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『瑞花』

<寄稿/表紙>文庫サイズ

2017年5月4日(木祝)超閃華の刻 2017

前半部分『ある人の 死』はこちら↓

みずかさんの所のみかんばちゃん小説表紙でカバーのみのご依頼でした。

内側の表紙はみずかさんが用意した写真が使われており、カバー絵の下(表紙側の三日月さんの手と指輪)を隠す形で帯が巻かれていましたが、カバー以外はデザイン含めノータッチです。

現パロで表紙・裏表紙それぞれ別の絵、どちらもみずかさんから構図ラフを頂いて概ねそれに合わせる形で描いています。

表紙側がpixivから再録になる前半の三日月さんとまんばちゃん。裏表紙側が後半書き下ろし分の改めて向き合って行く三日月さんとまんばちゃん。


凄くどうでも良いトリビアなんですが、今まで表紙描かせて頂いたみかんばちゃん全部『R18/成人向け』の文字が眩しく入ってまして(笑)これが初の健全本表紙です。

■ラフ・表紙

表紙のお話を頂いた時点で「前半分はpixivで公開済み、後半を書き下ろしで合わせて本にします」という事で、表紙・裏表紙共に構図ラフはみずかさんにご希望出して頂きました。なので、構図に関しては完全に作家さんのご意向+私からの修正提案が若干ぐらいです。

表紙を描かせて頂く場合、私は飽くまでも『作家さんが作った物語や世界観を可視化するお手伝い』をしているだけなので、作家さん側で「こんな絵が欲しい!!」という明確なイメージがある場合はそれを優先するスタンスでやっています。

特に構図指定が無ければ、設定とあらすじを聞いて自分で構図を捻り出して、それを叩き台に修正箇所挙げて貰う感じです。

最初に頂いた構図指定では人物が中央、月も中央で被っていたので、修正提案で出したB案の方で行っています。

背景の月が満月なら中央でも良いのかな~と思ったんですが、話的に『月=三日月』は外せないなというのが前提で。

三日月だと大半が人物背後に隠れちゃうのと、本自体のサイズが小さめな文庫なので引きの構図にすると絵的に人物も潰れるなという事で、画面を寄せて人物を大きめに・月の形がはっきり判る様に人物と被らない位置に配置した感じです。

■完成・表紙

表紙側は全体暗めなので寒色系だけで色が被って人物が埋まらないように調整しながら。

人物と背景の間(フチ取り)に明るい色を入れてしまうとまた雰囲気が変わってしまうので、飽くまでも背景に馴染ませながら埋まり過ぎ無い様に……とか、そんな感じ。

最初指輪をしているのは三日月さんだけでしたが、仕上げ間近でまんばちゃんにも追加になりました。

指輪のデザイン的な設定も本文に少し出て来るんですが、如何せん文庫サイズだと1~2mmの話になってしまうので塗る時点で細かく拘ったりは出来ないなあと思いつつハイライトをちまちま……。

まんばちゃんのダッフルがぶかぶかオーバーサイズなのは本文に出て来る『山伏お兄ちゃんからのお下がりだから』っていう指定入りです。

国広ストライプ入れようかなと思ったんですが、ダッフルでストライプは無いかなとか山伏お兄ちゃんがストライプ入ったダッフルは着ねえだろ……みたいに悩んだ末に無地です。ちょっと冬生地感出したくてテクスチャ貼り込んで。

描いてみて痛感したんですけど、ダッフルって元々冬用コートだから着膨れ感はあるじゃないですか。そこから更にオーバーサイズ感って出すの難しいね!?って実感しました。

かと言って、あからさまにぶかぶかに描き過ぎるとナンダコレ?みたいな見栄えの悪さだったりもして。丁度良い感じに見えてると良いんですけど、うん。

三日月さんの羽織の柄はわり矢絣です。コレは完全に私の趣味です。矢絣柄好きで。三日月さんの着物と羽織りを青でなく緑系にしたのは、青系だと背景に沈み過ぎるのと、まんばちゃんの目の色が緑なので、というこれまた私の趣味です。

この時に限らずですが、色柄の指定がない時はとりあえず自分の好きな色や柄にしてみて、仕上がりの確認がてら変更希望を伺っています。

衣装と表情調整。最初はちょっと雰囲気がシリアスでした。

雰囲気柔らかめにしたり、5cmで帯がかかる予定だったので隠れる分の目安とかを。

三日月さんの左手に指輪(帯に隠れて見えない位置に)という指定があったので、三日月さんの手が塗り足しに入らない位置+指輪付けてるって判るくらいの人物サイズで収めた感じです。

ラフの時点では背景に街並み(夜景)+星空でも、冬の話なので少し雪降らせても良いのかなと思っていたんですが。相談させて頂いて、背景に街並み入れると都会っぽくなってしまう(舞台が都会の話ではないので)という事で星空だけになりました。

月は仮で とか書いてますが、しっくり来たので結局そのまま行ってます。

■ラフ・裏表紙

裏表紙は人物位置調整したくらいでラフからそのまま行った感じです。

キーアイテムの鍵案は前半分を読んで「ドシンプルかな、ドシンプルだろうな……」と思いながら一応何パターンか描いてみて、やっぱりドシンプルに落ち着いてます。

裏表紙の方が、完全に笑い話なんですが(申し訳ない)ラフ詰めてる最中、私完全に帯がかかる事を忘れてまして(本当に申し訳ない)このままだと三日月さんホボ帯に埋まるのでは……?と帯の5cm目安被せた辺りでやっと気付くと云う( 申 し 訳 無 い!! )そんなこんながあったりしました。全くすみませんでした。

■完成・裏表紙

表紙とはガラッと変わって白基調の明るめ・柔らかめです。

メインが冬のお話なので背景は雪。

全体的にぼかしかけた方を使ってます。

背景に雪の結晶置くパターンもいくつか作りました。

大きいのとか小さいのとか、飾り枠っぽく並べたりとか。あと雪のグレーの濃さとか。雪のサイズや配置が同じでも濃さが違うだけで結構イメージ変わるので……。

大きめの結晶を並べる感じで、実際使ったのはグレー70%です。

オンデマンドってガウスぼかしに弱いんだったなと、完成本を頂いてからちょっと反省しました。

ぼかしフィルタ好きで何かと使ってしまうんですけど、初めて自分の絵を刷って貰う印刷所だったので、印刷所の癖や勝手が判らなかったのもあって。

裏表紙側ちょっとガサガサし過ぎちゃったかなと。

印刷方法に合わせて仕上げ方も多少変えなきゃならんのを失念してました。日々精進だ~って申し訳ない限りです。

表裏の対比的には明暗良い感じに出来たんじゃないかなと思うんですが!!

■完成品

予想より色が暗めに出た感じです。

でもマットPPなのでテカテカせずに落ち着いた仕上がり。

今回は完全に表紙・裏表紙(カバー)部分だけお手伝いさせて頂いたので、帯のデザインはノータッチで、完成するまでどんな帯がかかるのか、キャッチコピーとかも全然知らなくて。

やっぱり帯がかかると『本』として見栄えしますよね~って思います。

この本の発行当時はpixivに生息していたので、pixiv用の告知画像作ったりもしていまして。

告知画像作る時も作業途中でぺろっとTLに画像を流す時も、三日月さんの手(もとい指輪)が画面に入らない様、実は故意的にひたすら隠してました。

帯を外すと指輪が見えるこの仕様、なかなか感動的な仕込みなんじゃないかなと。本文読む前、読んだ後、帯を外す前、外した後、ちょっとばかり絵の見え方というか意味合いというかも変わって見えたらこれまた楽しくて、描いた人的に嬉しいんですけど!!

裏表紙側には帯を外した時の仕込みは無いです。笑

みずかさん初のご本で、早めに手元に原稿を揃えて置きたいという事で、お声かけ頂いたのが2016年末前(丁度媚薬アンソロ表紙大詰めの辺りで)だったんですが、2016年内に仕上げていました。

2017年になって人目に触れるまで数ヶ月眠っていた絵なので、日の目を見れて良かったなー!!という気持ちです。