救いの一手になります。
Motu - M2: 再生音質が非常に良いです。録音音質も良いですが、以下3機種に比べると少しだけ劣ります。
UNIVERSAL AUDIO - Volt シリーズ: 録音音質は非常に良いです。再生音質は良いと言われていますが、個人的には普通です。再生音量のつまみがアナログ式で品質が微妙なので、使い続けると音量の左右差(ギャングエラー)が出やすいです。
Audient - iD4mkII: 録音も再生も音質が非常に良いですが、個体差や環境により少し不具合が出る可能性があるのが玉に瑕です。ごくたまにジジッというノイズが鳴ったり、ドライバソフトがおかしな挙動を起こす場合があります。
Solid State Logic - SSL 2: 録音音質が非常に良いです。再生音質も普通に良いです。後継機が出ており、このモデルは生産・販売終了しているので、今買う意味はないです。
Solid State Logic - SSL 2 MK2: 録音性能が更に向上し、録音音質が最高に良い上に、再生面の性能も改善されました。この新モデルは全く触ったことがないですが、録音・再生全てにおいて完璧な製品だと思います。
ヤマハの本気(6万~)
YAMAHA - URX Series: 32bit録音(int)に加え、Auto GAIN機能 & Clip Safe機能で音割れしない安心感。EQやコンプをかけながら録音し、エフェクトをかけた音(WET)をモニターしながら、エフェクトをかける前の音(DRY)を録音できる完璧設計。音質面でも機能面でも、AG03の完全超上位互換になる機器です。
Aux入力があったり、配信に必要な機能がすべて搭載されているため、配信も歌もやりたい人にはまさに最適解となります。もちろん歌録音だけする方にもオススメです。注意点としては、できることが非常に多いため、操作や設定が初心者には難しい側面があります。
例外(約9万)
ANTELOPE AUDIO - Zen Quadro Synergy Core USB: 本来なら10万円を大きく超える「高価格帯」に分類されるべきスペックが、なぜか9万円台で販売されている例外的な機種です。性能は「Babyface Pro FS」に肉薄しますが、Antelope製品は初期設定やドライバの安定性に少しクセがあります。PCの知識があり、苦労してでも10万以下の予算で最高峰の音を掴みたいというストイックな方にのみ推奨します。
高価格帯(10万~)
以下の製品は中価格帯の製品よりも音質が良く、解像度が高いと言えます。
RME - Babyface Pro FS: 最終到達点です。
APOGEE - Symphony Desktop: 最高スペックの製品です。MIXをしないなら宝の持ち腐れになります。
Universal Audio - Apollo Twin X DUO Gen 2: 有名な製品ですが、純粋な録音品質はSSL2 MK2と大して変わらない部分もあります。内蔵プラグインで音質を底上げしようという趣旨の製品です。価格の半分が内蔵プラグインの値段である上に、高品質プラグインを追加購入したくなって課金沼に落ちることになります。また、設計の都合上、Windowsでは非常に動作が不安定になりやすいので避けるべきです。
色々書きましたが、声質や部屋の環境は人それぞれです。『自分の声に合うのはどれ?』『自分の録音環境では何から用意するべき?』など、迷ったらお気軽にDMでご相談ください。最適な提案をさせていただきます!
無料
購入したマイクにケーブルが付属していた場合、それを使ってもらえば全く問題ありません。信頼できるメーカーの付属ケーブルなら、不具合が出ない限り買い替える必要はないです。
有料
CANARE - EC03: 全世界のレコーディングスタジオで「標準」として使われている業務用ケーブルです。オカルトに近い高級ケーブルはたくさんありますが、これ以上の値段のものを買う必要はありません。
むしろ、これ以外の安い不明なメーカーのケーブルを使うと、ノイズや断線の原因になります。
これ以外は選ばなくていいというレベルの最適解です。
・マイクスタンド - マイクを固定し手持ちによるノイズを無くす。
・ショックマウント - マイクスタンドからの振動によるノイズを防ぐ。
・ポップガード - 歌う時の「ボフッ」という吹かれノイズを防ぐ。
どれも録音時に発生するノイズを防ぐための道具です。
マイクスタンド
CLASSIC PRO - MSB: コスパ最強の業界標準スタンドです。
デスクアーム型: ブランド問わず 3,000円〜5,000円程度のもの。机にクランプで固定するタイプです。場所を取らず便利ですが、机を叩く音などの振動を拾いやすいのは注意点です。
ショックマウント
マイク付属のものが最適: 付属品にショックマウントがあるマイクは、別途買う必要はありません。
付属していない場合: ショックマウントがないと、マイクスタンドからの振動が直にマイクに伝わってしまい、ノイズが混入します。ブランドは問いませんが、マイクの直径(太さ)に合うものを調べて購入することを推奨します。
ポップガード
金属製一択: ブランド問わず。布製ではポップ音を防ぎきれないことが多く、また、金属製のほうが歌声の輪郭がはっきり残る効果もあります。
CLASSIC PRO - PGM4: 迷ったらこれが高コスパ。
ポップガードを買う予算がなければ、マイクの少し斜め横に向けて歌うだけでポップノイズを軽減できるので、ぜひ試してみてください。
ここを混同するとお金を無駄にします。
防音(遮音): 外の音を入れない、中の音を漏らさないこと。重い壁や隙間のないドアが必要です。
吸音: 部屋の中の「反響音(エコー)」を消すこと。歌の録音において最も重要なのはこちらです。
マイクが部屋の反響音を拾ってしまうと、音声データの中に歌声と反響音が混ざった状態になります。そうなってしまうとMIXでどのように加工したとしても一生「素人感」が抜けません。
エコー除去用のソフトなどもありますが、歌声と反響音を完全に分離することはAI技術を用いてもいまだに難しく、録音の時点で反響音の混入を防ぐことが高クオリティなMIXに最も大切なことです。
録音は「デッド(響きがない状態)」であればあるほど正解です。
部屋の中で音が跳ね返る原因を知ることで、対策すべき場所が見えてきます。
特に以下の3つは「録音の天敵」です。
硬くて平らな面(壁・天井・床): コンクリート、石膏ボード、フローリングなどは音を鏡のように反射します。特に平行な壁同士は音が往復して「フラッターエコー」という不快な響きを生みます。
ガラス窓: 壁よりもさらに硬く、音を鋭く反射します。
デスクの天板: 意外と盲点なのが目の前の机です。口から出た音がデスクに反射してマイクに入る「バウンダリー現象」は、音をこもらせる大きな原因になります。
音の反射を防ぐには、「空気を含んだ、柔らかくて重いもの」を置くのが基本です。音がそれらにぶつかると、空気の摩擦によって音のエネルギーが熱に変わり、跳ね返らなくなります。
厚手の布製品: カーテン、毛布、バスタオル、ラグマットなど。特に表面がデコボコしているものや、重みのあるものほど高い吸音効果があります。布団は最強です。
クッション・ソファ: 中にスポンジや綿が詰まっているものは、低音から高音までバランスよく音を吸い取ってくれます。
たくさんの服: 特にクローゼットの中は、大量の布が複雑に重なり合って、あらゆる角度からの音を吸収してくれるため録音に適しています。
本棚(本が並んだ状態): 本の背表紙の凹凸が音を乱反射させ、紙の束が音を吸収します。完璧な吸音とはいきませんが、音が響きすぎるのを抑える効果があります。
お金をかけなくても、家にあるもので劇的に音質は変わります。
対策するときに意識するべきことは、「堅い平面の露出をなくすこと」です。家にあるあらゆるものを駆使して、音の反射を防ぎましょう。
「壁との向き合い方」を工夫する:
基本は、壁に跳ね返った音がマイクに入らないようにすることです。
・何も対策がない場合: 壁を背にして、部屋の広い方に向かって歌うのが定石です。
・壁に布団などをかけられる場合: むしろ「対策した壁に向かって」歌うのが効果的です。マイクの背面が吸音材(布団)を向くため、跳ね返る前に音を殺せます。この場合、壁とマイクの距離は40cm以上はあけてください。
壁に背を向けるか向き合うか、どちらが響かないか録り比べてみてください。
布・毛布を活用する:
マイクの後ろ(自分の正面)や、自分の背後の壁に厚手の毛布を吊るしてください。これにより高い音域の反射音が消えます。
壁に上着をかけ並べる:
むき出しの壁は歌声をよく反射します。布や毛布を壁に掛けられなかったり、隙間がある場合は、上着などの服をかけて壁が隠れるようにするだけで、反響音対策として十分効果があります。
カーテンを閉める:
窓ガラスは音を激しく反射します。録音時は必ず厚手のカーテンを閉めましょう。
クローゼットの中で録る:
服がたくさん吊るしてあるクローゼットは、実は「最強の吸音ブース」になり得ます。
よく「部屋の反響を抑えるために、隅にぬいぐるみを置く」という話を聞きますが、ボーカル録音においてはあまり効果がありません。
なぜなら、部屋の隅に溜まるのは主に「低いブーンという音(低域)」であり、人間の歌声(中高域)が跳ね返って録音を邪魔するのは、主に「耳の高さにある平らな壁」だからです。
低い音(ベースなど): 部屋の隅に溜まりやすい。
歌声(中高域): 光のように真っ直ぐ飛び、平らな面に当たって跳ね返る。
つまり、歌声を綺麗に録りたいなら、遠くの角にぬいぐるみを置くよりも、自分の口の高さにある壁に毛布を1枚吊るす方が100倍効果的です。「部屋全体の響きを変える」のではなく、「マイクに入る反射音をピンポイントで消す」のが、宅録でプロの音に近づく最短ルートです。
無料の対策では限界がある場合、以下の機材を検討してください。
リフレクションフィルター:
マイクの周りを囲う半円形のパネルです。部屋全体の対策が難しくても、マイクに入る直前の反射音をカットできます。注意点として、設置場所がマイクに近すぎたり、品質の悪いものを使用すると、逆に音がこもってしまうことがあるので、購入する際は信頼のおけるメーカーの商品にするのがおすすめです。
SE ELECTRONICS - REFLEXION FILTER-PRO(定番)
吸音パネル:
壁に貼るスポンジ状のパネルです。Amazonなどで売っている「ウレタンフォーム」が手軽ですが、安すぎると効果が薄いので、ある程度厚みがあるもの(5cm程度)を選んでください。
おすすめ: 東京防音 軽量吸音材 ミニソネックス