4U 1630-472 の増光期間中における突発的な減光について (康哲洙, 愛媛大学)
ブラックホールX線連星の 4U 1630-472 は600日周期で増光することが知られている。その中でも、強い増光が起きた 2012年の増光期間の振る舞いについて着目した。この期間の X線で最も明るい時期において、1日以下のタイムスケールで 50% の急激なフラックスの減光が起こっていた。これは、質量降着のタイムスケールに比べて十分に小さく、降着円盤の内縁におけるガスの動きよりは十分に大きい。この減光の原因を探るため、MAXI と Swift 衛星のスペクトルを比較した。減光期間においてスペクトルの形状を保ったまま、フラックスが減少していることが分かった。このスペクトルの振る舞いから、完全電離した光学的に厚いガスが視線方向を遮ることでX線フラックスの減少が起こったモデルと、円盤の内縁温度の減少に伴ってコロナが発達することでスペクトル上での温度変化が隠されたモデルを考えた。