2025年12月15日(月)17:10~18:55
一橋大学 くにたち西キャンパス本館3階 36教室
橋爪大輝 山梨県立大学准教授
アルフレート・シュッツによれば、社会的行為の主観的に付与された意味に焦点をあわせるウェーバーの理解社会学は、そもそも「なにが行為を行為たらしめるのか」という哲学的問題を見過ごしている。この問いにシュッツ自身がいかに応答したかを正確につかむことは、かれが『社会的世界の意味構成』(1932年)で展開した〈所為の投企〉の時間論的・現象学的な構造を理解するうえで鍵となる。もう一つ重要なのは、ウェーバー流に記述された合理主義的な決意(行為の決定)の構図を再考するにあたって、シュッツがベルクソンを参照しながら、意識の持続が行為の決定過程のなかでいかに作用するかを示すことに注力した点である。シュッツ行為論の成果をこのように再解釈することによって、目的設定の非合理性と手段選択の合理性という二つの契機を総合した、社会学的にも倫理学的にもよりいっそう包括的な自由の概念を基礎づけることができるだろう。
柏崎正憲 m.kashiwazaki [at] r.hit-u.ac.jp
※参加申込みは不要