Change "By Us"

悲惨な社会事象を眼前にしても、「自分は関係ない」「まあ大丈夫」と座視した経験は誰にでもあるに違いない。

都合の悪い情報に耳を塞ぎ、変化する事態を正常だと判断する意識には、刻一刻と目まぐるしく変化する情報社会に翻弄されまいとする抵抗感が働いているのではないか。しかしこうした「思い込み」は、異変に気付く感覚を鈍らせ、常態化する危機に対応できないリスクがつきまとう。

変化の時代である今、日常的に巻き起こる事柄に臨機応変に応答したい。「私」たちの「思い込み」を再考しよう。それは諸環境の変化の理解によって「思い込み」に気づき、行動を省みたうえで、新しい創造への意欲を持つことである。

人々の生活を支える建築には、「思い込み」の再考の日常化が適うと同時に豊かな「未来思考」を引き出す可能性があると私たちは考えた。

「建築展2021」は、コロナ禍による現実/仮想空間の分断が起こった世界に在る「私」たちの前向きに生きる活力、意志力を持続する力・・・「未来思考」を豊かにする建築をテーマとした。2020年度の建築展に引き続き、2021年度も現実空間ではなく仮想空間「cluster(VRSNS)」を議論の場として、現実/仮想の二視点から考察する。

建築体験を通して日常的な思い込みの再考を促すことで、「私」たちに潜在する未来思考を引き出し、時代を生き抜く豊かな思考力を醸成する建築のデザインに関する

研究の記録である。