Works - Selected
色と雲シリーズ:
春画の手足に着想を得た「色と雲」シリーズは、偶然置かれた色の中に人の気配を感じ、手や足という“関係(人や物事、現象を含むあらゆるつながりや作用)のメタファー”を見出していく過程そのものを作品とする。
人の視覚や想像に潜む思い込みや見間違いといったバイアスを表現技法として用い、作家自身の絵を描く手(ときに足)も関係のメタファーとなり、装置として機能する。無作為に置いた色や線の上に手足を重ねて描くことで、絡み合う手足が私たちが認知する世界の不確かさや絶えず変化する現実のイメージを絵画の中に形作っていく。
完成はあらかじめ定められず、描く過程で見つけ出されるイメージと作家自身が関係の一部として作品に取り込まれていくように世界を描く。その過程を通じて関係が世界を生み出すあり方を探る。
© KANEKO SHINICHI