受験生へ

こんにちは。QG研で大学院生をやっている前田新也といいます。まずは自己紹介から。

名古屋大学理学部物理学科(4年次もQG研配属)からそのままQG研に進学しました。当時の大学院受験校および希望は、1. 京都大学素粒子論(筆記合格→面接不合格)、2. 東京大学理学部素粒子論(筆記合格→面接不合格)、3. 東京大学相関基礎素粒子論(筆記合格→面接不合格)、4. 名古屋大学QG研(筆記合格→面接合格)でした。面接がほぼすべて不合格なのは、病を患っていたため物理の勉強は授業程度しかやれず、自分の興味を育てることや自主的な勉強を全くしていなかったからです。現在は重力の量子性や時空と量子情報の関係などに興味があります。

以下、Q&Aの形式でいろいろと書いていきます。なにか少しでも受験生の力になることがあればいいなと思います。ほかに気になることや質問があれば、気軽にHOMEに記載してあるメールアドレスまで連絡ください。なお、こちらにQG研の研究室紹介のPDF、ホームページがあります。

注意事項として、QG研の教員は退官が近い人が多いです。重要なことなので、そのあたりをきちんと把握しておいたほうがいいかと思います。また、以下は個人的な意見に過ぎないので、参考程度に留めるようお願いします。

Q. どこを受けるか悩んでいます。

A. まずは大雑把にでも分野を決めましょう。そのあとはネットでいろいろなワードで検索したり、周りのひとに聞きまわってもいいかもしれません。何かヒントが得られたら、もう少し絞ってみるとかもいいかもしれません。ただ、別に細かいところまでは決める必要がないと思います。受託学生という制度もありますし、入ってからどんな研究をやるか探す人はよくいます。物理に興味を持っていて、それを言葉にできれば基本は大丈夫だと思います。また研究室としては、学生の人数、特にポスドクの人数はチェックした方がいいかもしれません。ポスドクは機関や教員がお金を取ってきて雇うので、ポスドクがちゃんといるところはいい研究が行われていることが多いと思います。また学生の次のステップがポスドクなので、ポスドクの人と関われることは非常に教育的だと思います。また教員がきちんと学生との論文を出しているかや、自身の研究をやっているかの確認もしたほうがいいと思います。

Q. 受験勉強は何を使ってましたか。

A. 各大学のホームページに過去問があるので、それを問題集として解いてました。わからなかったところは授業ノートや演習を見直してました。過去問が一番良い大学院対策問題集だと思っています。受けない大学の過去問を解くのも力になると思います。東大以外は基本に忠実な問題が多いので、特別な知識や理解はあまり問われないと思います。答えは探せばある程度ネットに落ちていますが、まずはじっくりと自分で考えたり同期と一緒に解いたり、先輩や教員に質問したほうがいいと思います。また一応、私と同期が解いたものはPDFで取ってあるので連絡をくれれば渡すことはできます。ただもちろん、問題集とかはやらないよりやった方がいいです。あと、東大の素粒子論を受けるならちゃんと勉強したほうがいいかもしれません。

Q. 事前訪問は必要ですか。

A. 必要はありませんが、希望の教員が学生を取っているかの確認、教員がやっていることと自分がやりたいことの示し合わせは必要かと思います。また教員がどんな人かや指導の方針などを、前もって学生に聞いた方がいいかと思います。これらはメールやzoomでも可能なので、訪問でなくても大丈夫だと思います。

Q. 筆記試験の英語はどんな問題がでますか。また、どんな対策をしましたか。

A. あまり覚えていませんが、当時、proportional(比例する)の単語が思い出せませんでしたが、それ以外は解けたので全く焦らなかった記憶があります。また、infinitesimal(微小な)の単語を書く問題が全く分かりませんでしたが何の問題もありませんでした。4年次に行われるセミナーは英語でやっているかと思いますが、それをきちんと英語で予習とかやっていれば対策として既に大丈夫かと思います。特別な勉強は全くやりませんでした。TOIECとかの能力は必要あるとは思いません。ちなみに当時のスコアは、リーディング305、リスニング320、計625でした。物理の勉強をやった方がいいかと思います。

Q. 面接(2次試験)ではなにを聞かれますか。また、どんな対策をしましたか。

A. 京都大学では興味のあることを前もって準備して話します。東大理学部では口頭で問題を出され、その後興味のあることを聞かれました。東大相関基礎では問題を口頭で出されました。名古屋大学も問題が口頭で出題されます。いずれもその場ですぐ解ける問題しか出ないので、計算力ではなく物理の定性的な理解が問われる問題が出ます。なので形式的に問題を解いているだけでは足りないかもしれません。ただ、基本的には難易度は普通の院試のレベルと同じくらいです。なお、私は対策を全くしませんでした。したほうがいいと思います。教員が目の前に並び、こちらは一人で立ち向かわなければならないので、緊張する人も多いです。いつもなら分かることも出てこなかったり、口頭のために、ゆっくり解くことや後から解くこともできないので、同期と練習したり教員にお願いしてやってもらったりしたほうがいいかと思います。たとえ解けなかったとしても、どこまで分かっているかを言えばヒントがもらえることがあるので、黙ってしまわないことが大切です。また自分の興味や、研究をやっていくイメージを付けて言語化した方がいいと思います。

Q. 面接ではどんな服を着ていけばいいですか。

A. 私服で大丈夫です。スーツを着ていく人もなかにはいるかもしれませんが、私服が多いです。また、私服だと減点とか、スーツだと加点ということはありません。なお、教員は普通に私服です。

Q. QG研はなにをやっている研究室ですか。

A. 重力に関することならいろいろとやっています。C研との違いは、C研は観測側からのアプローチで、QG研は理論側からのアプローチです。こちらに今までのコロキウムの資料があるので、確認してみるといいかもしれません。気になった言葉や発表があればネットで検索したり、メンバーのページに記載されているアドレスにメールしてみるのもいいと思います。ほかのページには、もっと前のコロキウム資料やQG夏の学校というワークショップの発表資料もあるので、参考にしてみてください。こちらではQG研のメンバーが出した論文が見れます一応簡単に言っておくと、修正重力、ブラックホール物理、数値相対論、相対論的磁気流体、重力の量子性、初期宇宙の量子揺らぎなどがあります。ほかにもあると思うので、上述のQG研の研究室紹介のPDFやホームページを見たり、教員のメールアドレスに連絡して直接聞いた方がいいかもしれません。

Q. 4年次の配属も含め、なぜQG研を選んだのですか。

A. 場の量子論と重力の両方に興味があったからです。QG研では素粒子論はやってないですが、場の量子論は学びますし、普通に使っている人はいます。重力をやめたくなかったのが大きいと思います。また、ホームページ等に人数が記載されていますが、博士課程の先輩が多いというのも大きな理由でした。

Q. QG研ではM1でどんなことを学びますか。

A. 講義としてE研、H研と合同で場の量子論を輪講します。教科書はPeskinやWeinbergをやってますが、希望があればその都度みんなで話し合って決めます。研究室としては、相対論をWaldやCarrolをやっています。これも希望があればその都度話し合います。あとは講義がいくつかあって、自主的なセミナーが学年問わず合同で行われています。

Q. QG研ではM1で論文は出せますか。

A. 出したいと思えば可能です。実際にM1で論文を出している人もいます。QG研の学生は基本的にM1は勉強で地固めをし、M1後半やM2から研究を始めたりする人が多いかと思います。いずれにせよ、教員に相談すれば何かしら力になってくれます。ただ、博士課程まで進学するなら5年あり、最初の2年より最後の2年のほうが圧倒的に大事なので、焦りすぎないようにも気を付けほうがいいかもしれません。

Q. 博士課程に進学しますか。またそれはなぜですか。

A. 私は博士課程に進学します。私は考えることそのものが好きだったりするので、物理とは相性がいいというのと、あまりお金には興味がないので、自分の好きなように生きていきたいと思っているからです。自分の能力や自分の人生を豊かにするためというのもあります。ただ病気の兼ね合いで進路を決めれない中でこの道に進んでいるので、正直そこまで本気でやっているわけでもなく、部活やサークルに入るくらいの感覚で進学する予定です。なんとなく自分にとってこっちのほうがいいのかなくらいで人生を決めてます。もちろん、研究者を目指すなら決して甘い道ではないとも思います。


Q. コアタイムなどはありますか。

A. ないです。ただし研究室行事として週一回の研究室会議(数分)とコロキウム(2時間程度)があるので、それらは基本参加となっています。もちろん用事があれば何も言わずに休んでも問題ありません。


Q. 就職実績はどうなっていますか。

A. まずQG研として、会社への推薦などはありません。なので個人で名古屋大学の就活サポートセンターなどを活用していく必要があります。ただ研究室として就活を阻害するようなことはありません。


Q. QG研では、どのような研究支援を受けることができますか。

A. まず2021年度現在では、QG研が受けられるフロンティアフェローとフロンティア次世代リサーチャーという支援事業が名古屋大学にあります。これらは申請分野で分かれており片方にしか応募はできませんが、いままでのところほとんど全員合格しています。博士後期課程の3年間、研究専念費として月18万円と研究費として年25万円がもらえます。いつまで続くかはわかりませんが、以前にもリーディングプログラムという支援事業があったので、少なくとも何らかの支援はあると思います。また修士の間でも、学会や研究会に参加するとなった時に、開催者側が旅費を支援してくれることはありますし、そうでなくとも教員が出してくれることはあります。教員の共同研究者がいる大学までつれていってもらい、ワークショップに招待してもらうこともあります。ただしこれは教員や時と場合によります。