総評/審査員・甲斐 啓二郎 氏(写真家・東京綜合写真専門学校講師)
審査に臨むにあたって私が期待するのは、若々しさだったり、高校生時代でしか撮れない写真です。私のような世代では撮れないような、出会わないような視点というのに惹かれます。今回も最優秀賞に選んだのはやはり元気なポジティブな写真だったし、他の優秀賞まで含めていくと、そういった写真が目立ってきたと思います。もちろん、技術的に優れた作品やよく組み立てられた作品も優秀賞などに入っています。
良い作品を残すには、やはりカメラを日々の生活の中でも持ち歩いていることが大事だと思います。いつ良い光や良いシーンに出くわすかわかりません。そこに反応できるようにしておいてほしいと思います。
また、ストーリーを組み立てて撮る場合、どうしてもわざとらしく芝居じみた写真になってしまうと思います。実際そういった作品もありましたし、審査の段階でそういった予定調和はバレてしまいます。むしろその予定調和から外れたハプニングやアクシデントが起こった時の写真、その時は失敗と思った写真を見直してみてください。意外とハッとするシーンが撮れているかも知れません。ちょっとしたハプニングを起こしてみるのも良いかも知れません。だいたい自分の思惑などたいした事ありません。その思惑を外れた、思惑を超えた写真に目を向けてみてください。それこそが良い写真なのかも知れません。
(撮影技術もしくはプリントの仕上がり等で気がつかれたことがあったら、ぜひ教えていただきたいのですが)
今回の応募作品の中には、わざとハイキーにしていたり、逆にローキーにしていたりと、プリントまで気を使ってやっているレベルの高い作品がありました。逆に、これを写さなければいいのにとか、もうちょっとプリントが良ければいいのにというのも、やはり数多くありました。撮影やプリントというのは、トライアンドエラーを繰り返して、何回も撮影して、何回もプリントしてという、繰り返しが大事になってくるかと思います。即効性のある改善方法などなくて、それが1番の方法です。
プリントや現像処理がうまくいかない人は、何がクオリティが高く低い作品なのかが、わかっていないのかなとも思います。それを知るのには、人の作品を見るということ。綺麗なプリントを見るということです。それをしていけば自分の目も慣れてくるので、仕上がりが良くないときに気づくと思います。プリントの上手い友達が、どのように現像処理してプリントしてるのか聞いてみたり、展覧会に行ってみたりして、自分の作品との違いを知る事は、上達するための大事な経験です。
最後のアウトプットが写真であり、それが世に発表するものですから、その最後の工程を疎かにするのは、撮った行為をも無駄にしてしまいます。最後まで気を抜かずにプリントするという事を心がけてください。
(最後に、今後静岡県の写真をやる高校生にぜひ一言アドバイスをお願いします)
高校の3年間って、みんなはまだ気がついていないかもしれないけれど、大人になるとすごく大事な3年間だったなと思うのです。その時の3年間でできた友達だったり、起こった出来事というのは、大人になってすごく記憶に残っているし、すごく大事な経験だったりします。その時の大事な記録として、記憶として、カメラで写真を残すということは、大事な時代のこの3年間を、後から振り返れる貴重なモノになるはずです。カメラを毎日持つくらいの勢いで撮っていってほしいなと思います。