プレシンポジウム

昆虫と植物の会話を解読する

講演者: 高林純示(京都大学 生態学研究センター)

 一般に犬の嗅覚は鋭く、最大で人間の1000万倍とも言われており、その認識世界は我々の想像を超えています。昆虫も犬に負けず劣らずかおりには敏感です。例えばカイコガ雌の性フェロモンBombykolに対して雄成虫は、一立方メートルの空気中に1000分子あれば反応でき、この感度は犬の嗅覚に比肩できるそうです。さらに植物も我々には知覚できない微量なかおりで他の生物と情報のやり取りをしていることが明らかになってきています。我々の認識を超えた「かおりの世界」における昆虫と植物との間のコミュニケーションや、植物と植物との間のコミュニケーションに関して、我々の研究を中心に紹介します。