和文誌編集委員会

企画シンポジウム

食べられないために守る術

ー植物の多様な対被食者防御戦略ー

企画者: 坂田ゆず(秋田県立大学)、角田智詞(京都大学)

企画趣旨

植物と植食者は地球上の生物種およびバイオマスの約4分の3を占める自然界の主要な構成員である。4億年にもおよぶ相互作用の中で、植物は植食者に餌資源を提供する一方、固着生物ならではの多様な防御形質を進化させ食害を防いできた。近年、変動環境下での植物と植食者の応答を理解することが求められている中、分子・個体・群集の階層をつなぐ植物防御に関するより詳細なメカニズムの解明がすすみ、さらに今まで見過ごされてきた多様な防御戦略が明らかになりつつある。本シンポジウムでは、温故知新をかねて植物防御に関する研究を温習し、さらに従来の植物防御の枠にとどまらず様々なアプローチから植物の防御戦略と植食者との相互作用について取り組んでいる研究者にご講演いただき、この分野の今後の新たな展望を探りたい。


プログラム

10:00-10:10. 趣旨説明 

坂田ゆず(秋田県立大学)

10:10-10:55. 「森林の3次元構造が植物と昆虫の相互作用に与える影響」

中村誠宏(北海道大学)

10:55-11:40. 「昨日の味方は今日の敵ー被食防御形態の進化で変わる植物間相互作用」

鈴木亮(琉球大学)

11:40-12:25.「植物による共生者の行動操作」

山尾僚(弘前大学)

13:25-14:10. 「脂肪酸-アミノ酸縮合物をめぐる昆虫と植物の攻防」

吉永直子(京都大学)

14:10-14:55. 「オトシブミが利用しにくい葉の形:葉形が植食者に与える影響と防衛としての可能性」

樋口裕美子(神戸大学)

14:55-15:40.「植物の視覚による対植食者防御」

山崎一夫(大阪健康安全基盤研究所)

15:40-16:20.「地下部も含めて考える植物防衛研究の行方:地上部と地下部の共通点と相違点、その連携」

角田智詞(京都大学)

16:20-17:00. 総合討論(コメンテーター:佐藤安弘(JSTさきがけ/龍谷大学))