昆虫は,いまから4億年以上も前に地球上に出現し,様々な環境に適応してきました.そして,今ではおよそ100万種の昆虫が地球上で暮らしています.私たち人間を含めた哺乳類は,地球上に6,000種程度が暮らしているので,地球は昆虫の惑星と言っても過言ではありません.そんな長い進化の歴史を生き残ってきた昆虫には,適応的な行動の基盤となる設計や制御の仕組みが伏在しているに違いありません.昆虫が示す多様な振る舞いの源泉とも言える機能や能力について理解できれば,人工物の設計や制御に応用が可能です.講演では,昆虫の多様な行動を操る脳の仕組み,素晴らしい運動能力を発揮するからくりなどについてお話しします.
北海道大学 電子科学研究所
准教授
生物のように柔らかいロボットと作ろうとする「ソフトロボティクス」という学問領域で,非常に面白いトレンドが生まれつつある.それは既存の堅いロボットの価値体系に縛られずに,制御,設計,製造,運用方法を,ゼロから考え直し実践するという試みである.本講演では,そのような潮流の変化を講演者自身の研究も交えながらご紹介する.そして,そのうえで生物システムを超える人工物の設計方法に関して議論したい.
信州大学 繊維学部
准教授
本研究の目的は、生きている筋細胞を部品とするロボットを構築することで、成長するバイオソフトロボットを実現することである。機械自体が、自己改変する身体的可塑性を有することが大きな特徴である。生物は、自己の運動が機械的な刺激を作り出し、それに細胞が生理学的また物理学的に適応して,形態と機能が、同時発生的に改良される。そこで本計画研究は、生体素材である細胞をロボットのソフトでインテリジェントな部品として直接組みこみ自律分散システムとして実装することで、機械系も制御系も成長する知能ロボットを実現する。
大阪大学大学院 基礎工学研究科
准教授
人をはじめ無限定環境下で適応的にふるまう生物の脳神経系は構造変化を伴う適応性(adaptability)を有する.本講演では,人とロボットの相互適応実験やロボットを用いた運動学習実験の研究事例をもとに,人間の適応性を高めるインタラクションの特性について考察する.
東京農工大学大学院 工学研究院
教授