実行委員長より

ご挨拶

信州大学自然誌科学館は2001年に「自然のおどろき」として伊藤建夫実行委員長のもとに始まりました。それから今まで、5年に一度の『青少年のための科学の祭典』との共催(4度)を含めて、2019年度まで欠かさず開催してきました。しかし、20回記念となるべき昨年度は残念ながら開催を見送らざるをえませんでした。

このイベントでは、主に信州大学理学部の学生と大学院生が中心となって展示を行ってくれています。もし今年度も開催を見送ることになると、来年度は研究室の学生の中にこのイベントを経験したことのある学生がほとんどいなくなるという危惧がありました。そのような状況を踏まえ、信州大学理学部の若手教員を中心として、なんとか今年度開催できないものかという声が寄せられました。

そこで、現在はまだ必ずしも新型コロナウィルス感染症の感染拡大が収束したとはいえない状況ですが、これまでに得られた知見をもとに、出展者も、またお越し頂く来訪者の方々も安心して開催する方法を模索すべく、実行委員会では何度も議論を重ねてきました。

しかし、残念ながら今までと全く同じように開催することは危険度が高いと考えざるをえませんでした。そこで、大幅に規模を縮小し、またお越し頂く方々についても事前に申し込みをして頂くことになりました。毎年楽しみにして頂いている皆様には不自由を強いることとなりお詫び申し上げます。しかしながら、そのような制限の中においても積極的にブース展示に協力して頂いた出展者の方々、またわざわざお申し込み頂いてこのような情勢下にもかかわらず足をお運びくださった来訪の方々には深く御礼を申し上げます。

規模を縮小したとはいえ、出展者のみなさんや我々実行委員の熱意はむしろ例年以上に高いもので、この熱意によって来年度以降も自然誌科学館が続いていくことが確信され、実行委員長として最も安心しているところです。

近年コロナ禍も含めた自然災害が社会全体にとって重要な問題となっています。このような社会情勢に対応していくためには科学の心を持つことが必要です。科学の心を持つということは、決して断片化した知識を集めることではなく、この世の中の仕組みを知りたいという自然な欲求を持つこと、もっと簡単にいえばどんなことでも不思議に感じ、その理由を知りたいと思う知的好奇心を持つことです。信州大学自然誌科学館が当初から理想としていることは、子供たちにその最も素朴で重要な感性を持ってほしいということでした。来場して頂いた皆様におかれましては、一つでも多くの「へぇ~、不思議だな」という感想を持ち帰って頂けることを切に願っております。

2021年度 信州大学自然誌科学館「信州サイエンスフェスタ2021」

実行委員長 乙部厳己