Smart Node Project

人々が享受できる正しい情報生成はまだない

「コンテンツ流通は進歩しているが、コンテンツ自体は依然として悪いままではないか」。2016年、米国の偽ニュース問題や医療系メディアの問題は、コンテンツ流通に大きな疑問を投げかけました。

「世界中の情報を整理する」「人と人をつなげる」――。GoogleやFacebookのミッションを実現するためには、良質なコンテンツを生み出しながら、コンテンツ生成者に対して十分な報酬を与えられる仕組みを生み出す必要があると思いました。存在しない事実や厳しい就労環境で量産されたものではなく、「いいもの」をつくるための装置とインセンティブ設計が必要なのではないでしょうか。

垂直ではなく水平なネット

いわゆる「メディア」は人の行動に対して依然として強い影響力をもっています。しかし、既存の「メディア」は新陳代謝や自浄能力のようなバイオロジカルな機能があまり強くありません。また従来的なメディアはそれ自体が中央集権の構造であり、また中央集権型の世界のひとつの機能として存在してきました。彼らは情報のアービトラージをつくことが可能だったため、必ずしも人々に「正しい情報」を手渡さないという行動をしてきました。

しかし、それは昔の話です。私たちは手のひらのなかにコネクテッドデバイスを握りしめています。

自律・分散の世界に向かって

多くの賢者たちが予測するように、私たちの社会は自律・分散型に向かっています。新しく生まれる世界にフィットする「メディア」ではなく、ネットワークの結節点である「Node(ノード)」を生み出したいと考えています。優秀かつ小さなスマートをつなぎ、自律的に変化を繰り返す結節点を生み出すことで、検索やソーシャルのような21世紀初頭に起きたコンテンツ流通サイドの革命を補完する、新しい革命を生み出そうと考えています。

分析で情報の価値を高める

現代は情報にあふれています。データ量は爆発し人間の処理能力を大きく超えています。この情報たちをアグリゲイトする試みが有ります。私はそれでは足りないと思います。1〜2万人程度の人に向けて分析・情報生成を行い、情報の価値を高める優れた機能を生み出す必要があると思います。

この作業は人間と機械の共同作業で行われるべきです。

情報生成における機械との協調

メディアの現場では人間が包括的に情報に携わることにこだわりがあります。しかし、情報生成は機械との協調によって高度化することができます。膨大な手作業の負荷を落とすことが重要です。

Ploblem:広告モデルはいい記事を賞賛しない

広告モデルは少数の勝者を生みネットメディアに低質記事をつくるインセンティブを与えている。瞬発的に喜ばれる情報、信頼性が低くとも感情を揺さぶる情報が重視されます。日本ではエンタメ分野のゴシップ記事が主要なニュース流通者のトラフィックのメインを占めるようになりました。「短期的にトラフィックを集めればそれでいい」という態度が蔓延しています。悪貨が良貨を駆逐した素晴らしい好例です。

Solution: いいオーサーと生み出されたいい情報に報いる

いい情報のためのマーケットとオーサーを評価する仕組みを生み出そうと思います。お金を払い良い情報を手早く得たいユーザーと良い情報をつくり報酬と評価を得たい筆者を直接つなぎます。

媒介(Medium)から節(Node)へ

媒介から小さなネットワークに対して情報流通上重要な役割を果たす結節点になります。ブロードキャストの時代は終わりました。一定数ながら、情報生成・希釈化を強く求める集団に対し、スマートな情報を伝達することが求められます。

SmartNode はロックバンド、ヒップホップユニットのような形になります。音楽産業のデジタル化と同じように、中間者が減っていきます。人と人が直接的に結びつきます。エンジニアリング・アナリティクスの色合いが濃くなっていくでしょう。プロジェクトごとの「結成」、プロジェクト後の「メンバーチェンジ」は当たり前になるかもしれません。かつての「傍観者」や「煽り役」としての立場とは異なり、生成した情報に対して即座に反応、状況によっては起業、協業に依る新規事業などを開始します。

コミュニティの時代

ブロードキャストの機能がなくなったいま、スマートな情報の節にはコミュニティとしての機能が求められます。人々は結びつき情報を紡ぎ出すことで新しいものを生み出してきました。それはこのすべてが接続された(Connected)世界ではさらにその傾向が強まるでしょう。

吉田拓史/ Takushi Yoshida 12. March 2017