演者紹介

土屋賢司 先生

◾️略歴1984年 日本大学歯学部卒業1987年 USC卒後研修1989年 千代田区にて開業2017年 日本大学大学院歯学研究科 博士号取得(歯学博士)2018年 日本大学歯学部臨床教授 就任
◾️所属日本顎咬合学会 指導医日本口腔インプラント学会日本歯科審美学会日本補綴学会日本歯周病学会日本歯科保存学会歯科接着歯学会東京SJCD顧問日本臨床歯科医学会 専務理事

松尾幸一 先生

◾️略歴

1995年 日本歯科大学 卒業

1995年 須藤歯科医院 勤務
1998年 あいはら歯科医院 勤務
2000年 中野デンタルクリニック 開院
2002年 医療法人社団幸友会 理事長就任
2003年 医療法人社団幸友会 エステティックセンター開院
2019年 インプラントセンター 開院
2019年 訪問診療センター 開院
現在に至る



◾️所属

東京SJCD理事

東京SJCDベーシックコースインストラクター

ノーベルバイオケアジャパン株式会社 公認インストラクター

中野区歯科医師会

USC客員研究員

OJ正会員

UCLAインプラントアソシエーション所属

日本顎咬合学会会員

日本口腔インプラント学会会員



吉田茂治 先生

◾️略歴1999年 日本歯科大学卒業1999年 東京医科歯科大学顎顔面外科勤務2001年 東京医科歯科大学顎関節治療部勤務2002年 現診療所開設2010年 日本顎咬合学会認定医2018年 日本歯科審美学会認定医
◾️所属東京SJCD日本歯科審美学会日本顎咬合学会日本スポーツ歯科医学会日本顎関節症学会


中村茂人 先生

◾️略歴

2000年 日本大学松戸歯学部卒業

   日本大学松戸歯学部附属病院 口腔外科

2002年 SJCD原田歯科クリニック勤務 副院長

2007年 土屋歯科クリニック&Works 勤務

2008年 デンタルクリニック アレーズ銀座 院長

2013年 University of Southern California 卒後研修修了



◾️所属

日本臨床歯科学会(SJCD)東京支部理事

同学会レギュラーコースインストラクター

OJ理事

日本臨床歯周病学会会員

日本顎咬合学会会員

ITI member

Young ITI インストラクター


林丈裕 先生

◾️略歴

1999年 日本大学松戸歯学部 卒業

2004年 吉樹デンタルクリニック 開院

   医療法人社団丈秀会 理事長就任



◾️所属

日本臨床歯科学会(SJCD)東京支部

Zimmer Biomet Dental公認インストラクター

日本口腔インプラント学会 専修医

ICOI fellow

OJ fellow


抄録一覧

- 教育講演 - 咬合治療を成功に導く治療計画とその実践

○土屋賢司

土屋歯科クリニック&ワークス  

〒102-0093 東京都千代田区平河町1-4-12 平河町センタービル1F TEL 03-3288-0158



■抄録

 2016年に東京SJCDの例会にて咬合治療にスポットを当て、主にフォースマネージメントについて骨格や顎運動等と調和させた補綴治療の一考察を提示させて頂いた。複雑な不正咬合等にアプローチするためは患者ごとに異なる骨格や習癖との調和、Weak link theoryにまつわる咬合力のダメージを受けやすい箇所への配慮等さまざまな要素に対し、試行錯誤を行いながらの治療過程を強いられる。咬合はそのような形、数字に現れにくい要素を持っているため結果が見えにくく、それゆえ処置を躊躇してしまいがちである。

 自身も若い頃は先人たちの術式を模倣しながら、手探り状態での処置ではあったが20年程前より咬合治療のスタートラインにおいて、顔貌からの中切歯の位置とセファログラムによる骨格と歯列との関係を診るといった、いわば可視化する方法をとることで一つの基準を得る事に気づき、それを実践しながら2009年に包括的治療戦略Vol 1、2019年に包括的治療戦略Vol 2をそれぞれ上梓させて頂いた。

 今回複雑な咬合治療を成功に導くための包括的治療計画とその実践と題して、私自身の考えと試行錯誤しながら咬合治療をゴールに導いた会員の症例を見ながらディスカッションをすることで、これから咬合治療を手掛けようとする若い先生方の治療指針の糧となれば幸いである。

本講演に利益相反はない。





- 一般講演1 - 上顎前歯部インプラントをアンカーとして矯正治療を用いて咬合再構成した症例

○松尾幸一

中野デンタルクリニック

〒1650-0026 東京都中野区新井2-1-1-2F/5F/6F Tel 03-5318-0550 Fax 03-5318-0551


■抄録  

多数の修復物や欠損を伴う不正咬合において、診査・診断・治療計画は困難なものとなる。補綴医として自身で矯正治療、インプラント治療を駆使して咬合を再構築する中で、上下顎犬歯関係とアンテリアカップリングの獲得を最優先目標と位置づけている。それは前歯の正しいTooth Positionの獲得であり、それが臼歯部の配列、咬合面形態、顎関節の保護につながるからである。咬合再構成において最初から最後まで指標となるのが上顎中切歯切縁の位置(インサイザルエッジポジション)である。これは有歯顎、無歯顎問わず修復治療でのスタート地点として利用され、これをもとにして上顎咬合平面を再構築する。ここに 顎関節を含んだ下顎位が絡んでくれば治療ゴールはさらに複雑なものとなる。つまり、インサイザルエッジポジション、咬合平面、下顎位これらの項目が 咬合再構成ではkeyとなると考えている。今回のケースではインプラント治療と矯正治療を利用して咬合再構成をしたケースを供覧していただくが、治療計画の考え方を参考にしていただければ、複雑な口腔内も分かりやすくなると考えている。

本講演に利益相反はない。



- 一般講演2 - 矯正治療後の顎位の不正に対し補綴的に改善を図った症例

○吉田 茂治

パークサイドデンタルオフィス

〒330-0854 埼玉県さいたま市大宮区桜木町2-192 岡田ビル2F TEL 048‐650‐2918


■ 抄録

咬合再構成は,顎関節,歯-歯根膜に加わる力を制御し,筋組織の安静を得ることができたかどうかによってその成否が評価される.歯列不正および歯の位置に問題をもつ患者への治療手段として,矯正治療が第一選択肢であることは論を待たない.

しかし,治療期間,経済的理由,矯正装置による審美・機能的問題により,矯正歯科治療が受け入れられない場合には,何らかの補綴的改善の検討が必要となる.一般的にポジションに問題がある歯にクラウンを用いると歯質切削量が増大する傾向にあり,象牙質への接着性がエナメル質より劣ることで懸念される修復物の脱離や破損,生活歯における歯髄炎発症のリスク増大にも直結する.これらの問題点を回避するためには,治療が必要となった原因の追求と改善は もちろんのこと,予知性が高く,審美性と機能を両立できる補綴装置のデザインとマテリアル選択が重要となる.

今回,矯正治療後に生じた右側臼歯部の疼痛と,咬合異常感,上顎前歯部の審美的改善を主訴に来院した患者に対し,これらを考慮した咬合再構成を行い,良好な結果を得たので報告する.

本講演に利益相反はない.


- 一般講演3 - 不正咬合に対して顎位を考慮し口腔リハビリテーションを行った症例

○中村茂人

デンタルクリニックアレーズ銀座

〒104-0061東京都中央区銀座5-5-16 7F TEL 03-6274-5333 FAX 03-6274-5335


■抄録

 咬合再構成における顎位の決定は、適正な咬合を与える上で蝶番運動の軸となる。許容範囲はあるものの再現性があり且つ咀嚼筋群への負荷の少ない位置を見極める必要がある。下顎位は、咬合平面、切歯路角、犬歯関係、早期接触の有無や咬合接触点の影響を受け経年的に偏位する。これは神経筋機構の不調和から生じると示唆される。また偏位側の顎関節、早期接触またはセントリックスライドを受け止める歯や歯槽骨には問題が生じやすい。これらを総合的に考えると多角的な診断が必要となるであろう。

 本症例は骨格的2級を伴い下顎の劣成長と思われる症例であった。しかし、神経筋機構のエングラムを解除(Deprograming)することで、下顎位が前方に偏位し正常な範疇に納まることが確認できた。その下顎位を基準とし、オーバーレイレストレーションにて検証し、最終的にはEdwardらの提唱するVonlay restorationを用いて機能と審美性の改善を計った。術後CTによる骨格の評価では、 咬筋の距離を大きく変化させることなく、カウンタークロックワイズローテーションを伴いつつ咬合高径が挙上されるという相反する動きが確認できた。このことはDeprogramingがキーワードとなったと推察される。今回これらの治療の流れを提示し、下顎位の変化とその維持のための咬合平面や咬合高径設定の重要性について考察を述べたい。

本講演に利益相反はない.



- 一般講演4 下顎側方偏位を伴う骨格性3級症例に対するインターディシプリナリーアプローチ

吉樹デンタルクリニック

林 丈裕

東京都港区新橋4-27-4 1F TEL 03-3434-6480 FAX 03-3434-6481


抄録

 近年、インプラント治療は予知性に優れた治療法として広く認められ,歯を喪失した患者のQOL向上に貢献している. しかし、その一方インプラントの普及とともにトラブル(併発症)も多く発生し、他院にて埋入されたインプラント治療への対応が求められる時代となっている。インプラント機能後に発生する トラブルは,技術的併発症(technical complication)と生物学的併発症(biological complication)の2つがあり、技術的併発症としては、咬合による負担荷重(オーバーロード)による アバットメントスクリューの緩み・破折、上部構造の破折、インプラント体の破折等が挙げられる。生物学的併発症はインプラント周囲に発症する炎症性疾患である.

今回、下顎側方偏位を伴う骨格性3級、他院で埋入されたインプラントにおける技術的併発症を抱えた解決困難な顎機能に問題を有する患者に対して補綴 治療、矯正治療、歯周・インプラント治療等の専門的知識を駆使し、その患者に対して正常像と思われる治療ゴールを設定し解決した症例を提示し考察する。本講演に利益相反はない。