伊藤邦武『物語 哲学の歴史――自分と世界を考えるために』(中央公論新社, 2012)(古代から現代までの主要な(西洋)哲学が簡潔かつ濃密かつ流麗に記述される。新書なのに専門家でも多々教えられる「高級な入門書」)
【入門書】
岩田靖夫『増補 ソクラテス』(ちくま学芸文庫, 2014)(ソクラテス関連の入門書はたくさんあるが、これは名著感がある)
【一次文献・専門書】
※ ソクラテスの姿はプラトンの(初期の)著作からわかる。いろいろあるが、とりあえず以下の二つか。
プラトン『ソクラテスの弁明』(光文社古典新訳文庫, 2012)(一番有名なのでとりあえず読んどくか)
プラトン『ゴルギアス』(岩波文庫, 1967)(論争を眺める楽しさがある)
【入門書】
山口義久『アリストテレス入門』(ちくま新書, 2001)(一番コンパクトにまとまっている印象)
【一次文献・専門書】
アリストテレス『ニコマコス倫理学(上・下)』(光文社古典新訳文庫, 2015)(解説書をたくさん読むより、このような本を何度も熟読した方がよいかも)
【入門書】
荻野弘之・かおり&ゆかり『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業――この生きづらい世の中で「よく生きる」ために』(ダイヤモンド社, 2019)(マンガもあって親しみやすく初心者に勧められる。そしてしっかりと内容もある)
【一次文献・専門書】
エピクテトス『エピクテトス 人生談義(上・下)』(岩波文庫, 2020)(下巻の「要録」は弟子がエピクテトスの教えを教科書風にコンパクトにまとめたもので、まず概要を理解するにはとても便利)
【入門書】
児玉聡『功利主義入門』(ちくま新書, 2012)(功利主義の入門書と言えばこれか)
【一次文献・専門書】
ベンサム「道徳および立法の諸原理序説」『世界の名著 49 ベンサム・ミル』(中央公論社, 1979年)(なかなか手に入りにくいかもしれない)
ミル『功利主義論集』(京都大学学術出版会, 2010年)
ミル『自由論』(光文社古典新訳文庫,2012年)(功利主義の観点から他者危害原則(他人に危害を加えない限り最大限自由は守られるべき)を唱えたもの)
ヘア『道徳的に考えること』(勁草書房, 1994)(有名な「二層理論」が展開されている)
【入門書】
※ 義務論単体の手ごろな入門書はないので、上に挙げた倫理学全般の入門書にあたるのがよい。しかしあえて言えば、
御子柴善之『自分で考える勇気――カント哲学入門』(岩波ジュニア新書, 2015)(中高生向きとのことだが、カント哲学に関して内容充実で、初学者には一番お勧め)
【一次文献・専門書】
※ 専門家でもかなり厳しいが一応挙げると、
カント『道徳形而上学の基礎づけ』 (光文社古典新訳文庫, 2012)
カント『実践理性批判』(作品社, 2013)
【入門書】
※ 基本的には上の倫理学全般の入門書にあたるのがよい。ただし、ロールズの「正義論」以降の流れについては、以下がおもしろいかも。
サンデル『これから「正義」の話をしよう』(早川書房, 2010)
サンデル『実力も運のうち 能力主義は正義か?』(早川書房, 2021)
【一次文献・専門書】
ホッブズ『リヴァイアサン』(岩波文庫, 1954)
ロック『統治二論』(岩波文庫, 2010)
ルソー『社会契約論』(岩波文庫, 1954)
ロールズ『正義論』(紀伊國屋書店, 2010)(現代に契約説を復活させたもの。20世紀中盤以降の倫理学に甚大な影響を与える。ただし太い。邦訳で844頁)
【入門書】
遠山義孝 『人と思想 ショーペンハウアー』 (清水書院, 2014)(質・量ともに、とりあえずこれか)
梅田孝太 『今を生きる思想 ショーペンハウアー』 (講談社, 2022)(「講談社現代新書100」という100頁+αで何とか収めようというシリーズのものなので、コンパクトにまとめられている)
【一次文献・専門書】
ショーペンハウアー『意志と表象としての世界』(中央公論新社, 2004)(ショーペンハウアーの主著。全部読もうとすると前半が特に大変なので、四巻(本シリーズのⅢ)から読むのがよいか)
※ 大部分の人にとっては主著よりも以下のエッセイ集の方がグッとくるはずです。岩波文庫や新潮社や光文社古典新訳文庫など様々なシリーズから出ているので、お好きなものを。
ショーペンハウアー『幸福について』
ショーペンハウアー『読書について』
ショーペンハウアー『自殺について』
ショーペンハウアー『知性について』
【入門書】
三島憲一(1987)『ニーチェ』(岩波新書)(もっとも手堅くバランスがいい印象)
渡邊二郎、西尾幹二(編)(2013)『ニーチェを知る辞典』(ちくま学芸文庫)(ニーチェ用語・概念の信頼できる解説)
城戸淳(2021)『極限の思想 ニーチェ 道徳批判の哲学』(講談社選書メチエ)(文章がいい)
永井均(1998 )『これがニーチェだ』(講談社現代新書)(個人的にかなり好きだが、クセと影響力が強めなので、他の本と一緒に読むのがいいかも)
【一次文献】
ニーチェ『道徳の系譜学』(光文社古典新訳文庫, 2013)(ニーチェの著作は初心者には厳しいものが多いが本書は比較的読みやすい。授業で扱った内容もこれ)
長谷川寿一・長谷川眞理子 『進化と人間行動 第2版』( 東京大学出版会, 2022)(進化論の定評ある教科書。2022年には第2版が出て、最近の研究を踏まえてアップデートされている)
ジェイムズ『進化倫理学入門』(名古屋大学出版会, 2018)(このジャンルに関してはもっとも体系的か。以下のものと違って専門的な哲学者・倫理学者が書いているというのも特徴)
グリーン『モラル・トライブズ(上・下)』(岩波書店, 2015)(科学的に倫理というものを考えたいという人には楽しいはず。ヒトが道徳的な判断をしているときには脳のどこが働いているのか、感情と理性の関係、進化と道徳の関係など)
ウェイド『宗教を生み出す本能―進化論からみたヒトと信仰』(NTT出版, 2011)(進化論や人類学の観点から、宗教のみならず道徳の起源を説明しようとするもの。こんなにもワクワクする本は久しぶりだ)
ハイト『社会はなぜ左と右に分かれるのか』(紀伊國屋書店, 2014)
トマセロ『ヒトはなぜ協力するのか』(勁草書房, 2013)
ドーキンス『利己的な遺伝子 40周年記念版』(紀伊國屋書店, 2018)(1976年に発行された本書は世界的ベストセラーとなり、多くの人に「進化論おもしれー」と思わせた。私もその一人)
ギリガン『もうひとつの声で―心理学の理論とケアの倫理』(風行社, 2022)(ケアの倫理の原点とされる著作。新訳が出たばかり)
ノディングズ『ケアリング―倫理と道徳の教育 女性の観点から』(晃洋書房, 1997)(ケアの倫理を体系化)
品川哲彦 『正義と境を接するもの』 (ナカニシヤ出版, 2007)(ケアの倫理に関して日本語ではもっとも詳しい解説が読めると思われる)
白川晋太郎『ブランダム 推論主義の哲学』(青土社, 2021)(推論主義の入門書。5章で推論主義の他者理解、6章で精神医療現場への応用が試みられている)