脇本平也『宗教学入門』(1997, 講談社)(宗教学の内容について網羅的かつコンパクトにわかりやすく紹介してくれる。はじめの一冊としてはこれが一番おすすめか)
岸本英夫『宗教学』(1961, 大明堂)(少し古いが定評ある教科書。紙の本は手に入りにくいが、ありがたいことにKindleでも読めるようになっている)
中村圭志『世界の深層をつかむ宗教学』(2021, ディスカヴァー・トゥエンティワン )(とても親切でわかりやすい。特に初心者におすすめ。基本的過ぎる印象があるかもしれないが、完全な初心者にはこれくらいがうれしいのだ)
中村元『ブッダ伝 生涯と思想』(2015,KADOKAWA)(タイトル通りブッダの生涯と思想がバランスよくわかる)
中村元訳『ブッダのことば スッタニパータ』(1984, 岩波書店)(仏教最古の経典。煩瑣な理論体系に悩まされることなくブッダの生の声が聞こえるのはいいですね)
中村元編訳『原始仏典』(2011, 筑摩書房)(複数の原始仏典のエッセンスをまとめてくれたもの。個々の仏典をすべて読む時間がない私のような俗人にはとてもありがたい)
中村元『龍樹』(2002, 講談社)(大理論家ナーガールジュナの『中論』全文と解説。仏教哲学のなかでもかなり難解といわれるだけあって、やはり厳しい)
植木雅俊『サンスクリット版全訳 維摩経 現代語訳』(2019, KADOKAWA)(ドラマ仕立てゆえに昔から人気)
長尾雅人『『維摩経』を読む』(2014, 岩波書店)(維摩経の解説書はいくつかあるが、「向上」と「向下」の観点から維摩経のパラドクシカルな表現を読み解き、維摩の沈黙の後のおしゃべりを上手く説明するところがとても面白い )
道元『正法眼蔵 全訳注(1~8巻)』(2004, 講談社)(全部で8巻もあって大変なのだが、とりあえず1巻に含まれている有名な「現成公案」だけでも読んでみたらどうか)
頼住光子『正法眼蔵入門』(2015, KADOKAWA)(道元の思想の解説がとてもよい)
角田泰隆『道元入門』(2012, KADOKAWA)(道元の伝記的な部分がかなりくわしい)
(『般若心経』に関しては解説書がひしめいており、他人の解釈をバカにするものもあってつらい…。空や無我を語っている仏教学者は意外に我が強いと感じることしばしば。我があることを自覚しているから修行しなきゃと思って仏教を学んでいるのかな。倫理学者が倫理を苦手とし、言語哲学者が言語を苦手としているとの同じ構造かもしれないので他人のことは言えないが)
上枝美典『「神」という謎―宗教哲学入門』(2007, 世界思想社)(神の存在証明や信仰と理性の関係など、宗教哲学の話題について幅広くかつクリアに書かれている)
ニーチェ『道徳の系譜学』(2009, 光文社)(奴隷道徳としての宗教(キリスト教)観)
べリング『ヒトはなぜ神を信じるのか―信仰する本能』(2012, 化学同人)(「心の理論仮説」や「目的-手段推論を好む」など、心理学的な観点から神の存在を捉えようとするもの。心の理論仮説の発達がしにくい自閉症患者や幼児は物事に神を読み込みにくい、といった言説)
ウェイド『宗教を生みだす本能―進化論からみたヒトと信仰 』(2011, NTT出版)(進化論的に宗教や道徳が発生するさまを記述しようとするもの。宗教(道徳)は生存・繁殖に有利だったという説)
ダンバー『宗教の起源』(2023, 白揚社)(種の脳の大きさからそれぞれの集団の数を推定する「ダンバー数」を提唱した著者によるもの。これもウェイドと同様に、大きくなればなるほど安定的な維持が難しくなる集団を存続させるために宗教が重要な役割を果たしてきたとする)
トリー『神は、脳がつくった 200万年の人類史と脳科学で解読する神と宗教の起源』(2018, ダイヤモンド社)
ライト『なぜ今、仏教なのか』(2018, 早川書房)(進化によって生じる苦しみにこれまた進化によって生じた理性や意識で対抗しようとしているのが仏教であるという説)