細胞外マトリックス制御を可能にする創薬研究

ヒト組織はその体積の相当部分が細胞ではなく,細胞外マトリクス(extracellular matrix:ECM)とよばれる生体高分子で満たされています。以前ECMは単なる物理的な足場か,細胞間を繋ぎとめる結合材のようなものだと考えられていました。しかし現在ではECMそのものが,接触している細胞の生存,発生,移動,増殖,形態,機能などを調節する生理活性物質であることが明らかとなっています。このECMと細胞間の相互作用に重要な役割を果たしているのが,インテグリンを軸として形成される細胞接着斑(focal adhesion:接着斑)装置です。私たちはこの接着斑装置の中に局在する1分子について、過去に類を見ない創薬ターゲットとしての可能性を探っています