超高齢社会の中、個々の高齢者がその時々の状態に合わせて「いつまでもdecentに働き続けられる」環境を提供していくことは、労働力確保の面から、また高齢者の身体的・精神的健康を維持する上からも重要です。しかし,新しい「働く場構築」で用いられる情報技術基盤のツール/環境は、一般に高齢者にとって参加障壁となりがちであり、今こそその障壁を無くす必要があります。一方ポストコロナの今、働く現場において情報仮想空間の利用には意見が二分しており、社会が全体として受容可能な新たな情報仮想/身体現実空間の融合への進化が求められています。
本研究は、多様な人が多様な状態で「well-beingに繋がるhappy working」を続けられる場としてvirtual空間を構築し社会実装していくことを目的とします。そのために健康な高齢者を代表となる対象とし「virtual空間で働く」ことの認知的課題分析とそこでの障壁をなくすためのデザイン要件、また現状組織での働き方の認知文化人類学の視点からの分析による必要な「働き方」のデザイン要件の両者を明らかにし、その実現、ならびにそれを継続発展させていくために必要な「社会にとっての新たな働き方の学びの場」のデザインを目指します。
最終的に認知科学、人間工学、情報科学が協働し、人にとっての新たな「働く」価値の創出を目指します。