School
学校は、近年国際的に学力論の拡張や原理の転換に関する動向の中におかれていますが、
具体的な方法は、まだ模索される段階にあります。
School
学校は、近年国際的に学力論の拡張や原理の転換に関する動向の中におかれていますが、
具体的な方法は、まだ模索される段階にあります。
Library for
学校図書館は”学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り、児童(生徒)の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に生かすとともに、児童(生徒)の自主的、自発的な学習活動や読書活動を充実する”ことが期待されています。(平成29・30・31年改訂学習指導要領総則編)
Inquiry
探究的な学び(Inquiry based teaching and learning
)は、学校図書館の中核的な教育活動の一つです。
(IFLA School Library Guidelines, 2nd edition ,p8)
Learning
学ぶこととは、多様な人々との協働の中で、社会との繋がりを意識し、
主体的に表現して社会生活での実践に活かすことを意味するようになりました。
探究的な学びを支援する学校図書館をベースに、参加型のワークショップを行います。
探究的な学びに生かせるような講演会を行います。
探究的な学びを支援する学校図書館について調査を行うことで、その結果を共有し、議論の種にします。
本研究会の内容に関心のある方々と交流会を行い、日頃の問題解決やコミュニティの構築に繋げます。
岡山理科大学でIB教員プログラムを担当されている木村光宏氏のワークショップです。
神奈川県立高校の数学科教諭として、またIBコーディーネーターとしてのご経験も踏まえて、40分の講演の後、80分のワークショップ、30分の全体共有と討議をファシリテートしていただきます。
来年度高校3年生まで適用となる新学習指導要領において重視されている「探究」は、生徒が主体となることが期待されています。こうした生徒が主体となる探究学習は、生徒はもちろん、教師や学校図書館員など多様な人びとがコラボレーションすることによって成立する学習方法です。この探究学習をいかに促し支えるのかについて関心をお持ちの教師、学校図書館員、管理職、市民、教育行政に関わる方々、研究者など幅広い方々が参加してくださることがこのワークショップをさらに実りあるものにします。みなさまのご参加をお待ちしております。
日時:2024年 2月17日(土)午後1時~午後4時10分
開催方法:Zoomによるオンライン会議方式、事前申し込み制、参加費500円(返金対応は致しかねます)
申込期限:2024年2月11日(日)午後11時55分(23時55分)まで
申込はこちらから⇨https://slilws4.peatix.com
【参加方法】
・参加者宛にメール、ZOOMのURLをお送りします
・PC/ブラウザ版/アプリにおけるPeatixメニューの「マイチケット」からイベント視聴ページへアクセスしてください。イベント視聴ページ上の「イベントに参加」ボタンをクリックすると、イベント会場(Zoom)にアクセスできます。(Peatixへのログインが必要です)
【ZOOMの利用について】参加者グループ討議中はマイクをオンにして意見交換を行います。ZOOMでのカメラ・マイク機能にご不安がある場合は、下記ページからZOOM機能をテストすることが出来ます。 ZOOMtestミーティング
講師プロフィール
岡山理科大学IB教員養成プログラムコーディネータ。神奈川県立川崎高校(国際系主任)、東京学芸大学附属国際中等教育学校(IB数学SL担当)神奈川県立横浜国際高等学校 IB数学HL/SL担当(DPC/EEC)を経て現職。IB機構数学論文採点の試験官チームリーダー などIBにおける豊富な経験を持つ。
日時:2023年 3月26日(日)午後2時~午後4時
開催方法:Zoomによるオンライン会議方式、事前申し込み制、参加費500円(返金対応は致しかねます)
申込期限:2023年3月24日(金)午後12時(24時)まで
申込方法はこちらから⇨https://peatix.com/event/3488810/view
SLIL顧問 根本彰による講演会です。約80分ほどの講演の後、40分ほどの質疑応答の時間をもうける予定です。時間の制約から、全てを取り上げられるとは限りませんがご了承くださいませ。
内容:ここにきて、学校図書館を「探究学習」とか「教育DX(デジタルトランスフォーメーション)」と関わらせて論じる動きが急になっています。しかしながら、学校図書館を学習センターとか情報センターであると主張しても、それが説得力をもつに至っていないのが現状でしょう。それは、教育課程や教育方法の変化が生じているのに、教育関係者の学校図書館に対する見方が「子ども読書推進」の場に固定されていることが大きいのではないかと思われます。
これで思い出されるのが、戦後間もない時期の学校図書館は「図書館教育」の場、あるいは「教材センター(資料センター)」であるという考えと実践があり、文部省そして各県の教育委員会で推進されたことです。これは1950年代から1970年代くらいまで続きましたが、まもなく主流の教育政策のなかで見えないところに置かれるようになっていました。
今、学校図書館が資料や情報という外部的・間接的な知を媒介する教育の場ととらえる視点を教育関係者と共有することが必要であり、そのために戦後の歴史に学ぶ必要があります。ということで、この講演では政策論的な立場から学校図書館改革の課題についてお話しします。
【参加方法】
・参加者宛にメール、ZOOMのURLをお送りします
・PC/ブラウザ版/アプリにおけるPeatixメニューの「マイチケット」からイベント視聴ページへアクセスしてください。イベント視聴ページ上の「イベントに参加」ボタンをクリックすると、イベント会場(Zoom)にアクセスできます。(Peatixへのログインが必要です)
【ZOOMの利用について】参加者グループ討議中はマイクをオンにして意見交換を行います。ZOOMでのカメラ・マイク機能にご不安がある場合は、下記ページからZOOM機能をテストすることが出来ます。 ZOOMtestミーティング
【個人情報について】
参加申し込みにおいて入力頂いた内容は、本SLIL講演会運営のために使用し、他の目的には使用しません。
講師紹介:
根本彰(ねもと・あきら)
東京大学、慶應義塾大学で図書館情報学、教育学の教育研究に携わる。2019年の著書『教育改革のための学校図書館』(東京大学出版会)の後、「戦後学校図書館政策のマクロ分析」(『日本図書館情報学会誌』68(2)2022)、「戦後新教育における初期図書館教育モデル」(Library and Information Science, 88, 2022)などを書き、また「GIGAスクールと学校図書館」(『図書館雑誌』2022年12月)を発表している。
ブログで関連情報を発信している。
日時:2023年 2月26日(日)午後1時~午後4時
開催方法:Zoomによるオンライン会議方式、事前申し込み制、参加費500円(返金対応は致しかねます)
申込期限:2023年2月22日(水)午後12時(24時)まで
【内容】世界中の図書館で広く使用されていた目録規則AACR2 の後継であるResource Description and Access (RDA) は、データベースの構築に用いられる実体-関連モデルに忠実に従うことで目録指示の構造を完全に刷新したものである。そのRDAとの相互運用性も重視され30年ぶりに改訂された日本目録規則NCR2018への影響の理解をもすすめながら、英語書籍を中心に、(必要に応じて)中韓を中心とした多言語書籍目録作成の簡易な実装演習を行う。このワークショップを通じて、参加者が以下を習得することを目的とする。
目録作成に関する規則の概括
ISBD規則の概括
目録作成を容易にするための外部リソースの活用およびその演習(MARCEditなど)
MARCEditをダウンロードしておくとよい。※MarcEdit 7.5.x/MacOS 3.5.x https://marcedit.reeset.net/downloads)ダウンロード時のエラーなどには対応しません
ファシリテーター:
中野ひかる(関西学院千里国際中高司書教諭)
フロリダ州立大学にて図書館学修士取得。その後米国サウスウェストジョージア州(公立)図書館でチルドレンサービスライブラリアン、ピッツバーグ大学で日本語カタロガー、フロリダ大学で多言語目録及びサブジェクトライブラリアンとして勤め、ティーンエージャーの子ども達を連れて2018年日本に帰国。現職では探究チームに参加。
日時:2023年 1月8日(日)午後1時~午後5時
開催方法:Zoomによるオンライン会議方式、事前申し込み制、参加費500円(返金対応は致しかねます)
申込期限:2022年12月27日(火)午後12時(24時)まで
【内容】探究学習の質を高めるためには、子供が探究学習においてどのように学んでいるのかを捉えることが必要です。本ワークショップでは、観察法、記録法を学び、ビデオ視聴に基づき、ワークショップ参加者との協働的議論を通して、子供の学習過程をみとる視野を広げることをめざします。学校司書や司書教諭、学校図書館員はもちろん、図書館担当ではない教員や学生の参加もお待ちしております!授業やインストラクションをする機会がこれまでなかった方も、日々授業をしている方にもおすすめします。
***
当日はまず講師より観察法と記録のとり方について講義を行い、参加者の方々に「自然観察法」を知って頂きます。その後参加者皆で講師の用意した、実際に行われた学校図書館を利用した授業のビデオを視聴します。この時参加者の皆様にはワークシートを利用して、先ほどの講義に基づいた観察記録を取って頂きます。この後ブレイクアウトルームに分かれて、参加者それぞれに感じた気づきを共有します。そして講師と参加者全体でさらにその気づきを共有します。前半はここで終了し、途中10分間の休憩を挟みます。
中盤は講師よりあらためて子供の学習過程を捉える方法について講義を行い、その後先ほどのビデオを再視聴してあらためて観察記録を取って頂きます。その後各個人で検討を行う時間を少し取り、また10分程度の休憩を挟みます。
後半ではブレイクアウトルームに分かれてグループ間で意見を共有し、最後に講師と参加者皆で更に意見を共有します。
*******
WSのTime Table
※一部変更することもございます。
13:00開始
Part1
13:10 講義①自然観察法の意義と方法
13:30~14:40 ワーク① 探究学習の授業ビデオの視聴と気づきの共有
Part2
14:50 講義②子供の学習プロセスを捉える方法
15:10~15:50 ワーク②ビデオの再視聴と分析(個別)
Part3
16:00~16:50
グループ討議・全体共有
17:00終了
*******
ファシリテーター:
新居 池津子(東京大学大学院 教育学研究科 教育学研究員、SLIL運営メンバー)。
教員免許取得をめざす学生に教授法の授業を行う中で、学校図書館資料を使った指導案を考えさせる活動を展開したり、教育学的知見から学校図書館を研究している。2020年、論文「昼休み時間を過ごす中学生から捉える学校図書館の機能-書架によって創出される場所における居方に着目して-」日本図書館情報学会奨励賞受賞。https://researchmap.jp/chizuko_arai
******
<ファシリテーターからみなさまへ>
「授業の主役は誰ですか?」
皆さんは、校内研究会や日頃のご実践の中で、授業を考える際に
誰を<主語>として考え、語っているでしょうか?
「(ライブラリアンとしての、あるいは、教師としての)私は、~」でしょうか?
それとも、「○○先生は、~」でしょうか?
このワークショップを通じて
「○○さんは、~」と1人ひとりに名前のある、子供を主役として授業を語る
その経験をぜひ共有しましょう!
また、質的な研究手法を試みたいとお考えの研究者の方にも
ぜひ参加頂き、共に学び合えたらと思います!
なお、グループワークでは、アイスブレイクタイムとして、約1分間で自己紹介をして頂きます。
ご自身を紹介するのにとっておきの1冊をぜひご準備ください!
それでは、皆さまと共に学べますこと、楽しみにしております!
******
日時:2022年 8月28日(日)午後1時~午後5時
開催方法:Zoomによるオンライン会議方式、事前申し込み制、参加費500円
申込期限:2022年8月12日(金)午後12時(24時)まで
【内容】探究学習の質を高めるためには、子供が探究学習においてどのように学んでいるのかを捉えることが必要です。本ワークショップでは、観察法、記録法を学び、ビデオ視聴に基づき、ワークショップ参加者との協働的議論を通して、子供の学習過程をみとる視野を広げることをめざします。学校司書や司書教諭、学校図書館員はもちろん、図書館担当ではない教員や学生の参加もお待ちしております!授業やインストラクションをする機会がこれまでなかった方も、日々授業をしている方にもおすすめします。
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当日はまず講師より観察法と記録のとり方について講義を行い、参加者の方々に「自然観察法」を知って頂きます。その後参加者皆で講師の用意した、実際に行われた学校図書館を利用した授業のビデオを視聴します。この時参加者の皆様にはワークシートを利用して、先ほどの講義に基づいた観察記録を取って頂きます。この後ブレイクアウトルームに分かれて、参加者それぞれに感じた気づきを共有します。そして講師と参加者全体でさらにその気づきを共有します。前半はここで終了し、途中10分間の休憩を挟みます。
中盤は講師よりあらためて子供の学習過程を捉える方法について講義を行い、その後先ほどのビデオを再視聴してあらためて観察記録を取って頂きます。その後各個人で検討を行う時間を少し取り、また10分程度の休憩を挟みます。
後半ではブレイクアウトルームに分かれてグループ間で意見を共有し、最後に講師と参加者皆で更に意見を共有します。
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WSのTime Table
※一部変更することもございます。
13:00開始
Part1
13:10 講義①自然観察法の意義と方法
13:30~14:40 ワーク① 探究学習の授業ビデオの視聴と気づきの共有
Part2
14:50 講義②子供の学習プロセスを捉える方法
15:10~15:50 ワーク②ビデオの再視聴と分析(個別)
Part3
16:00~16:50
グループ討議・全体共有
17:00終了
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ファシリテーター:
新居 池津子(東京大学大学院 教育学研究科 教育学研究員、SLIL運営メンバー)。
教員免許取得をめざす学生に教授法の授業を行う中で、学校図書館資料を使った指導案を考えさせる活動を展開したり、教育学的知見から学校図書館を研究している。2020年、論文「昼休み時間を過ごす中学生から捉える学校図書館の機能-書架によって創出される場所における居方に着目して-」日本図書館情報学会奨励賞受賞。https://researchmap.jp/chizuko_arai
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<ファシリテーターからみなさまへ>
「授業の主役は誰ですか?」
皆さんは、校内研究会や日頃のご実践の中で、授業を考える際に
誰を<主語>として考え、語っているでしょうか?
「(ライブラリアンとしての、あるいは、教師としての)私は、~」でしょうか?
それとも、「○○先生は、~」でしょうか?
このワークショップを通じて
「○○さんは、~」と1人ひとりに名前のある、子供を主役として授業を語る
その経験をぜひ共有しましょう!
日時:2022年5月22日(日)午後2時〜午後5時
開催方法:Zoomによるオンライン会議方式、事前申し込み制、参加費500円
申込期限:2022年5月14日(土)まで
【内容】
本ワークショップは参加型のワークショップです。事前に参加者の皆様から募った各校における課題の一部をピックアップし、参加者同士でグループ討議を行うことでアクションプランを練り、参加者全員で共有をはかります。
ファシリテーターを務めるのは、長年探究的な学びに取り組まれてきたダッタ・シャミ先生です。(WS提供言語は日本語です。)
取り扱う課題は次の三つです。
①学校図書館における運営上の課題
②探究的な学びを支援する在り方
③探究的な学びをめぐる協働
探究的な学びを支援する学校図書館について、現状、課題、展望を考えるきっかけになればと考えております。
ファシリテーター:
ダッタ・シャミ(岡山理科大学教育学部教授・日本国際バカロレア教育学会副会長、国立台湾師範大学院客員教授、文部科学省 IB Consortium、教育委員会アドバイザー、国際バカロレア機構 (IBO) ワークショップリーダー)。https://www.ped.ous.ac.jp/stafflist/dshammi/
後援:文部科学省IB教育推進コンソーシアム事務局
日時:2021年11月23日(火・祝日)午後2時〜午後5時
開催方法:Zoomによるオンライン会議方式、事前申し込み制、参加無料
[開催趣旨]
アンソニー・ティルク著『国際バカロレア教育と学校図書館ー探究学習を支援する』(根本彰監訳、中田彩・松田ユリ子訳、学文社刊)の刊行を機に、国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)のカリキュラムの中心にある探究学習を進めるのにあたり、学校図書館がどのような位置づけをもつのかについて、広く関係者の意見交換の場にする。
[プログラム]
総合司会 松田ユリ子(神奈川県立新羽高等学校司書)
主催者挨拶 根本彰(東京大学名誉教授)
ビデオメッセージ(日本語字幕付き)
アンソニー・ティルク(オランダ・ハーグ、アメリカンスクール図書館長)
<発言>
ダッタ・シャミ(岡山理科大学教授・日本国際バカロレア教育学会副会長)
「探究を基盤とした教授学習と学校図書館」
梶木尚美(前大阪教育大学附属高等学校池田校舎教諭)
「DP歴史の授業と学校図書館ー教科担当教員の立場よりー」
高松美紀(東京都立狛江高等学校指導教諭)
「国際バカロレアが示唆する日本の学校図書館の課題と可能性ー21世紀型の学びのキーとなる図書館/ライブラリアンー」
<休憩>
小澤大心(文部科学省IB教育推進コンソーシアム事務局長)
文部科学省としてのIB教育推進の取り組み
<パネルディスカッション>
司会 中田彩(大阪市立水都国際中学校・高校司書教諭)
・ダッタ・シャミ(兼英語通訳)
・梶木尚美
・高松美紀
・小澤大心
・アンソニー・ティルク
[本の内容]
本書における研究と実践を組み合わせて新しい課題に取り組むチャレンジングな探究学習は、国際バカロレア関係者や学校図書館関係者はもちろんのこと、教育課程や教育方法、学校マネジメントの担当者、実務家、研究者にとってもきわめて重要な情報を提供する。
[目次]
日本語版のための序文
監訳者による序文
IB用語集
第1章 はじめに
第2章 国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)とIB
第3章 IBDP科目のマトリックスとコアの特徴
第4章 課題論文
第5章 IBの学習者像と学問的誠実性
第6章 IBDPの生徒は学校図書館をどのように使うのか
第7章 IBDPにおける教員、管理職および学校図書館員の役割
第8章 利用者に焦点を当てた学校図書館
第9章 IBDP校の図書館と図書館員の役割
付録
1 :学校図書館向けのTOK資料
2 :ヘルプシートと図書館ウェブサイトのための図書館の情報の例
3 :グループ 1 を支援するために図書館がつくったブックリストの一例
4 :IBDPに関する情報リテラシー関連の調査研究
5 :エッセイ、EE、要約の書き方に関する図書
6 :学校図書館のIBDP EE寄贈に関する方針例
引用・参照文献一覧
日本語版解説
索引
本資料は、根本彰 (研究代表者)による2019年〜2021 年度の科研費補助金による研究成果の概要と、同補助金によって3人の学校図書館関係者が国際バカロレア機構におけるワークショップに参加した際の参加記録である。
探究的な学びを学校図書館を通して支援することについてご興味のある、教育関係者、学校図書館関係者、研究者の方々などを想定しています。
2022年現在においては、オンラインでの開催を主軸としています。オンラインによる開催は時間的・場所的拘束がかからないことからより幅広い方々に参加して頂けることにメリットがあります。一方で国内の情勢を見ながら、将来的にはリアルな場における開催及びハイブリッド形式による開催も模索していきます。
国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)とは、国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラムのことです。プログラム全体を通して探究(Inquiry)が重視されており、特にDP(ディプロマ・プログラム)では 課題論文(EE:Extended Essay)として、生徒が関心のある研究分野について研究成果を論文にまとめることが必須とされています。
2021年は上記のような観点から特に国際バカロレアを切り口として、学校図書館における支援について考える場を設けました。
School Library for Inquiry Learning(SLIL:スリル)は探究的な学びを支援する学校図書館について考えていく研究会です。
近年国際的に学力論の拡張や原理の転換に関する動向が目覚ましい状況にあり、学ぶことと社会との繋がりを意識した教育におけるプロセスの中で、学習者が自ら課題を発見し、多様な人々との協働の中で主体的な姿勢で課題解決に取り組み、その成果を表現して社会生活での実践に活かすという探究的な学び(Inquiry/Inquiry learning)が重要視されています。
日本においても2017年から2018年にかけて新学習指導要領が告示され、主体的・対話的で深い学び(いわゆるアクティブ・ラーニング)及び、課題の設定、情報の収集、整理・分析、まとめ・表現を主な構成要素とする、探究的な学びに益々重点が置かれるようになりました。
IFLA(国際図書館連盟)は学校図書館ガイドライン(第2版)において、学校図書館が焦点を当てるべき中核的な教育活動の一つとして”Inquiry learning”を置いています。(IFLA School Library Guidelines, 2nd edition, p8)
日本の新学習指導要領においても学校図書館は“児童の主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に生かすとともに、児童の自主的、自発的な学習活動や読書活動を充実する”(総則)とありますが、その具体的な支援方法は各校においてまだ模索される段階にあります。
本研究会では、探究を基盤とした教えと学び(Inquiry Based Teaching and Learning)を支援する学校図書館について議論し、国内の実践に寄与することを目的としています。
探究における生徒の学習の姿(2)
現行の学習指導要領において重視されている「探究」では、“生涯にわたって探究を深める未来の作り手”(1)の育成が求められている。
探究とは、課題を設定し、仮説を立て、検証することを繰り返すことで、問いを解消し新たな知識を獲得する、主体的な学習活動を指す。
こうした学習活動を支える1つの手立てとして、学校図書館と情報リテラシーの専門家である学校図書館員の整備と充実を進めることは有益である。例えば、学校図書館と連携して探究学習を行うことで、教員と学校図書館員が協働しながら、学習過程に適切な教材の収集と指導過程の組織化を図ることが容易になるといった効果を得ることができる。(3)
文部科学省. 高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説:総合的な探究の時間編. 2018, https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/11/22/1407196_21_1_1_2.pdf, p.4(2024-1-31参照).
同上, p.12(2024-1-31参照).
新居池津子 (2022) 「調べ学習授業における教師との役割分担に現れる学校司書の専門性に関する検討」日本図書館情報学会誌 68 (1), 1-21.
【代表】松田ユリ子
神奈川県立新羽高校学校司書、法政大学兼任講師。著書:『学校図書館はカラフルな学びの場』(ぺりかん社,2018)
『ルーフトップ・コンサートのビートルズ』(トニー・バレル, DU BOOKS, 2019)
探究活動を進めるために必要な要素は沢山ある。しかし、これがなければ始まらないもの、それは「知りたい気持ち」だ。
ビートルズがロンドンの自社ビルの屋上で予告なしのコンサートを開いた1969年1月30日、著者のトニー・バレルは小学生で、そのニュースを後で知る。そして、学校を休んでその場に居合わせなかったことをずっと悔しがってきた。「あの日、サヴィル・ロウに居るというのはどんな感じだったのか?」「そもそもビートルズはなぜこんなことをしたのか?」「誰の発案だったのか?」という問いを持ち続け、当時の関係者だけでなく、あの日そこに居た警察関係者、偶然聴いた人、苦情を言った人までも探し出してインタヴューを重ねることで、およそ半世紀後の2017年に、その問いへの答えを細密に描き出すことに成功した。2021年11月公開のピーター・ジャクソンによる6時間のドキュメンタリー『GET BACK』は、トニーが発見したことの多くを映像で裏付けている。2人は同じ問いを違った手法で探究し、まとめ上げたとも言える。
このように純粋な「知りたい気持ち」、生涯続くような情熱的な問いを、どうすれば「学校的探究活動」が(邪魔することなく)育むことを支援できるのだろう?それが目下最大の関心事である。
【運営メンバー】新居池津子
清泉女子大学 文学部 司書・教職課程 専任講師
著書:『中学校学校図書館における生徒の居方に関する検討』(風間書房, 2021) researchmap
研究関心は、学校図書館で行われる授業研究です。探究学習は、その学習のあり方や指導方法にフォーカスされがちです。
しかし、教育方法学をはじめとする教育学の領域で解明されてきた、これまでの、そして、探究以外の多様な学習と同様に、そのプロセスの中で、いつ・誰と・どこで・何を使って、子供がどのように学んでいるのかという、子供の学習過程の事実というエビデンスに基づいて、研究を重ねていく必要があると思っています。
『きみの友だち』(重松清, 新潮社, 2008)
探究学習は、それぞれの子供の興味・関心に基づいて学習に取り組むことが求められますがその探究は、真空の実験室の中で行われるものではありません。そうではなく、子供が<今-ここ>に生きる学校や家庭生活という、社会的文化的な文脈に根ざしています。
そして、そこには、子供どうしの日常の友人との関わりも影響を及ぼすのではないでしょうか。
『きみの友だち』は、学校内外を越境する、そんな子供たちの日常や心情の機微が描き出されています。
~かつて、学校図書館ボランティアに取り組んでいた頃、小学5年生の教室で「ねじれの位置」を読み聞かせました。その後、(学校に許可を得て)配ったボンタン飴を一緒に食べた子供たちの、なんともいえない表情が今も思い出されます…
【運営メンバー】一村美穂
神奈川県 司書
「探究では、自分は何に興味をもっているか、自分はどう考えるか、と自分を見つめなおすことが多いため、行き詰ったときにも、自分の特性から解決策を考えられるようになった」以前、探究学習をたくさん経験した生徒から聞いたことです。
探究する対象を知り、突き詰めることも大事ですが、同時に、自分の関心ごとや考えを知り、深めることも非常に重要なのだと考えています。
桑田てるみ,学校図書館とことばの教育研究会『思考力の鍛え方:学校図書館とつくる新しい「ことば」の授業』(静岡学術出版,2010)
学校図書館が提供する資料・情報や、思考を可視化するツールは、生徒が自分の関心ごとを知り、考えを表現するのを支援する方策のひとつです。この本では、具体的にどのように学びを支えられるか、学校図書館と協働した授業事例について、教員や生徒の声も交えて紹介されています。
【運営メンバー】角井貴乃
大阪府守口市の某私立中高学校図書館で働く学校司書。専任の司書教諭になって探究学習を進めていくことが目標。現在は委託業者からの派遣司書。
『「探究」する学びをつくる:社会とつながるプロジェクト型授業』藤原さと(著) 平凡社
この本の中に、「生徒の最初のドラフトを成果物にしない」という文言があります。当たり前のことなのに、出来ていないので、胸にチクっと刺さって、ここ数年の目標にしています。現在の探究学習の問題点はいくつかありますが、個人的に一番手を焼き、改善するために奔走しているのがこの部分です。授業プロセスや授業例がフィーチャーされがちですが、正しい批判と度重なる修正や、探究として成立している問いかけ方など基本的な構造を大切にしていきたいと考えています。
【運営メンバー】中田彩
過去に、国際と名のつく学校の学校図書館sで働いていました。図書館や本のあるスペースを巡るのが趣味です。
Gina Seymour. (2018). Makers with a Cause : Creative Service Projects for Library Youth. Libraries Unlimited. 本書には図書館で利用者が手を動かして参加できるアイデアが多数掲載されています。読むだけでもワクワクするこれらの取り組み。利用者の創造性を刺激するのは想像に難くありません。生徒たちの創造性を刺激し、探究心を育むコミュニティースペースとしての学校図書館の可能性を感じさせる一冊です。
【運営メンバー】吉澤小百合
実践女子大学、玉川大学、大東文化大学ほか 非常勤講師
学校図書館に興味を持つようになったのは大学時代にアルバイトとして、教育困難校に通う児童生徒の自由研究支援を行っていたことがきっかけです。
「子どもの個々の可能性を拡げるために必要な情報を収集し、処理する能力を育むことは非常に重要である」と感じ、専任司書教諭になり、高校一年生が論文を書く授業の支援等をしておりました。今は研究という立場で出来ることを模索しています。
『自分の答えのつくりかたーINDEPENDENT MIND』(渡辺健介著, ダイヤモンド社, 2009)は中高生向きに書かれた、自分の意見を立脚するための過程とそれにまつわる障壁等を物語仕立てで描いた本です。
探究は気力がいる作業であるため、日々の現状で精いっぱいな子どもたちからは「何故そんな面倒なことをしなければならないのだろう」という声も聞かれます。学校図書館は探究に対して積極的な子どもたちにも消極的な子どもたちにも、直接的に・間接的に働きかけられる学習環境であると考えています。
学校図書館の子どもたちの学びに寄与する機能に関しては『シリーズ 学びの環境デザインを考える』(悠光堂, 2022より)をお勧めしたいです。
学校図書館を学校図書館単体としてではなく、子どもたちの学習環境を総合的にデザインする視点で議論していくことができればと考えています。
【顧問】根本彰
東京大学名誉教授 著書:『教育改革のための学校図書館』(東京大学出版会, 2019) 『アーカイブの思想』(みすず書房, 2021) researchmap
図書館研究に入って半世紀近くになります。最後の締めくくりの一つとして学校教育と図書館の関係について取り組み、探究学習や国際バカロレアに今後の日本の教育の可能性を見いだそうとしています。ブログ「オダメモリー」(https://oda-senin.blogspot.com/)もご覧ください。
川口マーン恵美『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』(講談社+α新書, 2013)「日本の義務教育はドイツに完勝!」としている本書ですが、よく読むと日本の中等教育から高等教育の学びの姿勢に大きな問題があることを指摘しています。
フランスの中学、高校では哲学が必修になっていることについては、坂本尚志『バカロレア幸福論 フランスの高校生に学ぶ哲学的思考のレッスン』(星海社, 2018)を読むといいです。なお、フランスのバカロレアと国際バカロレアはまったくの別物です。
<当ブックリストの特徴>
高等学校で探究学習を実施するために役立つ図書資料をご紹介します。
このブックリストの特徴は、以下の2段階の階層に分類した点にポイントがあります。
なお、それぞれの対象者が読むと役立つ図書資料には☆マークをつけました。
<参考となる図書資料を求めている教職員のニーズ別>
1. 探究学習を指導するために必要な資料を知りたい
2. 生徒が論文を書く探究学習に役立つ資料を知りたい
3. 探究学習の理論や評価法などを詳しく知りたい
さらに各図書資料は、以下のA、B、Cの特徴に基づき分類されています。
<当該の図書資料が重視しているポイント別>
A. ライブラリアン自身が、あるいは、ライブラリアンと協働して学校図書館を活用する探究学習を実施する際に役立つ
B. 探究学習の進め方を中心として、学校図書館の活用方法も紹介されている
C. 探究学習の指導や方法に重点を置いている
内容:
学校図書館の3つのセンター機能や本の配置といった基本的なことから始まり、第2章(p.25-60)では探究学習について丁寧に説明されている。新書であるので、基本的には中高生むけに平易な表現で書かれているが、これから探究学習について情報収集をする教員にも入門書として推薦できる。主題が学校図書館との連携にあるので、授業とのコラボレーションを目指す学校図書館員から教員へ推薦すると、コラボレーションの可能性をわかりやすく伝えることができる資料としての機能も期待できる。
書名:『探究に役立つ! 学校司書と学ぶレポート・論文作成ガイド (なるにはBOOKS 別巻)』
著者名:東京都立高等学校学校司書会ラーニングスキルガイドプロジェクトチーム
出版社・URL:ぺりかん社
出版年:2019
ISBN:9784831515513
内容:
探究学習とは何かからはじまり、探究学習のテーマの立て方、情報の収集・整理、発表に至るまで全てのプロセスをわかりやすく解説している書籍。全編を通して、学校図書館を活用した情報収集法を具体的に紹介しているので、探究学習で学校図書館の活用を考えている教員へも入門書として推薦できる資料である。
内容:
学校図書館を活用した探究学習を実施するための資料で、学校図書館の活用を念頭に置いた探究学習におけるルーブリックが掲載されており、参考になる。
本論文の目的は探究学習における情報活用スキル育成のためのルーブリックを開発することである。そのため論の展開や最終的に作成されるルーブリックは学校図書館のみに留まらず汎用性の高いものである。しかし、原案の段階から学校図書館実務関係者らと検討を進めており、試案作成時も学校図書館実務関係者らと検討を行っている。そのため、探究学習における学校図書館活用を考えた際、指標としやすい内容となっている。
作成されたルーブリック(i-Rubric)は小学校高学年版、中学校版、高等学校版とあり、本文の中では中学校版のみ実証研究が行われている。
閲覧にあたっては、CiNii Dissertations(もしくは統合されたCiNii Research)にて検索するとつくばリポジトリのリンクが表示されるので、そこから閲覧可能である。
書名:『なんでも「調べる学校図書館」をつくる2 ブックカタログ&データ集~中学生2,000人の探究学習とフィールドワーク~』
著者名:片岡則夫
出版社・URL:少年写真新聞社
出版年:2017
ISBN:9784879816238
内容:
サブタイトルの通りに、筆者が指導してきた中学生2,000人の事例を基に、フィールドワークを伴う探究学習に焦点が当てられている図書。A4版で3部構成となっている。第2部には、中学生に人気のあるテーマと関連するキーワードと共に、1ページの見開きに4冊の関連図書が紹介されている。なお、4冊の図書には、それぞれ難易度別に「☆」が1~3つにより示されている(☆: 小学生中~高学年向け、☆☆: 中学生向け、☆☆☆: 高校生~一般向け)。タイトルに冠されている学校図書館の活用についてはほとんど示されていないが、探究学習の前提として学校図書館での資料探索が研究方針の端緒となることが書かれている(p.8)。また、テーマ毎に紹介されている4冊の図書は、p.118-123に改めて分類記号別に改めて整理されており、探究学習のために学校図書館がどのような図書資料を準備しておけば良いのかがわかる一冊となっている。
書名:『思考を深める探究学習:アクティブ・ラーニングの視点で活用する学校図書館』
著者名:桑田てるみほか
出版社・URL:全国学校図書館協議会
出版年:2016
ISBN:9784793300950
内容:
学校図書館の活用が中心に据えられていること、レベル・プロセス分けが明確で図表も多いことから、学校図書館が探究学習を支援するためにまず参照したい図書。「総合的な探究の時間」にも各教科での探究学習にもどちらにも役立つ。授業資料作りにすぐに活用できる探究のプロセスに沿った思考ツールやワークシートが豊富なだけでなく(第2部)、第1部では、探究学習における問いのレベルを考慮して授業をデザインする方法、批判的読解のポイント等、要所要所でチェックポイントが明確に示されているのも特徴。
内容:
支援する側の教師と学校図書館員にとって現在でも十分に通用する指南書となっている。生徒が自分で学ぶのはもちろん、教師が探究をいかに指導すると有効かがよく分かる。出版年は古いが実戦に基づいた現在も未来も使える普遍的な内容となっている。筆者が公立高校において理科の授業で行ってきた探究学習の実際をレポートしたものだが、第3章「図書館で情報を集める」では、NDC(日本十進分類法)からレファレンスの活用方法、学校図書館利用指導、成果物の保存まで、実際にどのようにすれば有効かが示されている(p.65-116)。また、探究学習には教師、学校図書館員、生徒3者のコラボレーションが必須であることが明確に図で示されている(p.196)。
内容:
タイトルの通りに、筆者が指導してきた中学生の事例を基に、探究学習でテーマを設定するプロセスに焦点が当てられた図書。新書よりも文字数が少なく、イメージしやすいように図解も多く提示されている。なお学校図書館などに関する言及は少ないが、学校図書館や公共図書館で探した本を利用することが前提とされていること(p.14: 第1章: p.76: 第4章)、困った時にはレファレンスなどにより司書の支援を得ること(p.25: 第2章; p.70-72: 第3章)が示されている。なお、第3章(p.49-62)には、引用と自分の意見の区別や文献の提示の作法も掲載されている。
内容:
総合的な探究の学習において、学校が指定した課題図書を生徒が読みブックトークを行う活動が盛り込まれているという形で、学校図書館を活用するワークブック。高校生が「研究」を学ぶことを通して、「課題対応能力」「人間関係形成能力」等を養い、自己の在り方・生き方を考え、「人間力」を高めることを目指すと紹介されている。1. ガイダンス編、2. 研究準備編、3. 研究編、4. 発表編、5. 論文作成編の5つの大見出しから構成されている。特に、3. 研究編には「研究分野を決めよう【WS】基本資料を探す」、「情報カードに記録しよう【WS】「引用」と「要約」など学校図書館の活用に関わる見出しがある。探究学習の図書資料にみられる 論文作成だけでなく、4. 発表編にプレゼンやスライドの作成方法も紹介されている。
書名:『改訂版 学びの技 (YOUNG ADULT ACADEMIC SERIES)』
著者名:登本洋子ほか
出版社・URL:玉川大学出版部
出版年:2023
ISBN:9784472406317
内容:
総合的な探究の時間で、「学校図書館」を使って探究論文を書き上げる(口頭発表する)までのそれぞれの過程における技が、見開き形式で記されている。玉川学園の図書館施設「マルチメディアリソースセンター(MMRC)」(https://www.tamagawa.jp/education/report/detail_22607.html)を活用した中学3年生の実践をもとに、特に、「Chapter2. 情報収集の技」には、学校図書館を活用する必要があるメディアの特性・図書館の使い方、図書館の本の探し方、新聞・雑誌の探し方、雑誌論文の探し方、オンラインデータベース、ウェブサイト、統計資料の探し方や参考文献リストの書き方、情報の記録の取り方について提示されている。
書名:『都立高校の生徒のためのラーニングスキルガイド PDF版』
著者名:東京都立高等学校学校司書会ラーニングスキルガイドプロジェクトチーム
出版社・URL:
https://www.sisyokai.net/activity_guide.html#date-20180820
出版年:2018
内容:
「学校図書館で調べる~「あなたの」図書館へようこそ~」(2P.; PDF:198.09KB)、「蔵書検索ってどうやるの?~学校図書館にある本を探してみよう~」(2P.; PDF:358.86KB)など、学校図書館員や教員が学校図書館を活用する方法をはじめ、生徒が図書館を活用してレポートを書く手立てが示され、見出しごとに内容に直接アクセスすることができる。
内容:
最終的に探究論文を書くような高校の教員・ライブラリアン・生徒の三者にとって役立つ図書資料。電子新聞データベース等の検索といった学校図書館が提供するリソースや引用の仕方を指導する際に必要となるライブラリアンとの協働が示唆されている。Part1 オリエンテーション編(レポート・論文を書くための基本を知ろう)、Part2 基本スキル編(レポート・論文を書くための5つの基礎能力をつけよう)、Part3 スキルアップ編(論文を書いてみよう)、Part4 卒業論文準備編(レポート・論文との違いを確認しておこう)の4Partから構成され、21のWorkを通じて、本書の前半ではレポート・論文を書くために最低限必要な5つの能力「情報収集力」「読解力」「批判的思考力」「要約力」「表現力」を身につけることができる。後半ではこれらを磨いて書くために必要な「課題発見力」「論点発見力」「構成力」を高めていくことができます。大学生向けではあるが、テキストを使用する際に活用できるワークシートもダウンロードできる。
内容:
特に以下の2点のポイントに特徴がある。①著者の実践を踏まえ、実際の事例や陥りがちなパターンとその打開策等リアルな具体例が豊富な点。②資料の集め方だけでなく、論文を書くための本の読み方、得た情報に対する自分の意見(コメント)のつけ方等も詳しい点。自分で決めたテーマについて探究し、論文にまとめる方法を解説しているため、「総合的な探究の時間」等に取り組む中高生・支援する職員に役立つ。全体としては、論文を作成する中高生のために、引用に関する基本的な知識やテーマ設定などの具体的な方法が紹介されている図書。4章「論文資料のあつめ方―先人に学び乗り越えるために」の第1節に、「図書館を使いこなす」の見出しがある。公共図書館や学校図書館の分類・検索・レファレンスなどの情報収集の方法が提示されている(p.95-105)。なお、p.105-117にはネット検索やデータベースの活用方法も掲載されている。ただし、「朝日新聞クロスサーチ」が、旧「聞蔵ビジュアルⅡ」となっている点など一部の情報が古くなっている点に注意したい。
書名:『National School Library Standards for Learners, School Librarians, and School Libraries』
著者名:AASL
出版社・URL:ALA
出版年:2018
ISBN:9780838915790
内容:
ライブラリアンや管理職*向けの米国のガイドライン。学習者、ライブラリアン、学校図書館の視点でinquiryの段階的な成長が明記されている点が参考になる学校図書館を活用した探究学習を実施するための資料。なお、本書は米国学校図書館協会(American Association of School Librarians、以下AASL)による2018年に出されたガイドラインである。本基準にはまず大枠のフレームワークがあり、共有基盤となる六つの概念、「Ⅰ.探究」、「Ⅱ.包摂」、「Ⅲ.協働」、「Ⅳ.キュレート」、「Ⅴ.探索」、「Ⅵ.関与」がある。この中に学習領域として「A.思考」、「B.創造」、「C.共有」、「D.成長」が配置され、このフレームワークは学習者、ライブラリアン、学校図書館の三者に共通である。
本書自体は計314頁に渡るもので、全文の日本語訳はなされていない。しかし、立教大学司書課程において本基準のパンフレットである「AASL Standards Framework for Learners」が日本語訳され、公開されている(立教大学司書課程. “AASL学習者基準フレームワーク翻訳プロジェクト”. 立教大学, https://www.rikkyo.ac.jp/campuslife/support/certification/librarian/project2020.html, (2023-12-29参照).)。この中で学習者、ライブラリアン、学校図書館のうち、学習者のフレームワークを見ることが可能である。まずはこのパンフレットで概要を把握した後、本書の「Ⅰ.探究」部分でライブラリアン、学校図書館に関する記述を確認すると、三者がどのように関わり合いながら段階的な発展を遂げるとされているか見ることが出来る。
内容:
世界屈指のプロジェクト型学習を行う米のチャータースクール、ハイ・テック・ハイ校を例に挙げ、PBLの意義や可能性についてまとめた1冊。課題となることが多い批判の指導方法(p.121-127)や、評価方法(p.134-149)などが具体的に示されており、指導時に有益である。
書名:『Focus on Inquiry : A Teacher's Guide to Implementing Inquiry-based Learning』
著者名:Alberta Learning. Learning and Teaching Resources Branch.
出版社・URL:
Focus on Inquiry A Teacher's Guide to Implementing Inquiry-based Learning Alberta University
出版年:2004
ISBN:97844582731101
2-Aで紹介した玉川学園の「学びの技」も本書に示されたアルバータ大学(カナダ)のFocus on Inquiryなどを参考にして授業を作り上げていったことから、学校図書館の活用が前提とされる探究学習(Chapter1; p.12)の理論を理解するための一次資料として位置づけられる。13のChapterから構成される全122ページのPDFを英文で読むことができる。見出しからも窺えるように、cross-curricular inquiry-based learning(教科横断的な探究学習)の理論やモデルについて示され、教師が探究学習カリキュラムを創発、指導、評価するのかについての方法論が主に示されている。