随 想 断 片
○ 恋愛について
女性に對しては気紛れな愛人であるよりも、善き友人でありた
い。異性同志の友情などと言ふのは成立し得ぬと或る人は言
ふ。相互の正しい理解を通して、恋愛とか結婚とか決定的な問
題を超え、交遊することの可能性はあり得て可なりである。そ
うした純粹な友情ならばたのしいものではないだらうか。
○ 詩について
詩を書くべく私は罰せられた。これは終身懲役、うつくしい刑
罰‼
自らの詩に憎惡を感ずる日なり。ふたたび灰燼にしてしまひた
い衝動が苦しく胸を壓するこの頃‼
詩はパンより無用である。しかし、生命よりは有用である。
詩の俗化は詩人に對する最大の迫害である。詩人は流行と戦は
ねばならぬ。
○ 瞳について
凝視は祈りである・・・祈りを以て求めるものに生命は把
握されるのだ ―リルケ
旧郡山市役所前にて
虹と子つばめ
夕立やんだ
雷やんだ。
ごらん、なゝいろ 虹の橋
すいすい子つばめ くぐってる。
渡ってみせろ
またいでみせろ
だけど、髙いよ 虹の橋
まだまだ子つばめ とべなかろ。
かまきり独白(どくはく)
ぢりり ぢりり おてんとさま
暑ければ よいこらさ
鎌ふりあげて いねの花
はづかしがることもない 野良仕度ぢや
ひとつぶのおこめでも
このたゞならぬ 世のなかに
おいらのちからが 役にたつちゆうだ
よいこらさ
ぶかつこうな づうたいをして
よいこらさ
負けちやあひすまぬと おてんとさま
ぢりり ぢりり あついのだが
ぞうざんとやら やって居りまする。