【第157回宇宙進化研究センター談話会 】
すばるHyper Suprime-Camで見つかった銀河群・銀河団における活動銀河核の発現と環境依存性 (鳥羽儀樹, 国立天文台)
本講演では「すばる」望遠鏡 Hyper Suprime-Cam (HSC) で見つかった銀河群・銀河団中のメンバー銀河に付随する活動銀河核 (AGN) の統計的な性質と環境効果に焦点を当てる。HSCすばる戦略枠観測 (HSC-SSP) で発見された銀河群・銀河団について、AGN fractionを (i) 個数の観点 (AGN number fraction) と (ii) エネルギーの観点 (AGN power fraction) で定義し、それらが赤方偏移や銀河団中心からの距離にどのように依存するのかを調べた。AGN number fraction を見積もるために 赤外線・電波・X線の多波長データを総動員しメンバー銀河の中からAGNを同定し、AGN power fraction を見積もるために紫外線から赤外線までのデータを用いたスペクトルエネルギー分布 (SED) 解析を実施した。さらに、メンバー銀河同士あるいは銀河団同士の合体がAGN活動を誘発するかについても調査を行った。約27,000個の銀河群・銀河団中の約100万天体にもおよぶメンバー銀河を用いた過去最大規模の銀河団-AGN研究から得られた知見を踏まえ、AGNの発現と環境効果について議論する(Hashiguchi, Toba et al. 2023, PASJ, 75, 1246; Toba et al. 2024, ApJ, 967, 65)。