少年涼太が忍び込んだのは、立ち入り禁止の巨大なドーム。そこに広がっていたのは、外の世界とは隔絶されたもう一つの街だった。彼はそこで、わけもなく涙を流す少女・桜と出会う。「どうして君は泣いているの?」彼女のことが気になり、涼太は危険を冒してドームに通い詰める。最初は冷たくあしらわれたが、やがて二人は心を通わせていく特別な存在に。しかし、涼太はこの世界の奇妙なルールに気づき始める。ドームの住人には「その時」と呼ばれる運命が定められており、それは外の世界へ出られる喜ばしい日だと誰もが信じていた。だが、涼太は知ってしまう。外の世界で特別な日に振る舞われる「例の肉」の、あまりにも残酷な正体を。愛する桜にも、刻一刻とその運命は迫っていた。全てを知ってしまった涼太は、彼女をこの絶望から救い出すことができるのか。舌に残る香りが繋ぐ、二人の歪な恋の物語。