2025年10月4日(土) 14時00分~17時30分頃
一橋大学 くにたち西キャンパス 本館2階 26教室
津田栞里 (東洋大学)
「実体をめぐるスピノザ論争史:群小哲学者たちはいかなる貢献をしてきたのか」
参考文献 津田栞里 『バウムガルテンとスピノザ論争史 18世紀ドイツ哲学再考』晃洋書房、2025年。
大澤俊朗 (群馬大学)
「カント研究の地殻変動:バウムガルテン倫理学を見ることで何が明らかになるか」
参考文献 Toshiro Osawa, Baumgarten’s Legacy in Kant’s Ethics, Routledge, 2024.
アレクサンダー・ゴットリープ・バウムガルテン(1714-1762)を軸にドイツ古典哲学の生成過程を再構成することによって、汎ヨーロッパ啓蒙思想におけるドイツ哲学者たちの貢献に光を当てる。
第一報告(津田): 多くの西洋哲学史はドイツ啓蒙として括られる18世紀前葉に注目することはなく、カントという偉大な哲学者を前に同時期は影を潜めるばかりである。本発表は無神論(あるいは汎神論、そして唯物論)の急先鋒として流行したスピノザをめぐる論争に焦点を当てることで、バウムガルテンの形而上学を正面から検討し、その群小哲学者を哲学史のなかに位置づける。そしてこれは「哲学史とは何か」を方法論とともに検討するための一つのケース・スタディでもある。
第二報告(大澤): 実践哲学における「バウムガルテン・ルネサンス」とも呼ぶべき近年の研究動向(Fugate and Hymers 2024, Osawa 2024)をふまえ、これらの成果が今後のカント研究にどのような展望をもたらすのかを検討する。従来、カントの実践哲学を理解するうえでバウムガルテンの重要性は限定的であるとする見解が一般的であった。しかし、この研究動向の進展により、その立場を維持することはもはや困難になりつつある。今まさに問われるべきは、カントがバウムガルテンの哲学体系をどのように批判的に換骨奪胎し、自らの思想へと統合していったのかという問題である。
柏崎正憲 m.kashiwazaki [at] r.hit-u.ac.jp
※参加申込みは不要