Works - Selected
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兼子真一は「関係」をテーマに、浮世絵春画の手足からインスピレーションを受けて制作しています。2013年、偶然手に取った春画本で、自身の研究テーマである「関係」が手足の表現と重なり、春画の手足だけに焦点があう奇妙な体験をしました。この経験から「雲をつかむ」シリーズが誕生し、手足を「関係」の象徴、「雲」を不確かな現実の象徴として表現しています。シリーズでは絵の雲を光に透かすと春画の元絵が浮かび上がり、人間の関わりと交わりを発見できます。
「雲をつかむ」は浮世絵版画の技法を現代風にアップデートしました。「彫(ほり)」のプロセスをデジタルで行い、「摺(すり)」のプロセスをリソグラフで印刷しました。このリソグラフは木版画同様、色ごとに重ねて印刷され、1980年に日本で誕生したデジタル孔版印刷技術です。現代的な色彩とともに木版画特有のズレやカスれも表現されています。
© KANEKO SHINICHI